表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
物語のネタ  作者: ななし
5/52

影を継ぐ王③

弟の喪が明ける前に、冠を戴いた。

民の歓声は薄く、空気はどこか乾いている。誰もが礼を尽くすが、顔には見えない秤がある。俺の一挙手一投足は、いつも彼の影と比べられる。――それは、生きていた頃より残酷だ。彼はもう答えられないから。


「第二王子の遺志に倣い…」という文句がどれほど多いか。臣下は彼の名を祭り、法に彼の言葉を刻む。誰もが彼の“完成”だけを語り、過程の揺らぎや苦悩は忘れ去られる。俺はその忘却の中で、いつも蚊帳の外だった。捨てられたように町に落ち、名を変え、髪を染め、ただの人として忍び歩いた──しかし結局、世界は彼の思念を必要としたのだ。彼が死んでからこそ、彼は“伝説”になり、俺はその伝説の裏にある生身として晒される。


議場で刀のように突きつけられる比較。民の期待の目。嘲りとも憐れみともつかない同情。俺はゆっくりと、声を絞り出した。


「お前は…死んでも、俺を苦しめるのか。」


その一言に、誰も返す言葉はなかった。彼は安らかに眠っているだろうか。民は彼を祀り、政策は彼の名の下で行われる。だが俺は知っている。彼がいつも灯していた光は、俺の影を深くする灯火でもあったと。皮肉なことに、彼の完璧さが、俺の不在を永遠に明るく照らし続ける。


王としての仕事は次々に降ってくる。決断と演説と偽りの笑顔。胸の奥では、捨てられた男が冷たくひび割れていく。誰も気づかない。誰も触れない。彼が消えたあとに残るのは、ただ比較の連鎖だけだ。


俺は窓辺に立ち、遠くに広がる市を見下ろす。そこで生きていた自分の名は、もう戻らない。けれど問いは消えない。お前は、死んでもなお、俺を許してくれないのか──と。

※以下は、本作制作時にAIへ提示したプロンプトです。

興味がある方だけどうぞ。


弟が事故で死去し、捨てられるように放置された第一が王になる

弟の仕事ぶりと比較されながら「お前は死んでも俺のことを苦しめるのか…」てきなこと言わせたい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