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一人ぼっちだった前世⋯⋯。今世は最強(最恐)愛し子として楽しく生きてます!  作者: おかき
アルスタ王国編

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9話ː 特別な1日

誰かと始めて


「いってらっしゃ」 いってらっしゃい

「いってきます」


の、やり取りをした。


女神様との会話は胸がキュッと苦しくなる。

苦しいが嫌な苦しみではなく、ただただ泣きそうになる様なそんな感情が込み上げてくる。


歩みを止め、扉の前に来た。

女神様の顔をもう一度見たいな〜。

でも、振り向いていなかったら悲しくて、立ち直れそうにない。


両手で頬をパンッと叩き、気合を入れる。

『新生里奈は強くあれ!』と。


扉と向こうの光の世界との境目を小さく跨いだ。その瞬間、無意識に振り向いてしまう。


そこにはちゃんと女神様がいたのだ。

優しく微笑む女神様がいたのだ。


女神様が手を振る。

私は右手を上げ、大きく手を振る。


「女神様。いってきます。頑張って生きます。見てて下さいね。」


女神様は頷いて私の行く先を見守ってくれている。


もう大丈夫。私は強くなるのだ!

日本での私みたいに全てを諦めるのを止める。

小さかったあの頃。

まだ認められたいと必死になった記憶を掘り起こす。

力強く大きく1歩踏み出す。


『今世の私は諦めないのだ。』と。



眩い光の空間を歩いて行く。

道標等無いが、ただただ真っ直ぐに。

女神様に背中を押されてる気がするのだ。

すると突然視界が開けた。

私の目に映る景色は西洋のどこかの神殿

みたい。白をベースにしたとんでもなく広い部屋。


すると左側に気配を感じ顔を向けると、白い高そうな布を纏った男性がいた。

おじいちゃんまでは行かないが、おじさんとも言えないくらい品がある。

ん〜。おじさまかな?おじさまって感じだな。


おじさまが手を差し出してきたので、自分の左手を添える。

女神様にもしてもらったエスコート。

社交ダンスが好きで大会を1人でよく見に行っていたのだ。

パートナーに手を添える動作が同じで、見様見真似でやってみたのだ。


手を引いたおじさまが、フワリと笑う。

挨拶なされますか?と、問いかけられた。


今は何時かな?

時間が解らないけど、午前中っぽいかな〜。

とりあえず 


『おはようございます?』

かな。


なんだか皆ソワソワしだした雰囲気になったので、挨拶間違えたかな〜とションボリしてしまった。

視線を少しだけ下げると沢山の人が綺麗に段の前に並んでいた。


ソワソワした雰囲気から皆が落ち着いてきたと思ったら、視線がこれでもか!!と、強く刺さる。


痛い。視線が痛すぎる!

怖いよ〜。



そんな中、ほんの一瞬だけ体にチクリと何か刺さる様な変な感じがした。

何となく1番後ろを見たら、とんでもない綺麗な男性がいた。

その人はじっと私を見ている。

物凄く見ている。

ゾワリと背中に何か感じていると、1番前の男性が私に話しかけた為直ぐに彼から視線を外した。


この中で1番偉い感じの人は、やはり1番偉い人で国王だった。

隣の綺麗な女性は王妃様かな。その2人を挟み若者がいる。

王子様と王女様だろうな。

だって格好いいし、綺麗だし。

異世界凄いな。


と色々感想を心で述べていたら、いきなり陛下が頭を下げたのだ。

後ろの人達も皆頭を下げる。


止めてほしいよ〜。

そこまで頭を下げられる価値等、私にはないと思うのよ?!

陛下って1番偉いのよ?!

頭を下げさせるなんて、後で殺されない?!


怖くて止めて欲しいと直ぐに伝える。

この異様な空気に恐怖を感じるし、とてつもなく目立って恥ずかしいのだ。

あ〜感情が追いつかず泣きそう。


おじさまが隣から、皆来てくれたお礼を伝えたいだけだと教えてくれた。


私がこの世界に来た事を喜んでくれているの?本当に?

私を必要としてくれてるの?

不安を覚えつつ皆を見ると、喜色満面の笑みで私を見ている。


あ〜。女神様が言った通りだ。

この世界で私は受け入れて貰えた。

初めて私という存在を前に、嬉しそうな表情を向けて貰えたのだ。

日本での里奈の心も、ほんの少しだが軽くなる気がした。

温かい。嬉しい。


初めて出会った人達なのに、こんなにも温かい心が伝わる。


今日は今までで私の中で1番の『特別な日』

となるのだ。


素敵な1日を与えてくれるこの人達に精一杯のお返しをしよう!

そう決意する。



 〜 ❀ 〜 ❀ 〜


儀式とはいっても、別段変わった事もない。直ぐに儀式に興味を無くし、ぼんやりしながら儀式を眺める。


アルバート・フィッセル侯爵令息は興味なくただ皆と並んで立っていた。


1番後ろの列で膝を着き祈りを捧げるが、頭の中は明日に回した仕事の事を考えたり、先日街で見つけた古書店の事を考えていた。


本人は女神様から言を授けられた事など忘れている。乙女の選定者として1人だけ呼ばれた事も全てが記憶から消えていた。

 

ぼんやりと考え事をしていると銀色の世界に引き込まれたのだ。


銀色の粒子が降り注ぎ、体に触れると視界がいきなり色付いた。

今まで霞んでいたかのような景色が明るく色付く。


祭壇に目をやると、黒髪の少女が現れた。

少女を視界に捕らえた瞬間思考が飛んだ。


ただただ、美しい少女を食い入る様に見つめる。

少女と視線が合う。が、直ぐにそらされる。

何故か酷く心が締め付けられ苦しい。

締め付けられるのに、熱い何かが体を巡る。

初めて自分から人に興味を持った。


ふと、自分は選定者だった事を思い出した。

記憶のゴミ箱から自力で探しあてたのだ。

美しい彼女を視界に捕らえ顔を綻ばせる。


強烈に彼女を記憶した瞬間だった。


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