約束
物心がつく前には孤児院で育てられていた
親の顔なんて知らない
幼少期からひとりでも生きていけるよう力をつけてきた
12になれば冒険者として日銭を稼ぐくらいはできるだろう
ある日、君が孤児院に来た
5つ下の男の子
不器用でひとりで過ごすような子だった
お姉ちゃんとしてなんとか院に馴染んでもらえるよう積極的に声をかけた
そんな中でも君は剣の稽古だけは一緒に参加して楽しそうにしていた
12歳を迎えた私は日銭程度の報酬を稼ぐ一端の冒険者になった
少しだが院にも寄付しようとしたが「もっと稼げるようになってからにしな」と止められてしまった
少しずつだがランクも上がり森の奥までいけるようになった
この頃から君は「俺も冒険者になるんだ!そんで一緒に旅をしよう!」と言うようになった
彼なりの心配だったのだろう
君に心配されるなんてお姉ちゃんまだまだだね
そんな私も15になり院から卒業することになった
君は相変わらず一緒に旅をしようと言ってくる
このやりとりも最後になるね
私は「いいよ、君が15になって院から卒業したら一緒に旅をしよう」と応えた
それからしばらく経ち、初めて討伐依頼を受けることになった
同じ依頼を受けた5人での共同依頼になるらしい
職種の関係もあり自分以外が男4人でも何の違和感も持たなかった
5人で森の奥へ進んでいくにつれ男たちに下卑た目で見られるよう感じた
とっとと依頼を終わらせたいなと思ったその時そいつは突然現れた
赤い鱗に大きな翼、そして巨大な体躯
ドラゴンと呼ばれる魔物だった
最初に犠牲となったのは情けない声を上げながら逃げ出そうとした男だった
他の男たちもすくんでしまったようだ
あぁ、ここでみんな死ぬのか
ドラゴンがこちらに近づいてくる
院のみんな、先生たち、そして…
「約束、守れなくてごめんね」
そう小さく呟いて私の視界は暗転した
暗転した意識は、二度と戻らなかった――はずだった。
けれど、かすかな痛みだけが、私を地の底へ引きずり戻した。
まぶたを開けると、視界は赤黒く滲み、空気は鉄の匂いで満ちていた。
倒れ込んだ私のすぐそばで、誰かが必死に呼びかけている。
「……お姉ちゃん、お願いだから……!」
その声を聞いた瞬間、胸が締めつけられた。
こんな声、忘れるはずがない。
五つ下の、あの子。
まだ小さかった頃、私の後ろに隠れてばかりいた子。
けれど今、私の視界に映った彼は、血まみれの剣を握り、震える手で私を支えていた。
「やだよ……約束しただろ……! 一緒に旅するって……!」
私は口を開こうとした。けれど、もう声は出なかった。
代わりに、濁った息が漏れ、胸の奥が冷えていく。
彼がドラゴンを仕留めたのだろう。
その巨体は背後に横たわり、地面には彼の血まで飛び散っていた。
こんな姿になるほど無茶をさせたのは、私だ。
――ごめんね。
そう伝えたかった。
でも、もう言葉は落ちてこない。
「やだ……そんな顔で笑うなよ……!」
笑っているつもりはなかった。
ただ、最後に君を見られてよかったと……本当に、それだけ。
指先が触れた。温かい。
けれど、その温もりもゆっくり遠ざかっていく。
もっと生きたかった。
君が十五になるのを見たかった。
一緒に歩きたかった。
でもそれは、もう届かない未来。
最後に落ちゆく意識のなかで、私は小さく思った。
――約束、守れなくてごめんね。
そして私という物語は、深い闇に静かに消えていった。
前書きがプロンプトになります。
拙い文章ですが許してください。




