表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一人ぼっちだった前世⋯⋯。今世は最強(最恐)愛し子として楽しく生きてます!  作者: おかき
アルスタ王国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/88

7話: 宰相執務室にて

沈黙が流れる執務室。


宰相である私も何から口にすれば良いのか考え倦ねいている。

側近2人は口を挟めない為、ただ私と侯爵のどちらかが口を開くのを待っていた。


先に侯爵が会話を始めた。


「息子を乙女の側に置くのを断る事も考えた。感情のない息子が乙女に寄り添えると役に立つとは到底思えないからな。」


侯爵はソファーの背もたれにゆっくりと背を預け、話を続ける。


「だが、そんか息子を女神様が選ばれた。直接言を賜る程に。私達には見えないが女神様には見え、息子が乙女の支えになり得る者だと言うのであれば筆頭侯爵として、父として息子の為に何かしたいと思う。」


と父親らしい顔をしてみせた。

この短時間で色んな側面を見せる侯爵に戸惑いつつも、気になる事を聞いてみる。


「まず、ご子息の話は後にするとして。聖女と乙女に関する事で知っている事を出来るだけ教えて頂きたい。それは可能か?」


侯爵は癖である右手を顎に持って行く。

足を組み指の背に顎を乗せ、私を見据える。

侯爵が何を考えているかは腹に一物を抱える貴族相手をあしらってきた私にも想像出来ない。

とにかく、掴みどころがないのだ。

お互いが見つめ合う状態に少し羞恥を感じ先に口を開いた。


「乙女を大切に扱うに辺り、何も知識の無い私等では行動に移せぬのだ。」


どうか頼む。

と、両腿に手を着き頭を下げて助力を乞うた。


侯爵も侯爵で、宰相が頭を下げてくるとは思わず珍しくも吃驚している様だ。

そんなやり取りをする2人を側近は顔に出す事はないが、心の中では慌てふためいている。

政治のトップが頭を下げ、肩や普段一切の感情を見せない侯爵の吃驚した様は全てが異様な光景なのだ。


心の中で慌てふためく側近2人を他所に、冷静になった2人は顔を合わせる。

宰相は口を引き結び、じっと侯爵を見つめる。


はぁ〜、と侯爵が大きく息を吐き、足を組み解くと背もたれから背を離し宰相と向き合う。

と同時に

「宰相と2人で話がしたい。側近殿も退出願いたい。」


宰相は視線で退出を促す。


2人になった執務室。侯爵が話を始める。


「宰相殿は私が嘘を申告しているとは考えないのか?」

と、問うてきた。


私は即答する。

「侯爵が虚偽を申告する利点がないからな。」と。


一呼吸した後、侯爵が口を開く。

「乙女の事は何も文献にはないので、聖女の話に紐付ける結果にはなる。それで良ければ話をしよう。」


宰相は軽く頷き先を促す。


「聖女が何故召喚されたのか、何故女神様の力を与えられし国の聖女が対処出来なかったのか。話はそこから始まる。」




侯爵が語り始めた。


当時の聖国も他の国と同様に女神の森によって平和な国だった。

当時、傍若無人の第3王子が女神様の眷属と知りながら教会に棲む魔獣を斬り殺した。

眷属ならば死ぬ筈がないと口にしながら、何度も斬りつけた。

護衛も側近もおらず、1人忍んでの犯行であった為に教会も眷属の発見に遅れてしまった。



言葉にならない。

眷属を殺す等、女神様への謀判である。


到底理解に及ばぬ話を始めた侯爵をただ呆けて見る以外になかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