二人分の酒
あいつの三十の誕生日に村が燃えた夜から、十年が経った。
街道を歩くたびに、胸の奥で鈍い痛みがうずく。俺だけが生き残った理由なんて、今も分からない。分かりたくもない。
小さな村で、同じ年に生まれたってだけで兄弟みたいに育って、喧嘩もしたし、笑い合いもした。お前が結婚したとき、誰より祝ったのは俺だった。息子が生まれたとき、「いつか三人で飲もうな」なんて言って、照れながら笑ってた顔を、俺はまだ忘れられねえ。
四十になった今でも、俺はあの日のまま置き去りだ。
どう生きるべきか考えるたび、心臓の内側を爪でひっかかれるような気がする。
「お前と奥さんと子供、まだ俺は忘れてねえぜ」
墓標の前にしゃがみ込み、買ってきた酒瓶をそっと置く。
「悔しいよな……お前、息子と飲むの楽しみだって言ってたもんな……」
2人分の酒を墓にかけると、冷えた土に沁みこんでいく。
涙で薄まっても、許してくれよ。
せめて、俺の記憶だけはお前らを消さない。
そうやって、生きてるふりをしてるだけの俺を、どうか笑ってくれ。
※以下は、本作制作時にAIへ提示したプロンプトです。
興味がある方だけどうぞ。
あいつが30を迎える誕生日、村が魔物に襲われた
俺は行商人として街へ出向いていたから命拾いしてしまった
同じ年に生まれて小さい村だからと兄弟のように生活してきた
もう俺も40になっちまった
「お前と奥さんと子供、まだ俺は忘れてねえぜ
悔しいよな…お前、息子と一緒に酒飲むのが楽しみだって言ってたもんな…
2人分の酒、買ってきたぜ…」
墓標にかける酒、涙で薄くなったらごめんな




