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一人ぼっちだった前世⋯⋯。今世は最強(最恐)愛し子として楽しく生きてます!  作者: おかき
アルスタ王国編

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88/108

88話: やっぱり優しい世界

数ある作品から覗いて下さり、ありがとうございます❀


アルスタ王国編。完結となります。

〜 ❀✿ 〜


夜空を見上げると、大きな大きな青い月。


塔の上から夜空を眺める人物がいる。

この綺麗な月が大好きだった人物を思い浮かべ⋯⋯。


「兄上⋯⋯。」


瞼をきつく閉じ、大好きだった兄を思い涙する。

大きな青い月の光の中、その者の魂の輝きを白狐の神力が捉えた。 


『ほう⋯⋯。』


神力で獣人国を覗いている白狐が反応する。


『あの様な国にも、魂の輝く者がいるとわな。』


白狐の呟きは誰に聞かれることも無く、夜の闇に溶け込んだ⋯⋯。



〜 ❀ 〜


里奈は朝早くに目が覚めた⋯⋯。

出立まで後3日⋯⋯。


里奈はため息を吐いた。


昨日は1日予定がなく、8番街へと向かった。

街の皆や孤児達は、それぞれ自立して仕事をこなしていた。

里奈は、畑の手伝いと子供達と遊ぶ事以外やる事が無かった⋯⋯。

自分がやる事が無いのは、とても良い事なのだが⋯⋯。

また落ち着かない気持ちになった。


しかも、昨日は1日中アルバートが側にいなかったのだ。

何をしていたのかは教えて貰えなかった。


そう⋯⋯暇過ぎるのだ。


数日前まで、ずっと何かに追われていた。

初めてこの国に来た時に、ゆっくり過ごしてはいたが誰かが常に側にいた。


昨日のように、完全な一人での自由な時間は初めてだった。

今日は何をしようか考えながら寝室を出ると、アルバートがいた。


「おはようリリ。」

「おはようアル。」


笑顔で挨拶する里奈だが、元気の無い事にアルバートは気が付いている。


里奈をいつもの様に姿見の前に座らせ、身支度を行う。


今日は久々のポニーテールを結っている。

「今日はポニーテールなの?」

里奈の質問に、アルバートが今日の衣装を見せる。

丈の少し短いワンピースだった。


「今日は1日お出かけですよ?ゆっくり過ごせるのも後数日です。

今日は沢山楽しみましょうね!」

アルバートの明るい声に、里奈の気持ちも上がって行く。


「何をするかは秘密なの?」

里奈が鏡越しでアルバートに聞いてみる。


「秘密ですよ。」


アルバートが笑顔で答えてくれたので、きっと楽しい事だと何をするのか楽しみになる。

アルバートは元気になった里奈を見て、これから行く場所に早く連れて行ってあげたかった。


朝食を終えると、お出かけが楽しみな里奈は、早々に準備を終わらせた。


「アル!準備は出来たわよ!」


嬉しそうに声をかけてくる里奈が余りにも可愛くて、アルバートはギュウギュウに抱きしめる。


『行くぞ。』


白狐はじゃれ合う二人をそのままに転移した。


里奈は転移した先を見て、呆然と立ち尽くしてしまった。

転移した先は、女神の森。

そこには、里奈を待ってくれている人々が沢山いた。


陛下に宰相、侯爵に大司教が前に立っている。

王妃様にリチャード殿下にエリザ王女までいる。


ライナス司教にガルズ司祭。その横にはアーグにセシー。

側付きの男性達。

側付きの女性達。

パトリック達3人衆。

