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一人ぼっちだった前世⋯⋯。今世は最強(最恐)愛し子として楽しく生きてます!  作者: おかき
アルスタ王国編

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76話: 森を石碑を護る為に

翌朝、里奈は早々に寝室から出て来た。

リビングには、何故かアルバートがいる。


「おはよう。アル。」

「おはよう。リリ。」

お互い頬にキスを落としあう。


「おはよう。白狐。カズラ、ヒイラギ。」


それぞれにキスを落とし、キスを返される。


「アルはどうしてここにいるの?」

里奈が問いかけると、

「リリの支度は、私がするからですよ?これからは、私がサーシャの代わりにリリの身支度など全てやるのですからね!」


(ね!って⋯⋯。)


呆れ顔でアルバートを見るが、気にした様子もなく嬉々として私の身支度の準備を始めた。

まぁいっか。

アルのやりたいようにさせた。


させた結果は、お見事でした。


ポニーテールをアルバートは記憶を視た時に気に入り、いつかやってみたかったらしい。

ワンピースドは、丈は少し短めでハーフブーツで脚を隠す。

バストの下をリボンで縛り、動き安い衣装を着せられた。


姿見の前でクルリと回り、アルバートに質問してみる。

「このワンピースは、アルがデザインしたの?」

「リリに似合うだろうと、沢山ワンピースを作りました。勿論ドレスもです。」


得意気に胸を張り、私に報告する。


「私はアルに沢山貰ってばかりね。アルには何も返せてない⋯⋯。」


思い返すと、アル以外の為に動いてばかりだった。今更その事に気が付いた。


落ち込んでしまう里奈に、アルバートが

「リリ。私は貴女があの夜、白狐と泣きながら再会をした時にいましたね。何も出来なかった私は、これからはリリに関する事は妥協する事なく思うままに尽くすと決めました。」

