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一人ぼっちだった前世⋯⋯。今世は最強(最恐)愛し子として楽しく生きてます!  作者: おかき
アルスタ王国編

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79話: 働き過ぎにはご用心

森の仕掛けも終わった。


魔道具が発動しても、パトリックとサーシャ2人がいれば耐えれるはず、。


ヨーク領の領民には、絶対に被害に合わせない。

その為に、森にはナサニエル大司教、ライナス司教、ガルズ司祭に聖魔力を最大にかけてもらいエイルの町に魔物が来ないように防壁になって貰う。


(一度、パトリック達に会った方が良いかしら。魔道具の説明をしないといけないし⋯⋯。)


皆で朝食を食べていると、里奈がぼんやり考え事をしている。


邪魔をしてはいけないが、食事が全く進んでいないのだ。


ナタリー達が、声を掛けようか悩んでいるとアルバートが里奈の口元にちぎったパンを運んだ。


アルバートが、「あーん。」

と、言うと無意識だろう。ぼんやりしたまま里奈が口を開けモグモグする。


(((何を見せられているのやら⋯⋯。)))


食事をしてくれるなら良いか!

と、全員スルーを決め込み各々食事を続けた。


里奈は途中でアルバートに給餌されてる事に気が付いたが、全員にスルーされている空気に耐えるしかなった⋯⋯。

里奈は居た堪れない空気の中、朝食を終えた。

(食事中に考え事は二度としない!!)

心にそう誓った。


食後の紅茶を飲みながら、

「今日のナタリー達の予定は?」

里奈がナタリー達に問いかけた。


「サトウキビの栽培の指導を獣人さん達が指導します。それにキャロルが同行します。

サトウキビを販売する時に商会が必要になります。ですので、エミルには商会に関する交渉をしてもらいます。」


「私は、今日はヨーク領にある町の代表達と会います。他の町にお願いする仕事の振り分けを話し合う予定ですね。」


ナタリーの予定の内容を聞いた里奈は、ウンウン頷いた。


「貴女達は凄いわね!どんどん話しを整えていく。私の予想以上の仕事をこなしてるわ!。」

私には無理ね⋯⋯。

里奈は小さく肩を竦めた。


「里奈さんの案があるからこそですよ?

貴族としての考えを叩き込まれた私達は、里奈さんの様には深く民達の未来の事を考えれはしないのです。

里奈さんが案を出して、その案の結果はこうなると伝えてくれる。

私達は、その間の行程を整えるだけです。」


「民達の幸せを導ける考えを出せる里奈さんこそ、私達は凄いと思いますし私達では無理なのですよ?」


エミルが、

「私達と里奈さんの相性が良いのですよ!出来る事と出来無い事が違う。良い組み合わせですね!」

ナタリーとキャロルが頷く。


「そうね!!」

里奈は女性陣達に慰められ情けなくも思うが、伝えられた言葉は嬉しくもあり心は温かい。


「あ!男性陣達はパトリック達の事で話しがあるから、この場に残ってね。」


男性陣は了承し、食後の紅茶を飲み終えると女性陣は早々と仕事に向かった。


残った男性陣と里奈は、女性陣のテキパキした動きに感心するしかなかった。


「ナタリー達は凄いわね。任せて正解だったわ。」

女性が指揮をとり活躍する。

その姿に、里奈は嬉しくなる。


笑顔の里奈に対して、疑問を伝えられる。


「女性陣は、獣人国へ里奈さんについて行けない思いを、仕事で紛らわしてる様に見えてしまうのですが⋯⋯。」


そう話し出したのは、ギルベルトだった。

皆の視線に気が付いたギルベルトが、


「いえ!女性達の仕事に文句を言ってる訳では無いですよ!!