ヤービスに獣人さん達。

やらかし組みの聖女4人に、団長達や副団長達。

侍女にメイド達。


里奈に関わる全ての人がそこにいた。


里奈はただ、皆を見つめていた⋯⋯。

アルバートが里奈の背中に手を添え、ゆっくりと皆の待つ場所へ連れて行く。


ベリル宰相が、

「里奈さんの目標であった、コル拾いを皆で行う為に集まりました。陛下や私達は同行出来ないだろうと思っていたので、今日はとても楽しみです。」


里奈は、ウンウン頷いた。


「リリ。先日の王宮で全ての予定が終わってから、リリの心が落ち着かなくなりましたね。」


里奈はアルバートへと顔を向けると、小さく頷いた。

「全てが整って獣人国へ向かうだけなのに、急に心が落ち着かなくなったの⋯⋯。」


「やる事が無くなったからなのか、一人で退屈だったからか考えたけど、解らなかった⋯⋯。」


アルバートが里奈の両手を掬い取り。


「その感情は、〈寂しい〉感情ですよ。」


「リリは、アルスタ王国や置いて行く者達と離れる事に寂しいと思ったのですよ。」


里奈の瞳にじわりと、涙が溜まっていく。


(日本にいた自分は、寂しかっただろうと思った事もあった。けど、考えただけだった。

ナタリー達と離れるのを寂しいと感じたけど。感情が余りにも違う。本当の〈寂しい〉がこれなのね⋯⋯。)


(この苦しい気持ちが、悲しくなる気持ちが本当の〈寂しいって〉感情なのね⋯⋯。)


アルバートをじっと見つめ、涙を零した⋯⋯。。


「私は初めて、寂しいって気持ちをちゃんと知った。酷く悲しくなる⋯⋯。ここに⋯⋯いたい。ずっと⋯⋯皆といたいのっ!」 


里奈は我慢出来ず、アルバートに抱きつき大声で泣き出した。

アルバートは優しく背中をポンポンしている。

ゆっくり落ち着くように優しく話し出す。


「リリを昨日は一人にしてしまいましたね。私はリリに、寂しい感情をちゃんと知って欲しかったのです。その気持ちを受け止めて欲しかった。」


「寂しいと思うのは、それだけリリが周りの人達が大切で大好きだからです。離れたくないから、寂しいのです。」


アルバートの話に、頷きながらも泣き止む事は無かった⋯。


暫く待つと、里奈の涙も止まった。


アルバートから離れて、皆の顔を見る。

女性達は全員泣いていた⋯⋯。


特に置いて行かれる側付きの女性達は、泣き止む気配がないのだ⋯⋯。

彼女達も、大好きな里奈と離れるのが寂しいのだった。


里奈はナタリー達の元に行き、皆に抱きついた。

「私はアルや白狐さえいれば良いと思ってた。でも違った。」

「寂しくなる程に、私はここにいる皆が大切で大好きなんだと、アルのお陰で実感出来た。」


ナタリー達を見つめ、

「獣人国の事は早く終わらせたい。でも、どれくらい日数を要するか解らない⋯⋯。」

「絶対に帰ってくるから、待っててね。」


ナタリー達は里奈に抱きつき号泣した。

心の底からの絆が繋がった⋯⋯。


「愛し子様。そろそろコル拾いをしましょう。」

空気を読まない侯爵が声をかけてきた。


陛下や宰相は、残念な視線を侯爵に向ける。


里奈は涙を拭い、

「そうね!せっかく皆が集まったのに、泣いてばかりでは楽しくないわね!」


「でも、森に勝手に入って良いのかしら?」


『許可は得ている。我が転移する。』


白狐の言葉と同時に、全員で森の中に転移した。


「里奈先生!コル拾いを教えて下さい。」


ギルベルトが手をあげ、お返しとばかりに先生呼びをしてきた。

(ギルベルトのやつー。やり返してきたわね⋯⋯。)


