宙のくじらと、オパールの海を越えゆく星の瞳
秋の汽笛を
鳴らすように吹く
頬にさわやぐ
金風のモデラート
見上げた
空のカプリブルーに
浮かぶ雲の
くじらを見つめて
時を刻みゆく
季節のメトロノームに
金木犀の
香りがそっと
頬を流れゆくとき
コキアは紅く
景色に秋を
やさしく燈すように
星のくじらが
七つの海を越えゆくように
北の空へと
上りゆく秋北斗は
季節の扉を
開く星の鍵のように
やがて東南の
夜空の海を渡りゆく
くじら座の
遥かな星のシルエット
宙のくじらが
七つの色をあつめるように
棚びく雲の
合間から溢れ出す
月はまるで
くじらの瞳のように
煌めく彩雲は
七つの光をあつめて
虹色に煌めく
オパールのように
くじらの胸に
光る鼓動はミラの星
秋の息吹を
宙に瞬きながら
空の色は
雲のかたちは
日々移りゆく中で
今日という
こころの
空を大切にできたら
見上げた宙は
はてしなく広がって
だからこそ
見つけた星の
その一つひとつの
光は、かけがえのないもの
描く夢もまた
それぞれの空に
それぞれの輝きとなって
時に降る
秋時雨の日もあるけれど
雨上がりの
景色にはきっと
七色の光が、空をわたるように
時雨月の夜空に
北斗七星が上りゆくように
秋の汽笛を
鳴らすように吹く
風の彼方の
空はカプリブルー
遥かな彼方まで
そっと届ける
金木犀のような
言の葉が
きっと、あると信じて
星のくじらを
映す瞳は
オパールの色で
宙の海を、わたりゆくように
オパールは10月の誕生石で、七色の虹のような色彩で「神の石」とも呼ばれ、石言葉は「希望」「幸福」です。モデラートは、イタリア語の「程よい」に由来する音楽用語です。
10月頃から夜空に上るくじら座は、胸の紅い星・ミラ(ラテン語で「不思議なもの」)が時に眩しく、時にやさしく煌めくことで知られ、秋北斗(北斗七星)が見える時、この星座も見えるとされます。
金木犀は「千里香」とも呼ばれ、10月頃が見頃で金色の花が咲き「謙虚」の花言葉があります。時雨月は10月、金風は秋の風のことです。コキアは今の時期に葉が紅葉します。
季節の星や花をモチーフに詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。




