影を継ぐ王①
「陽の当たらぬ王子」
生まれたときから、俺は「第一王子」という名札を貼られていた。
それは栄光の証であるはずなのに、気づけばいつも重石のように肩にのしかかっていた。
弟が生まれるまでは、俺は「よくできた子」と呼ばれていた。
けれど、あいつが初めて剣を握った日のことを今でも覚えている。
年齢に似合わぬ見事な構え。侍従たちが息を呑み、父上が笑った。
その瞬間、俺の世界の光はすべて弟に向かった。
以来、俺の名はいつも「比較」の前に置かれる。
「第一王子にしては努力している」
「第二王子ほどの才はないが、真面目だ」
——そう言われ続ける人生だ。
俺は努力した。
血の滲むような鍛錬も、眠る間も惜しんでの勉学も。
でも結果はいつも「まあまあ」で、弟はいつも「完璧」だった。
それでも、弟は俺を慕ってくる。
「兄上のように努力できる人になりたいです」
無邪気な笑顔。
あの言葉を聞くたび、胸の奥が痛む。
——俺なんかより、お前の方がずっと上だよ。
それが口癖になった。
自嘲と嫉妬と、少しの愛情を混ぜた言葉。
弟はそれを謙遜だと思って笑った。
やがて、王位継承の話が持ち上がった。
形式上、第一王子である俺が王位を継ぐはずだった。
だが、臣下の多くは弟を推した。
「民が望むのは、才能ある者です」と。
その夜、弟が俺の部屋を訪れた。
「兄上、僕は王になりたくありません。兄上の隣で仕えたいのです」
ああ、なんて残酷なんだ。
お前のその優しさが、俺をどれだけ傷つけるかも知らないで。
翌朝、俺は辞退の書を差し出した。
「この国を導くには、あいつが相応しい」
それが俺にできる、唯一の“兄としての役目”だと思った。
――その日を境に、弟は“第二王子”ではなく“王”になった。
民は歓声を上げ、父上は満足そうに頷いた。
俺はただ、影の中でその背を見送った。
今も弟は、折に触れて俺を訪ねてくる。
「兄上のおかげで今の僕があります」
そう言って笑う。
俺はただ微笑み返すだけだ。
——俺なんかより、お前の方がずっと眩しい。
その言葉を胸の奥で呟きながら、
今日も俺は、光の届かない場所で小さく息をしている。
※以下は、本作制作時にAIへ提示したプロンプトです。
興味がある方だけどうぞ。
第一王子:凡才
常に弟と比較されているため苦しんでいる
口癖は「俺なんかより…」
第二王子:天才
兄が努力家だと思い自分も頑張らないといけないと信じ努力する
兄のことを敬愛している