ただ、休憩もそこそこにずっと動き続けてるのを見てると、心配にはなります。」


ギルベルトが教えてくれるまで、里奈は女性陣が働き詰めなのに気が付かなかった⋯⋯。


里奈は何も言えず、顔を青褪めさせて行く。


(私がプレッシャーを与えていたのかも!あの子達は頑張り過ぎるのを知っていたのに⋯⋯。獣人国ばかりに目を向け過ぎた⋯⋯。)


「里奈さん!貴女を責めてる訳ではありませんよ!私も力になろうと話しかけましたが、自分達の仕事だと言われてしまい⋯⋯。」


「俺も妹に手伝うって言ったけど、里奈さんの方に行けって無視されたな。」

カルロがぽつりともらした。


「リリ。私もギルベルトに言われるまで彼女達を気にしませんでした。

彼女達は頭も切れますし、良く働くとは思ってましたから当たり前だと思っていたのでしょうね。」

「リリがギルベルトの話しで気が付いた。それなら、どうするべきかを考えてあげなければなりませんね。」


アルバートの言葉は、私しか彼女達の働き過ぎを止めれないのだと言ってるようだった。


「明日1日は、私が彼女達の仕事に付いて行きます。改善するべき部分を見極めて、無理させないようにするわ!!」


「愛し子の側付きが過労死なんて、パワハラ疑惑だもんな!」


そう軽口を叩いたのはヤービスだった。

里奈もアルバートもパワハラの言葉に、あちゃーとなる。

ヤービスの記憶を視せた時、転生者である事は隠したからだった。


ヤービスが顔色が変わる里奈を不思議そうに見る。


ライアンが直ぐに問いかけた。

「ヤービス。ぱわはら?

とやらの言葉はどういう意味だ?

しかも、アルバートも顔色を悪くするなんて、それもどういう事なんだ?」


ヤービスは不意に出た、前世の言葉に自分がやらかした事に気が付いた。

アルバートは意味の解らない単語は前世の言葉と認識していたから、顔色が悪くなったのだろう⋯⋯。


「里奈さん。皆に話して良いか?」


「ヤービス自身の事だから、貴方に任せるわ。」

そう伝えた。


ヤービスは心を決めた。

「俺は⋯⋯。転生者だよ。」


転生者の言葉に、側付き達が驚いている。


愛し子様や聖女の次に高位な立場になり得るのが、転生者なのだ。

この世界に現れる転生者は、特に何かに秀でた者が多く現れた国はそれはそれは大切にするのだ。

自国の発展に繋がる貴重な存在。

大切にするに決まっているのだから。


だが、ヤービスの立場を考えると、疑問が残る。

側付き達の言いたい事を察したヤービスが、

「獣人国では私が転生者である事を誰一人知らない。宰相達にさえ、話していないから。」

「転生者である事を隠した方が良いと、あの国で育つ中で出した答えだよ。」


幼い頃から不遇の立場だった事を思い出すと、側付き達は黙り込んでしまう。


「ヤービスは私がいた国から転生したの。

転生して来た理由は解らない。

黒髪黒目が普通の国だったから、私が日本から来た事を考えて会いに来てくれたの。」


ヤービスが頷き、

「同じ日本人なら、話しが通じるかと思ったからな。」


「普段は気を付けてるけど、不意に前世の言葉が出る時もあるのよ。アルと仲良くなって転生者だって知ってるから、ヤービスも気が緩んでしまったのかもね。」


「不意に出たら、皆がフォローしてあげてね!」


この話題はお終いとばかりの口調に、側付き達は受け入れる。

ヤービスが転生者だろうと、関係なかった。

今は愛し子様の側付きの一人であり、我々の仲間だと思っているからだ。


「女性陣の事は明日の同行次第ね。」


「今日の本題だけど、パトリック達に魔道具の説明をした方が良いと思うの。いきなりスタンピートが発生して戦え!って言うのは⋯⋯あ!パトリックは出来るか。

でも、他の人は慌ててしまうでしょ?スタンピートが発生するまでの流れをどう作るか、考えて欲しいの。」


「里奈さんが獣人国に入ってからが重要になりますね。いつ仕掛けられても、おかしくないからです。

その前には、パトリックさん達には魔道具の近くに居てもらわなければなりません。」


「直ぐなのか、数日かそれ以上日数がかかるのか。予測は出来ませんからね。

長く居る事になるのも考慮しなければ疲労の中での討伐は、パトリックさん以外は厳しいでしょう。」


ギルベルトがそう説明する。

魔道具の近くに居続ける期間は予測出来ない。


「パトリックさん達に説明する前に、準備を先に万全にした方が良いんじゃないか!

パトリックさんやサーシャは何が起きても勝手に何とかしそうだけどさ。

団長達や聖女は無理だろ?

