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転生令嬢ちゃん、推しの沼を作る。

作者: 有機野菜
掲載日:2026/02/12

この世界はどうやら乙女ゲームの世界?らしい?そうなのかなと思っただけなので、実際はどうか知らないけれど。


貴族が通う学園があって、そこに平民の特待生が現れて色んな男子と仲良くなっているのは確かだ。スゲェ体力だな、尊敬しちゃうぜ。


攻略対象者達には別に婚約者がいるわけで、彼女達はイライラを募らせている。今にも虐めが勃発寸前!このままいったら特待生に愛を捧げた逆ハーレムのせいで学校はしっちゃかめっちゃかになっちゃう!


おそらくゲームの本筋にまったく関係ないくせに、異世界転生を果たした私は思ったんだよね。


「ビジネスチャンス…じゃね…!?」

「ステラには人の心が無いのか」


婚約者のセインにそう言われたが、私は違うと思うね!違うと主張するね!


「私はむしろ心がありまくるわ。無いのは周りでしょ。本当に人の心があるなら、友達が婚約者を投げ出して他の女を追いかけたところで尻をすっ叩くもん」

「うーん。一理ある」


私は肩を震わせて笑いながら、どうしたら一番利益が出るか考えた。



学園を歩いていたら、目当ての人がいたので私は壁に隠れながら様子を窺う。王子の婚約者である公爵令嬢を発見した。王子が平民と楽しそうに話し合ってるのを見てぎりぎりと唇を噛んでいる。


きひひ…最初の獲物は貴様だァ…。


「クレハ・フォリスマー公爵令嬢、少々よろしいでしょうか?声をかける無礼をお許しください」


弾かれたように私を見る公爵令嬢。まどろっこしいのは嫌いだ、スパッと本題を話し始めようじゃないか。


「特待生が身分を問わず、様々な殿方に声をかけていらっしゃいます。そのことで少し相談させてください。今、学園にいらっしゃる淑女の皆様は特待生の行いに眉をひそめるばかり…ですが彼女の行いを指摘するのは待っていただきたいのです」

「なんですって?」

「彼女を非難すれば話が拗れます。私から一つ提案があるのですが」


私はクレハ嬢に今回のビジネスについて話す。ゴニョゴニョ…。


クレハ嬢は「ふうん」と感心した声を上げる。


「では、私にどんなものか教えてくださる?ホストクラブとやらについて」

「ここでは特別なお茶会と呼んでいただけると…」


姫が一人入りましたァー!!!ちなみに王族の血が入ってるからガチプリンセスだよ!


・・・


いくつかある屋敷、その一つを改装しました。黒を基調とした調度品、シックな色合いの壁にギラギラにデコられた部屋。鏡やスパンコールの反射を利用することで光源はできる限り少なめに。


なんだか怪しい雰囲気に気圧されているクレハ嬢はエスコート付きで中に入る。そこでちょっと死んだ魚のような目をしている我が婚約者に「エヴァンをお呼びして」と告げた。


一回やってみたかったんだよね、こういうの。


こちらにどうぞと言われて通されたボックス席、まずはクレハ嬢に店について説明する。


「初回はお試しですので価格は控えめです。2時間でこの程度」

「あら、随分と良心的ですのね?」

「2回目からはぐんと値段が上がりますから…。とりあえず今日は此処がなにか知るために楽しんでください」


最初の1杯目を頼んだ後、飲み物と一緒にキャストが来た。


「わざわざ俺に会いに来てくれたって?」


出たー!俺様系!エヴァンはドカッと椅子に座って笑う。そんなエヴァンの行動に驚くクレハ嬢、だけど本番はこれからだァ…。


「話には聞いてるよ、クレハ嬢にお会いできて光栄だね」

「まあ。どんな噂かしら?」

「その美しさにと聡明さ、隠れた月が再び顔を出し、その行く先を導くほどに」


クレハ嬢は感心したように「まあ」と声を上げる。ちなみにこれ、我が国の古典から引用された言葉だ。エヴァンはうちでも一番教養がある。この国でも最高水準の教育を受けたクレハ嬢には刺さるだろう。


「お上手だこと」

「クレハ嬢が隣にいるならこれくらい…格好つけるさ」


それからの2時間、テーブルは大いに盛り上がった。彼女はホクホク顔で席を立つ。


「満足したわ」

「ありがたき幸せ」

「このクラブは招待制だったわね。いいわ、広めてあげる」


私はニヤリと笑った。


・・・


それから女子生徒達の間でゆっくりと特別なお茶会は広まっていった。


招待制という価値の高さに、誰もがクラブを夢見るようになる。そして一度来た者は何度も通う。クレハ嬢が誘ったのは身分が高い者ばかりで、選ばれた人だけが行ける特別な場所だという印象を与える。


ここで…毒餌…!


