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一人ぼっちだった前世⋯⋯。今世は最強(最恐)愛し子として楽しく生きてます!  作者: おかき
ザイラー獣人国編

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8話 答えは目の前

侯爵は暫くアルバートを見ていたが、私達に看病を頼むと自室へと帰って行った。


里奈は青龍の頭を撫でる。


「ごめんなさい。青龍。」

「貴方の大切な人達を守れなかった⋯⋯。」


里奈は涙を零し青龍を撫で続けた。


何も出来ない侍女達も、静かに涙を零す。

里奈が撫でる青龍は見えないが、そこに神聖な何かがいる事は肌で感じる。


静かに時間だけが過ぎた⋯⋯。



〜 ❀ 〜


子爵夫妻を手伝い、汗を流して元従者達のお世話をするヤービスとクーロ。


小さなうめき声が聞こた。

ヤービスが振り返ると、一人の従者と目が合った。乳母のナダだった。 ヤービスが駆け寄り声をかける。


「ナダ!?私が解るか?」

ナダは小さく頷いた。

「助かったのだよ!愛し子様達が助けてくれた!」


ナダは愛し子様の言葉に反応する。

首を横に振り何かを訴えている。


「愛し子様の連れて来られた方が、貴方達の紋を解除したのだ。愛し子様には何も被害はない。大丈夫だ。全て大丈夫なのだ!」

クーロの言葉に、ナダは涙を流す。


「ナダ。何か食べるか?欲しい物は?」

ナダは喉が渇き水が欲しかった。

言葉にしたいが、口が渇いて上手く話せない。

視線を水淹れに向け、顎で水が欲しい事を伝えた。

「水か?」ヤービスの問いかけにナダが頷いた。

背中に手を入れ、クーロと一緒にナダを起こした。

水を渡すと、ゆっくりゆっくり飲み干した。


「ヤービス様。生きていらしたのですね。」

掠れた声で再会を喜ぶ。

「愛し子様に助けていただき、アルスタ王国で匿ってもらっているよ。ナダも皆も愛し子様が守って下さる。まだ皆眠っている。ナダももう少し休むんだ。」


ナダはコップをヤービスに渡し横になると直ぐに眠りに就いた。


「これで一安心ですね。」

クーロの言葉にヤービスは頷く。


ヤービスとクーロは獣人達の看病を買って出て、子爵夫妻を休ませた。


日も沈み始め、子爵夫妻が夕食を届けに離れにやって来た。

夫妻と話をしていると、従者達が全員目を覚ました。

体が辛いのだろう⋯⋯。視線で欲しい物を伝える。

不自由な従者に夫妻も手を貸し、水や軽食を渡す。


従者達も会話が出来るようになり、ヤービスの執事をしていたジーノが話を始める。


ヤービスが生贄として連れて行かれた後、従者達は牢に入れられ暫く過ごした。

何日過ぎたのかは解らなかったが、ローブの男が現れ紋を刻んだ。

紋の説明をされ、絶望した。


紋を刻まれたまま、国境を歩いて越えさせられた。その時に瘴気に触れたのだ。

この領地まで歩かされ、意識を失ったと⋯⋯。


目覚めると、ヤービス殿下とクーロ宰相がいる。その事が1番嬉しかったと⋯⋯。


ヤービスは話を聞き終え、従者に伝える。

「愛し子様の側に私とクーロ。そして重鎮達はいる。助けられた事に恩を返す為に、私達は愛し子様の為に動いている。」


「そして。愛し子様は、獣人国にやり返してくれるそうだ!王妃やゴッドローブを痛め付けてくれる約束をしてくれた。」

「理由は私達だけの事だけではない。アルスタ王国の民が沢山犠牲になった。その報復をされる。」


「貴方達がどうしたいかは、決めて良いそうだ。国に戻るのは勧めないが、帰りたいなら何とかしよう。だが、この国に残るならば、一緒に働こう!助けてくれたこの国の人々の為に。」


ジーノが他の者に問いかけた。

「私はヤービス殿下と共にこの国に残る。貴方達はどうされますか?」

「私も残ります。やっと殿下と会えたのです。」

ナダが意思を伝えた。

他の者も全員残る事を決めた。


この従者達は全員が羊の獣人だった。

羊は身内を大切にする。そして、寂しがりなのだ。

動くならば、全員一緒。


「ありがとう。愛し子様が目覚めたら教えて欲しいと言われた。まだ疲れているだろう?今日はゆっくりしてくれ。」


従者達に軽く食事をさせ、再び横にさせる。

ヤービスは、ふと思いついた。


「クーロ!里奈さんに伝えたい事が出来た!皆を頼む。」

言い切ると同時に転移した。


里奈の私室に⋯⋯。


いきなり現れたヤービスに侍女達が驚いた!!