「自分がやりたいだけですよ。リリを甘やかす事は、私の1番の幸せなのですから。」


顔を上げた里奈が、アルバートの頬につま先立ちでキスをする。

アルバートは里奈の腰を支えて、キスを受け入れる。


甘やかな空気はここまで。


これから始める事は、この先に繋がる大切な事なのだ。


側付き達と朝食を終えると、森の前に転移した。


すでに領民達が集まり、里奈達を待っていた。


「おはようございます。昨日は、沢山眠れましたか?」

里奈の言葉に、

「ゆっくり寝れました。」

「新しい家が凄かったな!」

「お布団がふかふかだった!」


それぞれの感想が飛び交う。


「安心しました。これからの生活は慣れるまで大変でしょうが、皆で頑張りましょう!」

里奈の言葉に拍手が起こる。


「それで、私からのお願いの前に何故石碑をそこまで大切にしたいのか⋯⋯。それをお話しします。」


あの日のSS級の魔物の側の亡骸の話しをした。


「私の中に、亡くなった方の悲しみ、苦しみ、痛みが流れて来ました。

ですが、1番強く流れて来た思いは⋯⋯。」


「生きたい!死にたくない!」

その感情が強かった⋯⋯。


「魔物に殺された人は家族や恋人を思って亡くなった人もいました。

誰が犠牲になったのか、解らない。解らないなら、皆で安らかに眠って貰いたかった。」

それに⋯⋯。


「瘴気は人の負の感情からも生み出される。あの時、魔物がSS級になったのも、亡くなった方から生み出される負の感情から大きくなったの。」

「人は誰でも妬むし羨む。それがあるから、頑張る時もある。

私は負の感情を否定しない。でも、この石碑に来る時だけは亡くなった方や世界の安寧を祈って欲しいの。」


領民は静かに里奈の話しに耳を傾けている。


「心からの安寧を祈る気持ちは女神様に届きます。そして⋯その祈りが、女神の森に降ろされる。だからこそ、女神の森は清らかなのです。」

「私が神力を込めて作った石碑も、少しだけ浄化を助けます。」


領民は言いたい事が理解出来た。

ここを小さいながらも、女神の森にしようと考えている事に⋯⋯。


「ここに、女神様の眷属に棲んで貰います。皆さんには見えませんが、私の側にいます。眷属が棲まう為、また石碑までの道を綺麗にする為に森を削りたいのです。」

里奈は頭を下げて、お願いした。


領民達は、頭を下げる愛し子様に。


「頭を下げないで下さい!」

「そうですよ!」

「愛し子様に全てお任せすると決めたんだ!絶対に悪い様にはならないと信じてる!」


領民達からの了承があるのは、アルバートから聞いていた。

でも里奈自身が直接お願いをしたかったのだった。


「ありがとうございます。

これから始めるけれど、皆さんの前で直接行います。その方が安心でしょ?」


「ヤービス、アルバート。こちらに来てくれる?」

ヤービスとアルバートが里奈の側に来た。


「初めての人もいるでしょ?獣人のヤービスよ。魔術を扱わせたら一流だから、何か作って欲しい物があれば言ってくれれば作るわよ。ね!!」


ね!で、話しを振る里奈に呆れながら、

「ヤービスです。宜しくお願いします。」


紹介も終わり、早速取り掛かる。


大きな魔術紋を、アルバートが地面に描く。

その中央にヤービスが立ち、頭上に新たな魔術紋を描くとアルバートの描いた紋に吸収された。


ヤービスが地面の紋を確認すると、里奈を紋の中央に立たせた。


里奈は膝を突き、紋の中央に両手をつく。

魔力をゆっくり流すと、紋が光始めた。


領民達は初めて見る特大魔術の行使を、目に焼き付けている。


ゆっくり魔力を流し終えると、次に神力を一気に流し込んだ。

紋が地面から浮き出し、里奈の頭上に展開された。

紋は徐々に大きくなりながら、森へと飛んで行った。


森の上空に差し掛かった瞬間、光を放ち森を包み込んだ。

淡い紫と蒼色の神力が揺れながら森を包む。


全員黙って成り行きを見ている。


光が強く輝くと、皆の目の前に広がる景色に驚いた。


森の奥に真っ直ぐな石畳の道が出来ていた。

「少し歩くけど、皆ついてきて欲しいの。」


里奈の言葉に黙って歩き出した。


石畳の左右には、小さな花が咲き並んでいる。

歩く者を出迎えるような光景⋯。


暫く歩くと、石碑が見えた。

近づくにつれ、それは大きな石碑だったと解る。

石碑の辺り一面に、キミア草の花が咲いていた。

石碑の奥には、湖がある。


「この石碑の下に、犠牲者が眠っています。」


里奈は石碑を前にして、膝を突き儀礼の礼を深くした。

皆、里奈を倣い礼をする。


「約束通り会いに来たわ。これからは貴方達に沢山の人が会いに来るわ。楽しみに⋯⋯。してねっ⋯⋯。」


愛し子様が泣いているのが解る。

魔物に殺られたのだ。

酷い惨状だったのだろうと、理解する。


亡くなった方を思い、亡くなった方の寂しさを無念を何とかしてあげたい。


優しく温かい愛し子様らしい考えに、領民達は石碑に眠る犠牲者に誓いをたてる。

自分達が石碑を護り、亡くなった方と愛し子様の心の安らぎを護り抜くのだと。


里奈の側に、白狐とアルバートが寄り添う。

里奈も落ち着き、後ろを振り返る。


「泣いてごめんなさい。もう大丈夫!」


空元気に気が付いているが、全員スルーする。


「ここに私のいた世界の公園を作ります。

人々がお休みの日にゆっくり寝転んだり、子供達と遊んだりする場所よ!」

「ヤービスが貴方達と話し合ってから作るから、その時は意見を沢山言ってね!」


その日は、石碑の周りで皆で歌ったり踊ったり亡くなった方を偲びながらゆっくり過ごすことにした。


「愛し子様。聞いてもいいでしょうか。」

アードが里奈の側に来て話しかけた。


「眷属様を棲まわせるとおっしゃっていましたが、私達が何かする事はありますか?この森を守護して下さる眷属様に、何かやれる事があればと⋯⋯。」


眷属達に視線をやると、首を横に振る。


「アード達は、眷属がどうやってうまれるか知ってる?」

首を振られた。

アード達は知らない様だった。


「眷属はね、元は魔獣なのは多分知ってると思う。ではなぜ、眷属になるのか。」


「魔獣はね人間によって殺されかけ、瀕死の状況を掬い上げる為に女神様が眷属にしてるのよ。最初の上位の眷属以外は全て人間の手により殺されかけた魔獣なのよ。」


初めて聞く話に、驚いている。

「でしたら、我々人間を嫌いになってしまいますね⋯⋯。」

人間がした仕打ちを、申し訳なく思っている。


「嫌いになってないわよ?嫌いなら、森まで来ないわ。私からの役目を喜んでいるのも事実だけど、辛い仕打ちをされても優しい人間がいるのも眷属はきちんと知っているわ。優しすぎるのよ⋯⋯。」


「眷属達には鈴をつけてもらうの。鈴の音が聞こえたら、ありがとう!って、声を掛けてあげてね。それだけで十分だから。」


眷属達は、ウンウン頷いた。


里奈はアードにコソコソ耳打ちする。


「眷属達は甘い物が好きなの。たまにお供えしてあげてね!」

人さし指を口にあて、秘密よ!