「エルマ男爵令嬢をご招待したいのだけれど、いいかしら?とても素晴らしい詩を書く逸材なのよ」

「もちろん、フォリスマー公爵令嬢の紹介なら喜んで!」


人前で堂々とこう宣言してやることで、身分に関係なく優れた人は招待するという印象を作った。


ちなみにエルマ男爵令嬢の婚約者は、特待生に関係なくプレイボーイと噂の男。プライドが高くて男友達はゼロ人という可哀想な奴だ。おそらく自分の女が他所に行くなど許せないだろう。今回の餌にこんなに丁度いい子がいるとは!


「まったくステラは恐ろしいことを考える」

「なんだいセインくん。私が嫌いかね?」

「好きだが」


セインは私の企みに気付いて溜息をついていた。


「公爵令嬢のお墨付きなんて、とんでもない付加価値だ。男爵はプレイボーイ気取りに嫁に出すのを渋るはず。婚約解消するだろうな…みっともない男がキャンキャン鳴くだろうが」

「おほほ、負け犬の鳴き声ほど癒されるものは無くってよ。そして前例が一つできれば、当然周りも動き出す。男爵令嬢でも特別なお茶会に行ける事実!婚約者を奪われる恐怖!荒れるわ〜!」


私は高笑いをする。この計画の穴はセインがしっかり埋めてくれるので安心だ。


・・・


それから暫くして、クレハ嬢が王子とお茶会をした時の話をしてくれた。月に一回は必ず行われるもので、いちおうお茶会はちゃんと成されたらしい。ただ、クレハ嬢のほうが岩塩対応になったので王子は始終ずっと困惑していたとか。可哀想。


「あの人は自分から話ができないのよ。今までのお茶会も、私が会話をリードしていたんだって気付いたわ」

「ああー」

「挨拶以外で話しかけないことにしたの。向こうも全然話さないから黙ってお茶を飲んだだけよ。あんなにつまらないお茶会は初めてだった」


接客業を叩き込んだ子達とクラブでお喋りしているのだ、そりゃあ王子との会話はつまらなかっただろう。


王子が特待生と距離を置いていたらクレハ嬢が大人の対応をしたのだろうけれど…彼は現在進行系で怒らせている最中だ。王子にキレているクレハ嬢は今までしてきたヨイショを放棄した。上げ膳据え膳だった王子がヨイショできるわけもない。


「最後の最後に『怒ってる?』って聞くものだから『何か心当たりがあるのでしょうか?』って聞き返してやったわ」

「殿下、それはあまりにも愚か…!」


それは『ママに叱られるのは嫌だ』と同義だからだ。悪いことをしたから罪悪感を抱いたのではなく、叱られるのが嫌だから反省したフリをしている子供みたいなもの。


クレハ嬢からすれば、さぞや腹が立つだろう。王子は自分の何処が悪いのか理解していないのだから。


「特待生が実は男の可能性とか…」

「ないわよ。お忍びで来た他国の王族の可能性も調べたけれど何もなかったわ。これで陛下の隠し子なんて言われた日には、よほど後ろ暗い理由があるのだと邪推できるほどよ」

「経歴に怪しそうなとこ無かったんですね」


ゲームのヒロインだと、実は王族の隠し子みたいな設定があったりするのだけれど。クレハ嬢は先回りして調べていたらしい。その可能性は潰えたわけで、平民と仲良くする王子という揺るぎない事実ができるわけで。