アーグやセシーは大丈夫だろうけど?!」

 

カルロが話すのは最もだ。前回の討伐を知る者は経験値が違う。

団長達は訓練はして力はつけたが、実戦経験が少ないから。


何が必要かを考える。

「準備ね⋯⋯。食料は空間魔術で確保出来るし、水も同じくだし⋯⋯。」


「里奈さん。キャンプ用品みたいなのを作るのはどう?テントは長い生活には厳しいけど、里奈さんのキノコの家をコテージみたいにして生活してもらうのは!?」


「キノコの家なら、普通の生活が出来るから負担は少ないわね!」


里奈とヤービスは話しが盛り上がっているが、また知らない単語で話しがいまいち解らない⋯⋯。


「リリさんにヤービス。テントとコテージとやらの説明をしなさい。」


アルバートの少しお説教風の口調にハッとなる。


里奈は急いで紙と羽根ペンを持ってきた。


「テントはね、こんな風に布を三角とか四角にした一時的な家ね。地面に寝る感じだから、長く生活するのは辛いかも。」


「そして、コテージは小さな家ね。

本当は木とかで作るんだけど、伐採は嫌だし戦いが終わった後が困るから、私のキノコの家なら土になるし良い案だと思うの。」


側付き達は里奈の絵と説明を聞いて、顔を渋くする。

アルバートもいい顔はしていない。


側付き達の考えは一致しており。

(この案は了承出来ない。)だった


ギルベルトが意味有りげな視線でライアンを見る。

視線を受けたライアンが頷いて里奈達に話し出す。


「里奈さん、ヤービス。コテージやキノコの家は了承出来ない。でも、住まう場所を作るのは良い案だと思う。

しかし、テントでなければ我々は了承出来ない。」


喜んで貰えると思っていた、里奈とヤービスは呆然としていた⋯⋯。

良かれと思った案を却下されたからだ。


「リリ。私もライアンと同じ考えです。理由は、魔道具が起動すれば大規模なスタンピートが起きますね。」


「いくら鍛えたと言えど、死ぬかもしれない戦いですよ?何時発生するかも解らないなら、緊張感を常に持たなければならない。快適な生活では、それが保てない。」


「ライアン達だってパトリック達に快適な生活で待って欲しいはずです。

ですが、命が掛かってます。だからこその反対なのですよ?」


里奈とヤービスは己の考えの甘さを自覚する。

快適な生活を与える事で、申し訳なさから逃げたのかもしれない。と⋯⋯。


「ごめんなさい。ライアン達の考えが正しいわ。私は申し訳なさから逃げたかっただけかもしれないわね⋯⋯。」


「俺もごめん!戦いを知らない俺が口出ししてはいけなかったな。」


落ち込む2人に、側付き達が焦り出す。


「いやいや!2人の優しさは解りますよ。なので、テントを急いで作って下さい。

緊張感を保ちながらも、生活で疲弊しないように準備しましょう!」


気を持ち直した2人が、前世の知識で無理なく生活出来る物を作り出して行く。


その作業は、昼食後も続いた。

後悔した2人の作り出す物は見た事もないが、これからの魔物討伐や戦場等で役立つ物ばかりだった。


2人の作業を手伝う側付き達は、2人がいた世界の生活水準の高さに驚くしか無かった。


日の沈む頃に作業は終わった。


パトリック達へは、明後日の午前中に此方に来るように魔術鳥で伝えた。


ヤービスと里奈の満足気な顔を、帰って来た女性陣は不思議そうに見ていた。



翌朝の朝食で里奈がナタリー達に

「今日は、私も一緒に貴女達の仕事について行くわ!口出しはしないから、普段通りに仕事してね!」


仕事であろうと、一緒に過ごせる!と、気持ちが上がる女性陣だった。


少しの浮かれ気分を隠しながら、


1日、里奈は黙ってナタリー達の仕事振りを観察していた。

(頑張り過ぎね⋯⋯。)


何事も無かったように、楽しく会話をし仕事振りを褒めた。

「今日はせっかく一緒にいるのだから、早目に切り上げてお茶を一緒にしましょう!」 

と、里奈がナタリーたちに声を掛けた。


里奈との久々のお茶会に喜んだ。


帰ってから説教コースになるとは思わない女性陣。

里奈に褒められお茶に誘われ、足取り軽く邸に帰って行った。


里奈の雷が落ちるまで、あと少し⋯⋯。


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