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一人ぼっちだった前世⋯⋯。今世は最強(最恐)愛し子として楽しく生きてます!  作者: おかき
アルスタ王国編

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81話: サーシャは脳筋だった

明日は女性陣とお出かけの日である。


今日が終われば、獣人国に行くまでゆっくり出来る。

暫く離れる女性陣と、なるべく一緒にいる事にした。

言葉や態度にする事は、とても大切だと痛感したから⋯⋯。


領地の事などやる事は沢山あるけど、ゆっくりやる事に皆で決めたのだ。


いつもの様に朝食を終え、紅茶を飲んでいると玄関の方が騒がしくなった。

きっと、パトリック達が到着したのだろう⋯⋯。


皆で迎えに行こうとした時に、ダイニングの扉が勢い良く開いた!驚いた瞬間。

里奈は、めいっぱい抱きしめれた。


「里奈さん!会いたかったですー!」


そう⋯⋯。サーシャだった⋯⋯。


「っ⋯⋯。痛いのよ!!」


恒例の痛い抱擁からの、アルバートの引き剥がし⋯⋯からの、パトリックのサーシャ捕獲。


久々のやり取りに、皆が爆笑している。


「おはよう。パトリックもサーシャも早かったわね。もう少しゆっくりで良かったのよ?」

里奈の言葉にパトリックが呆れた目をサーシャに向けながら、


「サーシャが夜明け前から煩いので。」


「だって!里奈さんと会えるのを楽しみにしてたんですよ!」

里奈にくっつこうとするが、ナタリー達に阻まれた。


「サーシャさん。里奈さんに抱き着かないでもらえます?」

冷たくナタリーが言い放った。


ナタリーとサーシャが、バチバチに睨み合っている。


『嫉妬は見苦しいぞ。』


白狐の一言で、睨み合いは終了。

罰の悪そうな2人は放置した。


「団長達や、やらかし聖女も来てるの?」

パトリックが頷き、

「玄関ホールに、いますよ。里奈さんと顔を合わせるのが気不味いようです。」


「そうね⋯⋯。嫌味しか言ってないし?

会いに行くわ。」


側付き達には待機してもらい、パトリックと2人で玄関ホールに向かった。


愛し子に気が付いた団長達が膝を突こうとしたので、パトリックが制した。


「里奈さんは膝を突かれるのを嫌うのです。公式の場でない限り省くようにして下さい。」


やはり驚かれたが、了承してくれた。


「お久しぶりです。団長さん達。魔力を見る限り相当頑張られたみたいですね!

パトリックの指導で以前より魔力が増え、無駄な魔力漏れもないみたいね!」


団長達は内心驚いていた。

(魔力漏れを気が付いていたのですか⋯⋯。)

パトリックに最初に指摘されたのが、魔力制御が全く出来てない事だったからだ⋯⋯。

「愛し子様は最初の対面の時から、私達の力の無さに気が付いていたのですね⋯⋯。」


ぽつりと呟いた言葉を拾ったのは、パトリックだった。


「里奈さんは多分、今の貴方達より強いですよ。私も最初手合わせした時に驚きましたしね。」

パトリックの言葉に驚いて団長達が里奈に視線を向けた。


「私がいくら挑んでも、パトリックには勝てなかったけどね。」

ジト目でパトリックを見る。


「里奈さんから剣術と魔力の使い方を習ってから、更に強くなれましたからね。里奈さんは私の師匠ですしね。」


里奈を師匠呼びするパトリック。

パトリックが師匠呼びする里奈を、団長達が憧れの目で見つめ始めた。


団長達のキラキラした視線を浴びた里奈は、居た堪れない!


軽く咳払いをし、団長達の後ろにコソコソ隠れるやらかし聖女へ声をかけた。


「やらかし聖女さん達も聖魔力も増えた様だし、ガルズ司祭の特訓を耐えたのね。」


(やらかし聖女って!そうだけども⋯⋯。)


マリアンネが前に出て来た。

「度重なる不敬を、申し訳なく思っています。ガルズ司祭の指導で、聖女として何とか腕をあげれたかと⋯⋯。」



「アーグやセシーが何故私に重宝されるか、理解出来たのかな?」

「この先、私はアルスタ王国に常に居る訳ではないの。私の代わりに民を護る役目を任せられる聖女が欲しかったのよ。

それが、アーグとセシーなの。」


聖女達は、愛し子様の代わりになりうるアーグとセシーを下に見ていた。下位貴族だからと⋯⋯。

やらかし聖女達は己の過ちを反省し、ちゃんと悔いていた。


「アーグ様とセシー様には足元にも及ばないのは理解しています。

一度、ガルズ司祭がアーグ様達の討伐に私達を連れて行きました。

アーグ様達は、軽々と騎士達を聖魔力で補佐し浄化をしました。私達には無理でした⋯⋯。」

思い出して落ち込む聖女に、


「でも貴女達は腐らずに頑張ったのでしょう?頑張ったのは何のため?アーグに負けたくなかっただけなの?」

そう問いかけた。


マリアンネは視線をしっかり里奈に合わせ、

「少しは負けたくない気持はあります。ですが、以前のような気持は持っていません。私達の討伐により、民から沢山のお礼の言葉をもらいました。

貧しいながらに私達を歓迎してくれた。」

「その気持ちに報いたい!