うーん…。彼女を差し置いてオタサーの姫と遊びに行く男と、彼氏がいるけどホストに行く女ってどっちがマシなんでしょうね。後者はのめり込み具合にもよると思うけれど。


今回はまあ、私が手を回しているから王子が圧倒的に分が悪いんだけどね。


・・・


今日はとある令嬢を紹介してもらった。あの逆ハーレム軍団に所属する男の婚約者ですってよ。


控えめでカスミソウのような可愛らしさのある女の子じゃないの。でも侯爵家の娘さんで大切にされていたのが解る容貌。素敵だわあ。これで婚約者が脳筋っぽいのが信じられない。


「それではレティシア様、こちらの招待券をどうぞ」


私がチケットを手渡そうとした時だった。


「なあ、待って」


私とレティシア嬢の間に男が現れる。おおっと?この人は?あの逆ハーレムの一員じゃないか?彼はレティシア嬢の目を見た。


「レティシアは俺の婚約者だろ」


必死に威嚇してきて可愛いね。私もレティシア嬢もウフフと笑った。私は言葉の刃でペチペチと頬を叩く。


「親しい女性が他にいらっしゃるのでは?」

「違うって」


めちゃくちゃ嫌な顔をされた。まあ、知ってるけどね。レティシア嬢もくすくすと笑う。


「解っています。王子の護衛として彼女の側を離れられないのですよね?でも、貴方は何も私に説明しなかったわ」

「君からの手紙で、解っているのかと…」

「答え合わせをしなければテストの点数はつけられないものです」


そっぽを向くレティシア嬢。彼は暫く目を彷徨わせていたが、やがてシオシオと項垂れて「悪かった」と謝った。


「ごめんなさい、意地悪をしてしまいました。どうかお詫びをさせてくださる?」


もともとレティシア嬢はそんなに怒っていない。目の前の彼は本格的に攻略される前だったため、彼はまだ特待生を好きになっていなかった。


そんな時に婚約者が逃げようとしたのだ、彼は慌てるだろう。人間というのは手に入っていたものを失う方が圧倒的に惜しくなるからだ。なにより私が作った前例…毒餌があるしね。


「お騒がせしました」

「いえいえ。仲睦まじいのが一番ですよ」


そう、これも打ちたかった一手。特待生の逆ハーレムから逃げ出した男がいるという必要な前例なのだ。


ククク…銭の香りがしますなあ!


・・・


数ヶ月経った。特待生の逆ハーレムは強固な仲を作る者と、逆に離れる者で二極化した。離れる者はそもそもモブとして扱っていたのか、特待生は追いかける様子を見せない。


「逆に離れてほしくない人には顕著だね、婚約者とのデートがあると聞くと回避させようとしてくる」

「ステラ、本当に計画は上手くいくのか?」


我が婚約者セインの言葉に私は肩をすくめた。


「一番良い結果が出せる案はむりやり狙わないよ。第二、第三の案ならば確実にいけるから、余裕があればプランBにシフトするってだけだね」

「ステラが言うのであれば信じよう」


そんな話をしてから数日後だった。王子がクレハ嬢に声をかけたのは。


「クレハ、その、彼女を除け者にするのは止めてくれないか。お茶会に呼ばれなくて悲しんでいる」

「まあ…殿下は面白い冗談を口になさるのね。私、お茶会に招待するほど特待生の方と親しくありませんわ。それとも殿下はこの学園に在籍する全ての生徒とお茶会をしたことがあるのでしょうか?」


王子は口をつぐむ。全ての生徒とお茶会なんてするはずもない。上げ膳据え膳王子がお茶会を主催できるはずもない。


王子は「しかし…」と歯切れ悪く抵抗しようとしていた。無駄な足掻きをする。


「お話はそれだけですか?」

「クレハは、その」


次の言葉を探して目をウロウロさせる王子。クレハ嬢は暫くしてから溜息をついた。


「エヴァン様とお話ししたほうが有意義だわ」


そう、ぽつりと呟いてから去っていく。彼女のその態度に王子はショックを受けて固まっていた。


「うぷぷ…クレハ嬢も協力的で有難いですなあ」

「もう少しで仕上げか?」


建物の陰から様子を見ていた私達はにやりと笑う。一番の結果を残せるかはまだ解らないが、二番くらいは確実に残せると確信しながら。


・・・


更に一ヶ月が経過したころ、なんと特待生が私に接触してきた。周りの空気感がだいぶ変わってきているのを彼女も感じ取ったのだろう。


本来ならばスクールカーストで一番上にいる王子達を掻き集めて逆ハーレムを作ったはずなのに、誰も彼女を羨まない。


それもそのはず。高位貴族の令嬢達はクラブにいるスタッフに夢中な子が多い。クレハ嬢を筆頭とした令嬢達がその流れを作ったために、学園にいる令嬢達は平民に寄り添う王子達に関心がなくなってしまったのだ。ハイブランドってそういうものですよ。