「えーっと。では、コル拾いの説明をします!」


里奈は陛下や王妃様達と一緒にコル拾いを始めた。

以前一緒にコル拾いをした者が、初めての者に教えていた。


陛下と王妃様は仲良く二人でコル拾いを楽しんでいる。


何故かキノコ拾いも始まり、キノコに詳しい侯爵が食用キノコかどうかを鑑定している。

男性陣は、キノコ集めの競争を始めた。


女性達はコル拾いが楽しいらしい。

そしてこちらも何故か、誰が1番コルを集めるかの競争が始まった。

王妃様と王女様も参戦している。


里奈はナタリーに、

「里奈先生は不参加よ!絶対に勝っちゃうでしょ?」

と、断られた。


里奈が、「酷い!冷たい!」と、

散々ごねてみたが、勝負事が絡むと全員が里奈の敵に回り、不参加となってしまった。


里奈は横たわる白狐を背もたれに、一緒に来たカズラやヒイラギを撫でている。


周りを見ると、皆が楽しそうに森で遊んでいる。

コル拾いとキノコ採りなのに、楽しそうだ。


何をするのか、ではないのね⋯⋯。


誰と何をするかであって、一緒にいるその〈誰か〉が1番重要なのだと実感する。

里奈は気付かぬうちに、頰を濡らしていた。


今が幸せなのだと⋯⋯何度も思った。

この国で、私は幸せを手に入れたのだと。

この風景そのものが、私の幸せの証。


里奈は目に焼き付ける様に、ずっと眺めた。

アルバートが側に来て、里奈と並んで同じ風景を眺めた。

アルバートが綺麗なピンクの小さな花を一輪、髪に挿してくれた。


「アル。白狐とアルの側で、この風景を見る事が私の今の幸せよ。

私はこの国で幸せを何度も手にしたわ。」


アルバートを見つめ、

「アル。ありがとう。寂しい気持ちを教えてくれたから、この幸せな気持ちを実感出来たのよね。」

「今日の事も、アルが考えてくれたんでしょ?」


アルバートは里奈の頬に伝う涙を拭い、頬にキスを落とす。


「リリの為なら何でもしたい私の我が儘ですから。」

反対の頬にもキスを落とし、優しく抱きしめる。

抱きしめられたアルバートの肩越しに、皆の姿を見る。


(私の幸せを誰にも壊させない。

この優しい人達が住むこの国を、何者からも護ってみせる。)


温かいアルバートの腕に抱かれ、ゆっくりと目を閉じる。


ヨーク領で見た魔物に殺されし、悲しき亡骸が瞼の裏に鮮明に浮かぶ。

ゴッドローブの手に落ちた、少女達も⋯⋯。


この優しい世界で、悲しくも未来を見る事を閉ざされた者達。


自分が幸せを感じる度に、胸の奥がギュッと締め付けられる⋯⋯。


忘れてはならない。

悲しき被害者を。今も虐げられる者がいる事を。


私は被害者の無念を晴らすのだと。

自分の幸せの為に戦うのだと。


忘れてはいけない⋯⋯。


『里奈よ。』


白狐の呼ぶ声に、目を開ける。


『気負うでない。我らもいるのだ。皆で悲しみも喜びも分かち合えば良いのだ。』


白狐の優しい気遣いに、心が解れていく。


「そうね。今は一人じゃない。沢山の仲間が出来たもの。」


私の周りには、こんなにも優しく温かい人がいる。


皆で幸せを掴みに行くのは、きっと悪くない。

これからも沢山の出来事を、皆で乗り越えたい。


白狐に抱きつき、

「これからも宜しくね!白狐。」

「アルもね!」


今日の素敵な思い出を、白狐からの贈り物の沢山入った木箱に大切に仕舞おう!


ピンクの小さな花を一輪添えて。


一旦完結とさせて頂きます。


ザイラー獣人国編は、12/15までには投稿を始めたいと思っています。


インフルエンザ警報が出てます。

皆さんも、感染気をつけて下さい。


ザイラー獣人国編も、良ければ覗いてみて下さい。


❀長くお付き合い下さり、本当にありがとうございます❀


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