今はその気持ちが強いのです。」


嬉しい言葉を聞いた里奈は、ニッコリ微笑み

「聖女らしくなって、私も嬉しいです。

でもねら聖女だから民に尽くす⋯⋯。

そうではないのよ?

強い力を持つならば、力を持たない弱き者を護る。

力とはそうやって使う事に、本当の意味があると思うの。」

「貴女達がそうしてくれたら、教会はもっと沢山の人が救われる場所になるわ!」


ウンウン頷く里奈の言葉に、全員がこの方に仕える事に嬉しさを見出していた。


「これから今日来てもらった事の説明と、私達が獣人国に行ってからのお願いの説明をしたいの。」

「側付き達に邸から出る事を説明してくるわ。戻って来たら転移するから、準備をしておいてね。」


里奈は急いで邸の奥に向かった。


里奈の背中を見つめながら、

「器が違うのだな⋯⋯。」

団長がぽつりと言葉を漏らした。


愛し子様と一緒に現れたのは、獣人の若者と大きな狐だった。

驚きはしたが、愛し子様といるので大丈夫なのだろう。

サーシャも同行する。


「説明は向こうでするわ。転移するけど良いかな?」

里奈の言葉に全員頷いた。


一瞬で景色の変わった場所は、森の奥。

国境線の手前であった。


「まず紹介するわ。大きな狐は私といつもいる子狐よ。こっちが本来の姿ね。

そして、こっちが獣人のヤービス。魔術はアルバート以上に扱えるわ。

これからヤービスとは一緒に行動する事も増えるから仲良くしてね!」


ヤービスの背中を里奈が軽く押し、前に出した。

「ヤービスです。魔術に関しては知識はあります。でも、剣術はさっぱりです。

宜しくお願いします。」

猫耳が、ペタリとなりながら挨拶をしている。

緊張と照れが耳に出ていた。


「「こちらこそ、宜しくお願いします。」」


挨拶を交わし終えたので、本題に入る。


この場所に魔道具が埋め込まれている事。

犯人は獣人国である事。

ヤービスが獣人国の王太子である事。

獣人国がアルスタ王国を滅ぼそうとしている事⋯⋯。


隠すべき話は隠し、事実を伝えた。


「貴方がたには、魔道具の場所を護って貰いたいの。スタンピートが起こるから、命の危険もあります。ですが、民を国を護る為に力を貸して貰いたいの。」


里奈の真剣な言葉に耳を傾ける。


「我々は民を国を護る為に尽力すると、以前愛し子様に連れて行かれた討伐の後に陛下に誓いました。」

「その為にパトリック殿に指導をしてもらい、また聖女達も司祭や司教の指導を受けたのです。」

「喜んで力添えします。」


そう話すのは、騎士団長だった。

近衛団長に副団長達。

それに、聖女達も同意見を述べてくれた。


「ありがとうございます。」

里奈は深く頭を下げた。

命懸けの戦いを受け入れてくれた事には感謝しかない。

慌てる団長達や聖女を無視して、白狐が話しかけた。


『我の加護をかけよう。死ぬ事はないであろう。だが、油断はするなよ。』


白狐が話しながら神力をかけた。


「ありがとう。白狐。」

里奈は白狐に抱きつき、団長達の言葉に嬉し涙を流すのを誤魔化した。


「里奈さんが出立すると同時に、皆さんにはこの場に待機してもらいます。

いつ起こるか解らないので、生活に困らない様に色々作りました。」


ヤービスは空間魔術から日本で使われるキャンプ用品を出した。


団長達はやはり男の人である。

次々と出す道具に興味津々である。


テントは男性と女性に分ける。


拠点となる周囲には防御結界の魔石を四方に埋め込み、拠点を安全な場所にした。


焚き火台を作ったが、この世界にステンレス等ないので木製にする。

焚き火台が燃えないように、アルバートが古い魔術書から水魔法の応用を使い水の魔力でコーティングした。

料理も焚き火台で出来るように作ってある。


森の木を伐採しないように、ヤービスが定期的に木を買い足す事になった。


水は公園の泉から引き入れる様に、里奈が地下水路を作った。

お風呂は快適に繋がるので、個室シャワーを作り立ったまま汗を流して貰う。


寝る時は寝袋だ。

戦闘が直ぐに出来るように、かなり大きく作ってある。

少しだけクッション性のある物を作った。

ライアン達の許可がおりた時は、里奈とヤービスはホッとした。

睡眠は大事。だけど、深い眠りは禁物となる⋯⋯。


ヤービスの説明を一緒に聞いていた里奈は、

(事が上手く行って帰って来た時は、必ずこの人達の献身に報いたい!!)