「ステラさんにお願いすれば噂のお店に行けるって聞いて…」


特待生は自分が羨まれる立場にいないことが我慢がならなかったようだ。


「おねがい!あたし、噂のお店にどうしても行ってみたいの!」


しかし、初対面のくせに敬語も使えないとは無礼なやっちゃな。我、貴族ぞ?あまり知られていない家だが貴族ぞ?


おまえのその傲慢さのせいで私はプランBを発動せねばならなくなったのだ。あーあ!かわいそ!可哀想でもないか、自業自得じゃわ。傲慢とは原罪の一つである。


「招待ではなく、私からの紹介ですか…」

「ステラさんがオーナーなんでしょ?ステラさんのお店に行きたいの!」


私はうっそりと笑った。彼女がその意味を知る日は来ない。


「わかりました。紹介状を書きますわね」


・・・


あれから二ヶ月が経過した。私はクレハ嬢に招かれて、公爵邸でお茶を飲んでいる。隣には我が婚約者ことセイン、正面にはクレハ嬢と公爵様がいた。


「クレハと殿下の婚約が解消された。君達のおかげだよ」

「いえいえ、クレハ嬢の演技力あってこそです」

「ふふふ…これは私からの気持ちよ」


クレハ嬢はそう言って小切手を渡してくれた。うひょひょ!ゼロがいっぱいで笑いが止まりませんなあ!


公爵は私とセインを見てフフッと笑う。


「しかし、考えたものだな。クラブを二つ作るとは!」


そう、これが計画の肝だった。


セインがオーナーを務める特別なお茶会と、私ことステラがオーナーを務めるホストクラブは全く別物なのだ。 


クレハ嬢は婚約解消をした日のことを語り出す。


・・・


王城にある玉座の間にて、王子は呼び出された。そこには公爵とクレハ嬢もいて、王子は顔を青くしていたらしい。心当たりがあるって大変ね。


陛下は静かに告げた。


「クレハ嬢との婚約を解消する。此度の件、全てはおまえの責だ。おまえの個人資産より慰謝料を支払う」


王子は弾かれたように顔を上げて、頭を振った。


「お待ちください!クレハ嬢はいかがわしいクラブに出入りをしており…!」


公爵とクレハ嬢はその言葉を待っていたと言わんばかりに笑いだした。


「それは特別なお茶会のことでしょうか?」


陛下は溜息をつく。


「学園に通う淑女達の間で話題の特別なお茶会は、きわめて健全である。儂と王妃も利用し、その実態を確かめている」

「えっ…?」


クレハ嬢の笑みは過去最高の悪役令嬢顔だった(本人談)


「紳士の姿をした淑女の皆様とお茶会をするだけの、至って健全なクラブですわ!」


セインに任せた特別なお茶会はホストクラブではない。何故ならばスタッフはボディーガードを除いた全員が女性だからだ。男装喫茶と言ったほうが正しい。ちなみにエヴァンの本名はイヴという。


店には男性同伴で来ることも可能で、初回時のクレハ嬢は公爵にエスコートしてもらっていた。あの侯爵家のカスミソウことレティシア嬢も婚約者とのデートに利用した、いかがわしさ0%の店なのである。


しかも普通のホストクラブと違って酒の提供がないうえ、使える金額に上限がある健全さ。特別なお茶会という呼び方はその名の通り、淑女達がおままごとをするために集まる場所なのである。


「あの特別なお茶会は招待制でしてな。娘の付き添いとして参加した私のほうが、同じく付き添いでやってきた侯爵や男爵と盛り上がってしまいましたよ。夜会では序列のせいで会話できない方もいますからなあ」


ククク…と笑う公爵も過去最高に悪役の顔をしていた(本人談)