一瞬ヤービスは侍女達に殴られそうになるが、里奈が止めてくれた。


「驚かせてごめん!」

「里奈さん!閃いた事がある。青龍様の意思を聞けるか⋯「どうやるの!!」

里奈はヤービスの肩を掴み、話を被せた。


「どうやるの?早く教えて!!」

ヤービスの両肩を前後にブンブン振る。


「や、やめて⋯⋯。」

ヤービスは首が痛い⋯⋯。


『落ち着け!!』

白狐にスカートを咥えられ、後ろに引かれた。

「ご、ごめん!ヤービス!」


「大丈夫。首が痛かっただけだから。」

里奈は速攻でヤービスの首を治癒した。


里奈は期待の目をヤービスに向ける。


「成功するかは解らないよ?案が閃いただけだからね!」

里奈はウンウン頷いた。


侍女達にソファーに座って話を聞くように勧められた。

紅茶を淹れてもらい、ヤービスが話し出す。

青龍は里奈の膝の上に座り、姿を現していた。


「その前に報告があります。従者達が全員目覚めました。軽く食事をさせ、今日はゆっくりしてもらっています。そして、全員この国に残るそうです。」

里奈は青龍を撫でながら、安堵の息を吐いた。

「そう。良かったわ。ヤービス!良かったわね!」

ヤービスは泣きそうになるが、我慢する。

優先すべきは、青龍様だからだ。


「従者達が目覚めた時、会話が出来なかった。視線で欲しい物を見て頷いたり首を振ったりしたんだ。」


「青龍様も同じではないかと。私達の話に頷いたり、首を振ったりして答えてくれる。なら、言葉を紙に書いて時間は掛かるけど一文字ずつ指して文を作って⋯⋯!」


会話の途中ではあるが、里奈はヤービスに抱きついた。

成功するかはまだ解らない。

でも、ヤービスがずっと気にかけてくれた事が嬉しかっのだった。


「ありがとう。ありがとう、ヤービス⋯⋯。」


里奈の背中をポンポンして、

「成功するか解らないよ?でも今から準備しよう?」


里奈は侍女達に少し大きな紙を用意してもらった。

ヤービスがこの世界の「あいうえお表」を作ってもらった。


青龍に一文字ずつ指を指し、青龍の反応を見る。

青龍は首を振るだけだった。


膝に座っていた青龍があいうえお表を、小さな手でクシャリと握りテーブルから床に捨てた。


「これでは駄目だったか⋯⋯。」

ヤービスは落ち込むが

「他の方法を考えてみるから!」

ヤービスは里奈を励ましていた。


里奈も少しだけ落ち込むが、ヤービスに

「諦めないで私も何か考えるわね!」

二人で励まし合っていた。


青龍が里奈の頰をペチペチ叩き、白狐を指す。そして、自身を指す。

それを何度か繰り返す。


里奈とヤービスが意味を考えるが、白狐と青龍の共通点は⋯⋯。


ヤービスが先に答えに辿り着いた。

「白狐様と青龍様は同じだと言いたいのですよね?白狐様と青龍様は日本の神だよ!里奈さん!」


「それはそうだけど⋯⋯。」

里奈は当たり前の事を言われても、理解出来ずにいる。


「里奈さん!日本語だよ!平仮名を書いてみようよ!」


里奈はハッとなり急いで平仮名の表を作る。

青龍は平仮名の「な」「ま」「え」「き」「き」「た」「い」

の文字に頷いた。


一文字ずつやる為、青龍も疲れたようだ。

 「なまえききたい」

「って何?!」


青龍はそれ以上は伝えられない様だった。


『封印に関わる事は伝えられぬ。青龍なりに言葉を選び伝えられた言葉がそれだろう。』

白狐の説明に青龍が頷いている。


里奈は彼と聖女を知る侯爵を呼ぶことにした。


侍女に呼びに行って貰い、転移で侍女と来てくれた。


「そのお方が青龍様ですか?」

侯爵は初めて青龍を目にした。


「侯爵は初めましてね。侯爵の領地の湖に棲まう青龍よ。そして、私達に何とか言葉を教えてくれたの。」


侯爵は床にある二枚の表に視線をやる。

「一つはこの世界の言葉ですね。このように書かれた物は初めて見ました。」

「こちらは?愛し子様達の世界の言葉でしょうか。」


里奈は説明する。

「その表は、私とヤービスがいた世界の勉強方法よ。初めて文字を習う子供が見る物ね。」

侯爵は顎に手をやり、フム⋯⋯。と、考える。

「愛し子様。ヤービス殿。この表を私が活用しても構いませんか?妻が孤児院を経営しています。それに役立てるかと。」


「勿論よ。大人でも解りやすいから、文字の認識率があがるわね!」

里奈がそう言うと、侯爵はニッコリ微笑んだ。


(侯爵の笑顔は、やっぱり慣れないわね⋯⋯。)


「それより、青龍様の言葉の意味ですよ!文字の事は後です!」

ヤービスに怒られた。


「侯爵。青龍は (なまえききたい) その言葉を伝えて来たの。解るかしら⋯⋯。」


里奈とヤービスは侯爵の答えを待つ⋯⋯。


「なまえ。ですか⋯⋯。」

侯爵も何かを考えている様だ。


「それだけでは解りませんが、なまえに何かあるのは確かですね。」


「一度邸に帰り、文献をもう一度見てみます。何か解るかもしれませんし。」


侯爵は、転移しようとしたが里奈とヤービスを見て、

「息子の為に、ありがとう。必ず見つけてみせるよ。」

手を振り転移して行った。


里奈は少しだけ未来が明るくなった気がした。

青龍が里奈の胸に飛び込み、頭を何度か下げる。

「青龍。気にしないでね。貴方のおかげでアルバートを助けるヒントが掴めたのよ?ありがとう。」

頭を撫でながら、青龍にお礼を言う。


「あれ?表が無いよ?」

ヤービスの言葉に床にあったはずの、あいうえお表を探す。


『あやつが持って行ったぞ。』


白狐が言うあやつは、きっと侯爵だろう。


ヤービスと里奈はちゃっかりな侯爵の行動におかしくなる。二人で暫く笑い合っのだ。


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