そう心に決めた。


「とりあえず必要な物はこれくらいでしょうか?もし必要な物が出来たら、遠慮なく言って下さい!」


「大丈夫かと思いますが、何かあればお願いします。」

騎士団長が返事をした。


ヤービスは聖女達を見て、

「女性は私に伝えにくいかもしれませんが。我慢し過ぎも良い討伐には繋がらないと思いますから。」


「何かあれば頼みたいと思います。見る限り、大丈夫そうです。」


あ!と、里奈がある事を思い出した。

マリアンネの耳ににヒソヒソと内緒話を始めた。

(下着とかを洗いたいでしょ?浄化魔術を組み込んだ箱を渡すから、それに入れたら綺麗になるからね!)


顔を離すと、親指を立てニッコリ笑う里奈がいる。

細やかな気遣いに感謝しか無かった。


「今から魔道具を見に行くけど、里奈さん以外は行けるがどうしますか?」


ヤービスの問いかけに、前回と同様に男性陣はいそいそととヤービスに寄っていく。

パトリックとサーシャに聖女達も⋯⋯。


見に行けない里奈は、またしても白狐と長いお留守番となった。


その後は自己紹介をしてもらった。

里奈は団長達や聖女の名前を知らなかったのだ。

やらかし聖女の筆頭は、

マリアンネ・ドーク公爵令嬢。

ケリー・カーソン侯爵令嬢。

オリビア・キースリー侯爵令嬢。 

コリン・アイマー伯爵令嬢。


騎士団長は、バートン・ゴーシェ公爵

近衛団長は、ミカ・スヴァルト公爵


(高位貴族だらけね⋯⋯。)


名前すら知って貰えていなかったと、全員落ち込んでしまった⋯⋯。

慌てた里奈は、お互い名前呼びで仲良くしようと謝罪を込めて提案するが、代替案を出されてしまう。


「里奈さんと是非とも手合わせしてもらいたい!」

男性4人からの提案に、後ろめたい里奈は断れず手合わせを了承した。


「私達は、里奈さんに聖魔力とセシー様が使う魔術を教えて下さいませ。」

と、お願いされた⋯⋯。


「解ったわ!私が悪いんだから、全部引き受けるわよ!手合わせは今からで、聖女達の指導は時間がかかるから空いた時間でいいでしょ!!」


間髪入れずにサーシャが

「私も里奈さんと手合わせしたいです!」

勢い良く手を上げた。


「無理!」


里奈の一言に、ガックリと地面に膝を突き落ち込んでしまった。

周りはそんなサーシャが可哀想になるが、


「サーシャと手合わせなんて、疲れるから嫌よ!」


里奈のその言葉で、サーシャの実力は里奈と同等であり、パトリック未満⋯⋯。


団長達の目の色が変わった。

里奈との手合わせは、自分の実力がどの辺りかを知る良い機会となったのだ。


目の色を変え本気で向かって来る団長達。

サーシャを断った結界、本気で挑んで来た。

回復魔法をかけならがら、一人ずつ手合わせしていく。


本気で挑む団長達は、かなり強くなっていた。

その意気込みを気に入り手合わせが楽しくなった里奈は、手加減する事なくボコボコにしてしまった。


里奈は満足した笑みで、

「なんか、ごめん。手加減出来ないくらい意気込み凄いし強かったわ!

とても、楽しかったのよね⋯⋯。まだまだ団長達は強くなりそうね!」


前回会った時の愛し子様は、けんもほろろな対応だったが、今回は褒めて貰えた。

気持ちが上がる団長達だが、やはりサーシャが煩い。


「里奈さん。狡いです!私とも手合わせして下さい。」


必死にお願いするも、


「明日は大切な用事があるのよ。疲れたくないから嫌よ!」


それでも里奈の腕を引き、お願いするサーシャ。

(騎士になってから性格変わったわね。脳筋じゃない⋯⋯。)



面倒臭くなった里奈が、

「明日一緒にお出かけして良いから、手合わせは無しね!」


サーシャは里奈の案に喜んで飛びついた。


「どちらかに行かれるのですか?」

パトリックに問いかけられる。


「三人娘が頑張ってるから、労いも兼ねてお出かけしようかと。」


里奈の返答に、暫し考えているパトリックだったが⋯⋯。


「私達も、物凄く頑張ってましたよ?」

パトリックは、ジーッと里奈を見つめる。


「はぁー。解ったわよ。一緒に行きたい人は邸に来て。」


以外にもその言葉に喜んだのは、やらかし聖女達だった。

「里奈さんと一度でも良いので、ゆっくりお話をしたかったのです。」

見るからに、聖女達は嬉しそうにしている。


(明日のお弁当とおやつは、大量に作らなきゃ⋯⋯。何人来るのやら⋯⋯。)


「忘れてた!魔道具の話はこの場にいる人以外は、アルバート、ライアン、ギルベルト、カルロ、カールしか知らない。

後は陛下達ね。

他には絶対に漏らさないようにね。」


全員了承した。


「じゃー、帰りますか。」


今日は魔道具の話は一旦忘れよう。


明日を楽しみに残りの時間を過ごしていく。


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