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一人ぼっちだった前世⋯⋯。今世は最強(最恐)愛し子として楽しく生きてます!  作者: おかき
アルスタ王国編

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73話: 社交と書いて勧誘と呼ぶ

里奈は夜明け前には目が覚めてしまった⋯⋯。

今日はお茶会の日である。

緊張からではなく、待ちきれなくて目が覚めたのだった。

そして、獣人国の事は今は考えないことにした⋯⋯。


サーシャはまだ討伐から帰還していない。マーナとメイドが支度を始めた。


今日のドレスは特別なドレスになっている。

薄い紫色の、ワンショルダーのタイトドレスである。


左の太腿の半分まで、スリットが入っている。

この世界では脚を出すのは品が無い為、スリット部分は波をうつような形をしている。

うねりのある布の為、脚が全て晒される事が少ない。


マーナやメイドは、その見た事もない型のドレスに魅入っていた。

魅惑的であるのに、品があり愛し子様の黒髪にとても映えていた。


ワンショルダーは肩や背中を広く出すが、黒髪で隠される肌を艶めかしくしている。


着せ終えたマーナが独り言を呟く。


「里奈さん⋯⋯。何ですか。このドレスは⋯⋯。こんな⋯こんなドレス姿を見たら拐われてしまいますわ。里奈さんは今日はお出かけ禁止にしなければ⋯⋯。」


マーナの異常に気が付いた里奈が、マーナの肩を掴み揺さぶる。

「マーナ!現実に戻ってきて!このドレスは試作品なのよ!?

あれはダメ。これもダメで、はっきり言ってこの国のドレスはダサいのよ!!」


「ダサいとは、どの様な意味ですか?」

里奈は考え、皆が理解出来る言葉を探す。


「えっとね⋯⋯。かっこ悪いとか時代遅れとか?かな?」


4人はショックを受ける。

この国のドレスは、時代遅れなのかと⋯⋯。


「前の黒のドレスはね。アルバートが私の記憶から抜き取った ゴスロリ ってタイプのドレスを元にしてるのよ。」


納得である。確かに前回のドレスは見た事のない型だった。


アルバートなりに斬新に、でも浮かない様にドレスを考えて贈ってくれたのだ。


「女性が輝かないと、世の中は明るくならないわよ!?」


「街に出て民の衣服を見たわ。少し手を加えるだけで可愛くもなる。

貧しくても、簡単におしゃれを楽しんで欲しいのよ。今日はその為の下準備をするお茶会ね。」


「エミルが来たら、早々に王宮に行くわ。アルに見つかったら時間が無くなるからね!」

((確かに!見せるな、危険!!))


「あ!アルが来たらこの手紙を忘れない様に渡して欲しいの。」


マーナが手紙を受け取り。

「はい。ちゃんとお渡ししておきます。」


エミルが部屋に着くなり、王妃様の元に転移した。



王妃様の私室に転移すると、里奈が用意したドレスを着てくれていた。


エンパイアラインのドレスは、豊満な胸を持つ王妃様にとても似合っていた。

肩にはレースのボレロをかけている。


「王妃様。おはようございます。朝早くから、ありがとうございます。」


里奈が軽く頭を下げ、お礼を伝える。

王妃様は少しだけ、恥ずかしそうに。


「おはよう。里奈さん。こんな型のドレスを着た事がなくて恥ずかしけど、ウキウキしてしまうわっ!」


オレンジ色のエンパイアラインのドレスは、品がければただの野暮ったい雰囲気が出る。

コルセットで締め付けるドレスは、体に良くない。

里奈は王妃様にドレスの型を沢山見せた。

少しだけ絵心があった為、ドレスの雰囲気は伝わった。


豪華さを強調する王妃様の衣装は、少しゴテゴテし過ぎに感じてしまう。

見るからに重そうだった。


今日の王妃様のドレスは、美しい薄いオレンジのレースが重ねられており、間近で見ると豪華な仕上がりになっている。


「では参りましょうか。」


騎士を先頭に王妃様と里奈にエミルが会場へと向かう。



その頃の会場は、招待者全員が無言のまま姿勢正しく座っていた。


周りをそれぞれ伺うが、共通点もなければ爵位も全てがバラバラなのだ。


14歳くらいから、20歳を超えるまで歳の幅も広い。

静まりかえる空気に、更に緊張感が増していく。


王妃様と愛し子様が会場入りすると場が凍りついた。

招待者された者は、直立不動のままだ。


里奈が令嬢達に声をかけた。

「今日は集まってくれて、ありがとう。これから、貴方がたにお話があります。

お茶を飲みながらお話しをしてもいいかしら?」


しーん⋯⋯。


あれ!?


