代価の灰
祠を満たす闇は、まるで生き物のように蠢いていた。
我――欲より生まれしもの。
神には届かずとも、神と等しき力を握るもの。
その声に呼ばれ、膝をついている青年が一人。
「汝、我に何を望む」
我の問いに、彼は乾いた喉を震わせて答えた。
「……復讐を。
奪われた家族も、村も、全部……取り戻すために。
どうか、力を」
その願いの温度は弱く、しかし濁りきって強かった。
我は愉快さを押し隠しながら言う。
「ならば代価を払え。
汝が持つ温かきもの、最も脆い部分を献じよ」
青年は迷わない。
懐から一枚の紙切れを取り出し、我の前に差し出した。
少女の笑顔を描いた、拙い絵。
幼い頃の思い出、彼が最後に守り続けていた光。
「……これでいい」
瞬間、我は指先でそれを砕き、灰へと変えた。
祠の空気が凍りつき、青年の胸がひとつ脈を失う。
静寂の中で彼の瞳から光が抜け落ち、空洞だけが残る。
「代価、確かに受け取った。
汝の願い――叶えてやろう。
ただし、差し出したものは二度と戻らぬ」
青年は感情の欠片も浮かべず立ち上がる。
燃えるような憎悪だけが、灰の奥底でくすぶっている。
我は満足げに告げる。
「行け。
望むままに壊し、奪い、求めるがいい。
その先に何が残るのか……知る必要はない」
青年の足音が祠を離れる。
外の世界へ。
復讐のために心を失ったまま、帰り道を捨てて。
闇の中で、我は静かに笑った。
※以下は、本作制作時にAIへ提示したプロンプトです。
興味がある方だけどうぞ。
我 欲より生まれしもの
我 神にはならざれど神と等しき力を持つ
汝 我が問いに答えよ
汝 我に何を望む




