自由な涙
鉄の匂いが満ちた白い室で、少年は生まれた瞬間から拘束されていた。
筋肉ひとつ動かすにも、脳に埋め込まれた制御芯が許可を出さなければならない。
笑えず、泣けず、声すら出せない。
研究者たちが与える「命令」だけが、彼の世界だった。
それでも、彼の奥底には微かな“自我”が残っていた。
それは言葉にもならないほど弱々しく、しかし消えずに灯り続けた火種。
──どうして僕は、生まれてしまったのだろう。
命令ひとつで血を流し、命令ひとつで痛みに耐え、命令ひとつで眠らされる。
自由を知らぬ彼は、それでも“自由がない苦しみ”だけははっきり感じていた。
ある夜。
研究者が気まぐれに与えた睡眠薬が、いつもより深く沈むように作用した。
意識が闇に落ちる寸前、少年は初めて、自分の意思で「願い」を形にした。
──この世界はいらない。
──来世で、ただ手を伸ばせる体が欲しい。
──泣きたい時に泣ける心が欲しい。
──誰かの手を、自分の意思で握れるように。
その祈りは、声にならずとも確かに存在した。
そして沈む直前、少年の瞳に一滴だけ、透明な涙が光った。
自我が、最後に絞り出した“抵抗”の証のように。
誰も気づかぬその涙は、白い床に静かに落ちた。
それが彼の人生に残された、唯一の自由な行動だった。
来世のどこかで、彼がその涙の続きを生きられますように──。
※以下は、本作制作時にAIへ提示したプロンプトです。
興味がある方だけどうぞ。
非人道的な人体研究の結果生み出された少年
生まれた時から体の自由はなくただ生みの親の指示でしか行動できない
そんな彼でもかすかに自我が残っていた
その自我で今世を呪い来世を願った…