と、眷属の好物をこっそり教えてくれた。


砂糖は貴重だが、眷属様に感謝を込めてお菓子を作ろう!

アードは密かに考えた。


「これから、この町を発展させる為に色々やる事があります。領民達もいるから、先の話しをしましょう。」


ゆっくり過ごしていた領民達が集合した。


「この町では、サトウキビって言う植物を育てて貰います。農家をしていた家はそちらを重点的にやって貰います。」

「ヨーク領は南で温暖だから、サトウキビを育てるのに良い土地なのよ。」


サトウキビ?!


「愛し子様!」

領民の一人が手を上げた。

「サトウキビ?って、なんですか?」


「サトウキビは、私のいた世界のお砂糖になる原料ね。こちらは違う名前で誰も手をつけてなかったから、それを栽培します。」


「こちらの名前は、アサラです。」


アサラ?!って、硬い雑草の?!


「アサラは、邪魔な雑草だとばかり⋯⋯。」

領民達は、砂糖になるなんて思わなかったのだ。

刈り取って畑の視界が開けてスッキリする雑草だったから⋯⋯。


「知ったから良いじゃない。一緒に来た獣人のおじさま方に教えて貰ってね!」


「私が整備したこの森には、沢山の人が訪れるわ。その人達を受け入れる宿も建てないと行けないし、お店も作らないとね!

お砂糖が使えるから、私のいた世界のお菓子もヨーク領から出して行くわ。

他の町にも仕事をきちんと与えます。」


エイルの町の人々は、自分達だけ優遇されるのを申し訳なく思っていた。

領地全体が潤うなら大歓迎だ。


「私は少ししたら他国に訪問に行かなければなりません。

残る側付きや、獣人さん達がちゃんと町を作り上げてくれます。皆で町を発展させる事に意義はありますか?」


暫くの沈黙の後に歓声が上がる。

町が嫌いではない。ただ王都にいた為、町が廃れている事に気が付いてしまったのだ。。


「では、皆さんで代表を数人決めて、側付きと話し合って下さいね。」


ナタリー、キャロル、エミルが里奈の前に出て来た。

「この町を発展させる為に、愛し子様より命を受けました。これから共に頑張りましょう。」

ナタリーが代表して挨拶をした。

ヤービスや獣人達も後ろに立った。


「こちらこそ、どうぞ宜しくお願い致します。町の発展の為に尽力して下さる事に感謝します。」

アードが代表して頭を下げると、領民達も頭を下げた。


明日から色んな事が始動する。


全員が集まり顔を合わせるのは、今日が最後になり暫く別れとなる。


里奈は皆の顔をしっかり記憶に焼き付ける。

この石碑の前で、獣人国への報復をしっかりと誓う。


人を罰したくない⋯⋯。


そんな甘い考えは、石碑に眠る人達を思えば欠片も残らない。


思考がどんどん冷酷になっていく事を、自覚している⋯⋯。


でも今はそうでなければ、心が保てない。

白狐やアルバートの気遣いも有り難いが、それだけではない。

魂の中で何かがうごめく⋯⋯。


里奈自身が抑え込むには、冷酷な心を持つしかなかった。


アルバートも白狐も、里奈の魂の揺らぎには気が付いている。


そろそろ白狐の我慢も限界に来ていた。


『アルバート。少し我は天界に行く。里奈の事は頼んだ。』


白狐は言い終えると消えた⋯⋯。


アルバートは白狐が女神に話しをつけに行った事を理解した。


(女神様が無事でいる事を願おう。)


里奈の側に行き、優しく背を撫でる。

大丈夫だよ。

そう伝わるように⋯⋯。


来週は一段と寒くなるみたいです。

私の周りも、インフルエンザやコロナでダウンする人が増えました。


皆さまも、感染症には気を付けて下さい。


私はおこたで寝落ちしないように、気を付けます!


❀作品を読んで下さり、ありがとうございます❀

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