4-2
図書館を出た僕と初雪は、喫茶店へと向かっていた。
ちなみに初雪はあの持って来た5冊を律儀に借りていた。……もし速めに見つけないと、またあの勉強会を繰り返そうと思うと驚きである。
今度は『Cafe:Itukushima』ではなく、別の喫茶店にした。何故、別の喫茶店にしたかと言うとそこに行くと、高確率で厳島板書に出会う可能性が高いからである。
昨日行ったばかりなので確実に、「おやおや? 今日は違う女なのね♪」とか言いそうである。性格的にあいつは男子より女子と言った方が良いからな。
と言う訳で、僕達は喫茶店、『Sette Isola』へと向かっていた。おすすめ商品は七つの島をイメージにした『諸国パフェ』と言う、ちょっと南国的なイメージが強い喫茶店である。昨日行った『Cafe:Itukushima』は少しレトロな趣ある喫茶店とは、まるで対照的である。
喫茶店1つとっても、色々とバリエーションがあるんだなと僕は思っていた。
「えっと……初雪。何か食べたい物があるか?」
「そんなのすぐには決められないわ」
そんな事を言っている初雪だが、僕には分かる。
ある一点を通るたびに、その頭の上の兎耳が無駄に機敏に動くのだから。でも、頼むのが恥ずかしいのだろう。
(ここは……こっちで頼んで置きますか)
と思い、僕は店員を呼ぶブザーが無いこの店で、ローカルルールに乗っ取って手を挙げながら店員を呼ぶ。
すると、赤い髪を黒いハート形の髪飾りでツインテールにした気だるそうな瞳の女性店員さんがやって来る。
胸元に学章の入った茶色いブレザーを着ており、胸元は緑色のリボン。青いチェック柄のスカートを着た中肉中背の妖艶と言う言葉が似合う美少女店員さん。そして、肩には黒猫のぬいぐるみを載せている。
……と言うか、こいつも知り合いである。
「はい、はい。お客様、ご用事は……って、芹沢に上野じゃないですか」
「あれ……? なんで魔女坂委員長がここに居るんですか?」
初雪の言う通り、彼女は同じクラスメイトの魔女坂黒猫委員長。
ちなみに着ている制服は、学園の物では無くこの喫茶店の物でも無い。彼女の着ているのは、彼女の自前の制服。
堂々と規則を破っているのにも関わらず、委員長に選ばれるほど人望も、そして成績も良い。また、張りの良い胸や尻、誰にも美しいと思わせる妖艶な顔立ち。
『眠りの黒魔女』と呼ばれる彼女こそ、うちのクラスの委員長、魔女坂黒猫さんである。ちなみに『眠りの』の部分は、彼女の瞳が常に気だるそうな感じなのがその由縁である。
「と言うか、2人揃ってお出かけなのかい? まぁ、クラスメイト同士で親交を深めるのは結構だけど、節度あるおつきあいを頼むよ」
「特に……芹沢はね」と僕の顔に精一杯近付き、クラス委員長としてそう言う忠告をして来る。
顔が近付くと共に、彼女の誰もを虜にするフェロモンのような淫靡な香りが僕の鼻元に香って来て、僕も何だか彼女の事を本当に好きになりそうで……
「むぅ~……。冷夜、僕の事はどうでも良いのかい?」
「あっ……!」
そう思っていると、目の前の初雪がとても不満そうな顔でこちらを睨んでいた。
……あぁ、しまった。今は彼女を見極めていたのに。
読んで下さりありがとうございます。
次回は10月14日0時、投稿予定です。
これからもよろしくお願いします。