なにせ淑女だけではなく保護者も多数集まる場所ともなれば、悪さなんてできるわけないからね。


王子は「でも」と言い訳を重ねる。まあ、彼の困惑も仕方がない。だって()()()()()()と違うから。


「そうそう。似て異なる店があるとも聞きましたわ。あの特待生の方が通われていらっしゃるとも」


ここでやっと王子は張り巡らせた罠に気が付いたらしい。呆然としていたそうだ。


簡単なことだ、(ステラ)が経営していた店は本当にホストクラブだったというだけ。男性とおしゃべりをして、酒を飲み、金を使う女ほど偉い場所。


そっちを案内するのは仕方ないじゃんね?だって私がオーナーを務めている店はホストクラブのほうなんだもん。


承認欲求の塊だった特待生は、ナンバーワンの男を手に入れるために悪魔に魂を売った…そして金欲しさに逆ハーレムにも本格的に手を出したのだ。王子も婚約者であるクレハ嬢用の予算を特待生の身体に使ってしまった。


馬鹿だねぇ!


・・・


「殿下は王族でいられなくなるそうよ。ステラ様が雇ってはいかが?」

「上げ膳据え膳王子か。裏方なら欲しいかな…」


他にもいた逆ハーレムの者達は信頼を失ってしまったそうだ。宰相の息子だけは早い段階で気付いていて、抜け出すタイミングを窺っていたので手を貸してあげたけど。そのお礼もたんまり貰ったわね。おほほ。


「これで陛下も目の上のたんこぶが取れただろう。あの特別なお茶会での非公式な会話であるが、陛下と王妃殿下に随分と感謝された。二人のおかげだよ、ありがとう」


これは私も後から知ったのだが、あの王子はメイドの一人が陛下のお手付きにあったと訴えたために王族に迎えることとなった者らしい。泥酔した陛下の隣に件のメイドが寝ていた状況証拠しかなく、本当に王族の血を引いていたか微妙だったが。


まだ王族としての責任感があれば出自が怪しくともクレハ嬢はなんとか呑み込むつもりだったのに、平民に入れ込んだものだからクレハ嬢は私の提案に乗っかるかたちで排除にかかったわけだ。


私はあの特待生を罠にかけるつもりだったけど、王族まで手を出すつもりはなかったよ。怖いもん。


でも、おかげで私とセインは当初目標を上回るお金を手に入れた。やったぜ。


「しかし、なぜステラ嬢はこのような計画を立てたのだ?」

「ああ…あの特待生がセインを狙ったからですね」


私がそう答えると公爵もクレハ嬢も驚いた顔になった。そんなに変かね???


我が愛しの婚約者、私のセイン。本気で彼だけを求めるならまだしも、あの特待生は逆ハーレムの一人としてセインを求めやがった。周りの人もそれを止めなかった。尻を叩いてでも止めるべきだったのに。


許せねえよな。だから地獄に落とした。ホスト狂いになって自分を安く売る惨めさを、そんな女に入れ込んで全てを失う虚しさを教えてやったんだ。私のセインを軽々しく扱ったから。反省した奴等は見逃したけどね。


でも、全てはセインのために掴んだビジネスチャンスだ。彼のために稼いだ金だ。


「今回いただいたお金は全て孤児院や病院に寄付する予定です。セインの実家が経営している場所ですが」

「エヴァン様…イヴ様もその孤児院出身でしたわね。実に素晴らしい活動かと」

「セインのためなら」


前世の記憶なんて訳わからんものを思い出したせいで、変な奴として除け者にされていた私を受け入れてくれた、優しいセイン。


彼のためなら私はなんでもする。


「随分と熱烈なのねえ」


セインはなんてことないように答えた。


「最初にステラを好きになったのは僕なので、手放すことがあっては困ります」


それはきっと底なしの沼。互いに溺れあって抜け出せない。

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― 新着の感想 ―
逆ハーするような人間ならホストは致命傷だわなぁw そして爵位という壁がなくなったら意気投合するおっさん共w
特別のお茶会の方の男装キャストの方々は孤児の平民とはいえ貴族令嬢やその当主を相手しても支障のない位の知識と所作を叩きこまれているので将来的にどこかの貴族家や王城に侍女としてヘッドハンティングされそうで…
特別なお茶会は「二つ」あったッ!!!!! 主人公の策略と淡々と惚気る姿最高
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