「そなた達!意識を此方に!!」

王妃様の言葉に全員がハッと意識を取り戻した。


「里奈さん。貴方の姿に見惚れてたようね。」


そうなの!?コテンと首を傾げると、黄色の悲鳴があがった。

ビックリした里奈は、エミルの背後に隠れた。

エミルの影からそっと覗き見ると、また悲鳴が⋯⋯。


「落ち着きなさい!興奮する気持ちは、十分理解します。ですが、愛し子様とのお話しする時間が無くなりますよ!?」


2度目のハッ!で、静かになった。


「皆さん、とりあえず席に。」

全員椅子に座った。


「落ち着いたようですね。これからお茶を頂きながら、愛し子様から皆さんへのお話しがあります。」


姿勢を正し、令嬢達を見る。


「さっきも言ったけど、今日は集まってくれて、ありがとう。」

「貴女達を呼んだ理由を知りたいでしょ?それを今から説明しますね。」


「皆さんは、社交をあまりされませんね?」


全員が、ギクリとなる。


「理由は、社交が楽しくない。何故なら、社交での会話が楽しくない。」

「自分がやりたい事を我慢してまで社交したり、婚約したり、家の為に尽くす。

それを納得出来ないでいる⋯。

悩んでも、どうにもならない現状から社交から逃げている。」


俯いていく令嬢達は、里奈の話す内容に否定出来ない。

実際にそうなのだから。


「やりたい事があるのに、女性だからと道を塞がれる。家を守り子を産む。それは女性しか出来ない役目ではあります。

ですが、夢を諦めてまでやらなければならない事なのか⋯⋯。」


「私は両方を手に入れる事を進めるわ!」


令嬢達は顔をあげ、信じられない目で里奈を見る。


「私の侍女の褒賞の話は知ってるかしら?彼女は女性騎士になりたくて、幼い頃から訓練を必死にしたそうよ。でも家族に反対され夢を諦めたの。」


「彼女は侍女として私の側にいた。

たまたま彼女の夢を知った。

でもね、私の側付きだから褒賞を得た訳ではないわ。

彼女は才能がある。それを捨てる事こそが国の為にはならない。そう思ったのよ。」


「王妃様に調べて貰ったのよ。

才能を持つ女性を。

夢を諦めざる終えなかった人達を掬い上げる為に、こうして集まって貰ったの。」


「貴女達の夢はアルスタ王国の発展に貢献する。私はそう判断しました。」


「私はこの国の女性の地位を向上させる事を望むの。」

「貴女達の力を貸してくれないかしら?」


令嬢達は、微動だにしない⋯⋯。


貴族としての役割りを理解し、夢を諦めた⋯⋯。

でも、諦めきれない思いが燻り家からも社交からも逃げたのだ。


逃げた結果、家からは居ない者扱いを受け社交会では爪弾き。

より社交からは遠ざかった。


夢を諦めなくて良い。

愛し子様は確かにそう言われた。


令嬢達は口を開く事無く、ただ頭を深く下げた。


「頭を下げないで。これから私はやりたい事が沢山あるの!

案は、私が出します。それを側付きのエミルがより深く練り上げます。貴女達は、それぞれの夢を叶える為に働いて貰います。」


「家から何か言われた場合は、王妃様か私の名前を出して構わないわ。

貴女達自身の為に。そして国の女性の未来の為に役目を果たして下さいね!」


オズオズと一人の令嬢が手をあげた。


里奈は、どうぞ。と、話しを許可した。


「私はナターシャと申します。

あの⋯⋯。ドレスの製作をしてます。

愛し子様と王妃様のドレスの型が珍しくて、どなたが作られたのか気になったのです。」


「これは、私がいた世界の型よ。私の方がワンショルダーで、王妃様がエンパイアラインのドレスよ。

これはね、私が型を元にデザインしたの。」


「型が幾つかあれば、それから沢山のデザインが広がるわ。

以前、フィッセル侯爵令息が貴女の所に行きましたね。黒いドレスは、私に贈られたわ。

そのドレスの仕上がりにエリザ王女殿下がとても気に入っていたの。貴女の努力次第ですが、エリザ王女の衣装を任せたいと考えてます。」


ナターシャは聞いた内容に驚き、口をあんぐり開けたまま固まっていた。


「私は、ここにいる令嬢達が可哀想だから助ける訳では無いのよ。私がちゃんと精査した上で能力をかったのよ?」


里奈は紅茶を口にした。

エミルに、視線をやり続きを促す。


「私は愛し子様の側付きの、エミル・トリスです。我が家の商会を介して貴女がたにはそれぞれの仕事をして頂きます。

夢を叶える気持ちがあり、女性の地位向上を一緒にやり遂げる気持ちがあるなら明日トリス商会の本店に来て下さい。」


礼をして話を終えた。


王妃様が最後に述べられた。


「貴女達が立派に事を成すのを祈ってます。輝いて下さい。アルスタ王国の未来の為に。」


自分達が未来の女性の夢を繋げる。

諦めなくても夢を見れる未来を。


この場に集まる令嬢達は、後に大きな成果をあげていく。

アルスタ王国の繁栄を導く大きな存在となるのは、まだ未来の話である。



〜❀〜


マーナから手紙を受け取ったアルバートは、避難場所に来ていた。


「おはよう。リリから皆に伝言があるので、伝えに来ました。」


避難民達は、何事かとアルバートの話しに耳を傾けている。


「1週間後、転移でヨーク領に戻れる事になります。」

避難民達の大歓声があがる。


「皆さんは全員エイルの町の出身ですか?」

全員が頷いた。


「エイルの町の奥に隣国に接する大きな森がありますね。」


民の一人が返事をした。

「大きな森はあります。その森がどうかしたのですか?」


「あの場所で、私達はSS級の魔物を討伐しました。その時いた魔物の側には、人の亡骸が沢山ありました。」


「そんな⋯⋯。」

「エイルの住民は残ってなかったぞ。」

「⋯⋯。」


「どこからか拐って来たのでしょう。

リリはそこにお墓として、石碑を建てました。」

民達は、アルバートをじっと見る。


「辛かっただろう民のために石碑を建てても、それを忘れられては意味がないと⋯⋯。」

「リリから、エイルに住む民へのお願いを持って来ました。」


「石碑のある場所まで、森を削ることを許して貰えないか。あの石碑を忘れない様に、またあの地に眠る者達と共に、エイルの町を発展させる事を手伝って欲しい。そう伝言を頼まれました。」


「これは、里奈ではなく愛し子としての頼み事になってしまいます。ですが、森を削る事を拒否して頂いても構いません。リリは貴方がたの気持ちを蔑ろにはしたくないのですから。」


あの森を削る⋯⋯。

あの森からの恵みはエイルの町にとって、大事な場所になる⋯⋯。


悩みだす民の中から声があがる。


「俺は愛し子様の頼み事を叶えたい!

愛し子様がいなければ、こうやってエイルの森の事すら考えるなんて出来なかったんだ。」

「きっと死んでた⋯⋯。」


「俺もだ!エイルの領民じゃなくても、魔物の犠牲になった人がいる。逃げてなきゃきっとこの中の誰かが犠牲になったかもしれない。」


民達はお互い顔を見て、頷きあった。


「愛し子様は絶対に私達に不利な森の削り方はしないはずだ。絶対に。ならば⋯⋯。」

「愛し子様の思う様にやって欲しい。

そして、エイルの町を活気付けて欲しいぞ!」


民達の賛同の声に、アルバートは「ありがとう。」と、頭を下げた。


「それと、イーデン伯爵領の騎士を全員集めて来てくれないか?」


その言葉に、民達が騎士を呼びに走る。


「アルバート殿。いかがされましたか?」

騎士を纏める隊長のオーケが声を掛けてきた。


「貴方がた全員に愛し子様からの伝言を持って来ました。」

「貴方がたをエイルの町の守備隊に任命する。エイルの町はこれから発展する。その治安と森を守る者達とする。」


騎士は、11名いた。領主命令と言えど民達を放置したのだ。

領主達の処罰後に自ら地位を捨て、この避難場所を守っていた。

縁を切った家族に迷惑をかけないために、この場に残っていたのだ。


「私達は民を見捨てたのです。許されてはならないのです。」

オーケの言葉に、反発したのは以外にも領民達だった。


「違う!あんた達は俺らをずっと気にしていた!ちゃんとまだ生きてるか、隠れて確認してたのも知ってる。」

「そりゃあ最初は恨んださ。でも、あんた達がこっそり自分達の食べ物や水を置いてただろ?赤子や母親はそれで生き延びれた。」

「あんた達は悪くない!一緒に、エイルに行こう!」


民からは同じ声があがる。

アルバートは民の優しい心に嬉しくなる。


里奈に見せたかったと⋯⋯。


「貴方がたがエイルの領民に悪いと思うならば、自らエイルの町を守り民達への贖罪とすれば良いのでは?」


寡黙で強面のオーケが涙を流し

「愛し子様の命、しかと承ります。」


腰に差した剣を鞘ごと抜き、胸の前にあて拝命の礼をとった。

全員で行うその礼に、民は格好良い!!と、騒ぎ出した。


「愛し子様にはその様に伝えます。

エイルの町に転移するのは、1週間後になります。準備を宜しくお願いします。」


領地に戻れる事に喜ぶ民に、アルバートはまだまだこれくらいの喜びでは終わらない。そう伝えたい気持ちでいた。


里奈の秘密の計画を、まだ話すわけには行かなかった。


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