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一人ぼっちだった前世⋯⋯。今世は最強(最恐)愛し子として楽しく生きてます!  作者: おかき
アルスタ王国編

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60/185

60話: 地獄の浄化と討伐の開始(前)

残酷な描写があります。


苦手な方はスルーして下さい。


伯爵領の街に着くと、広場に領民達が集まっていた。


愛し子様を一目見ようと、人で溢れかえっている⋯。

熱狂ぶりに少し恐怖を感じる里奈だが、案内された舞台の上に立つと表情を変えて挨拶を始めた。


「私の為に沢山集まってくれて、ありがとう!昨日到着予定でしたが、この街までの瘴気と魔物は全て浄化しましたので安心して下さいね!」


「「⋯⋯。」」


領民は内容が信じられなかった。

最近は瘴気の出現場所が増えていくばかりで、不安な毎日を過ごしていたからだ。


「私は第一王子のライアンだ。

愛し子様のお言葉は真実だ。遠くにある瘴気を見つけては、ここにいる討伐隊で討伐と浄化を行った。

これから向かう男爵領までも浄化と討伐をきっちり行う。」


殿下の言葉に、大歓声が上がる。

心の中で里奈は少し、ほんの少しだけ拗ねた。


里奈の隣にアルバートが並び立つ。

里奈に甘く微笑むと、里奈も微笑みを返す。

仲良い2人に黄色い声が上がる。


「集まった皆さんには申し訳ないのですが、先にあるヨーク領へと急ぎたいのです。」

アルバートが大きな声で告げた。


ヨーク領と聞き、歓声が無くなり静かになる⋯⋯。ヨーク領の話は各領地へ全て報告され、国に住まう全ての民に開示されたからだった。


里奈はゆっくりと説明を始める。

「確証はありませんが、ヨーク領に近づくにつれ瘴気も魔物も増えています。

この先の男爵領はもっと増えてる可能性が高いのです。

その瘴気がヨーク領から流れてきているなら⋯⋯。」

それに⋯⋯。


「先に向かわせている先発隊からの連絡が途絶えました。

ヨーク領は壊滅的⋯⋯。もしくは、それに近い状態なんじゃないかと考えてしまうの。ならば、私は急いでヨーク領に行かなければいけない!

苦しみながら助けを求めてきた避難民との約束を、私は果たさないといけない。」


里奈は集まる領民達に向い

「先を急ぐ為、ここを直ぐに発つ事を許してほしいのです。

ですが、ヨーク領を浄化出来たなら帰りはゆっくりこの街に滞在します。」


集まった者達は

「許すなんて、とんでもない!瘴気に怯える者はどこの領地も同じだ!

そうだろう?皆!」


「そうだ。ヨーク領を助けないと、もっと広がってしまう!」


「愛し子様!ヨーク領を助けて下さい」


里奈は頷き、集まる者達に向けて広範囲に神力を掛けた。

淡い紫色の神力は、皆の体に心に染み渡る⋯⋯。


「私の神力で心と体を癒やしました。

私を許してくれた、ほんのお礼です。」

優しく微笑み領民達に手を振り舞台から降りた。

人々は我に返ると、討伐隊に感謝と浄化の成功を次々に口にした。


討伐隊は先を急ぐように、男爵領に向かって行く⋯⋯。

ヨーク領の浄化が成功しますように!

領民達は願いが叶う事を祈った。


馬車の中では慌ただしく話し合いが始まる。。

「サイには男爵領に伝令を伝えて貰います。浄化と魔物討伐は全て行うので、領地には立ち寄らずヨーク領に向かう事を伝えて欲しいの。」


「殿下を一緒に連れて行けば説明が早いから、お願いしたいの。」


神妙な顔つきで里奈が告げる。


「ヨーク領は壊滅的です。伝令が途絶えた後、直ぐにカズラとヒイラギをヨーク領に行かせました。

あの子達には、結界を張って貰っています。」


「サイと殿下以外は、浄化と討伐をやってもらいます。

お二人は伝令が終わり次第、転移で戻って来て。

私が瘴気を見つけて次々に転移させるから、皆には申し訳ないけど頑張って貰う事になるわ。」


討伐隊全員に説明と指示が飛び、慌ただしくなる。


(この先に瘴気が3ヶ所。魔物は小物だけど、数が多い場所は1ヶ所⋯⋯。更にその奥は⋯⋯かなり手強いかな。)


「瘴気が3ヶ所。魔物は小物だけど1カ所だけ数が多いわ。

2つの場所には、ガルズさんとサリーが浄化を。

討伐はガルズさんにナタリー、エミルを。

サリーには、カルロとギルベルトを付けるわ。」


「数が多い場所には、アーグとリュカを。」

伝え終えた瞬間に転移で飛ばした。


里奈は窓を開け、パトリックを手招きした。

「パトリックはS級を2頭やれる?

アーグが帰って来たら、そのままかなり先だけど大きな瘴気に飛ばすわ。」


パトリックは

「2頭くらいなら軽く行けますよ。任せて下さい。」

ですが⋯⋯。

「この子はどうしますか?リュカの馬は大人しいので、乗り手がいなくても付いて行きますが⋯この子は人がいないと、動きたがらないのです。」

パトリックは馬の背を撫でながら話す。


「そうね。私が乗ろうかしら?」

言い終える前に

「私が乗っても良いでしょうか!?」

サーシャが勢い良く口にした。


「サーシャは馬に乗れるの?なら、任せたいわ。」

転移でパトリックとサーシャを乗せ代えた。

サーシャを見ると、優しく鬣を撫で「サーシャよ。宜しくね!」

パトリックの馬を優しく扱う。

騎乗する姿勢は一騎士の様だった。


「ねぇサーシャ。貴女、剣も使えるのかしら!?」

サーシャは気不味そうに頷き、少し視線を下げたまま

「私は女性騎士を目指していました。

ですが、我が家は王家に使用人として仕える一族の為に大反対にあいました。」


サーシャが里奈の目を見て再び話し出す。


「女性騎士を諦め、ちゃんと使用人として仕える事を決めましたが。目標が無くなり何か物足りない毎日でした。

ですが、愛し子様の侍女に選定され愛し子様に仕える内に私の侍女としての役割りを嬉しく、誇らしく思えるようになりました。」

「全て、里奈さんのおかげです。」

頭は下げずに、目を見て伝える。

その真剣な眼差しに、里奈はサーシャが驚愕する内容を告げる。


「ならばサーシャ。貴方を戦闘侍女とする位を授けるわ!位の名前はまた考えるとして。

サーシャ!全ての事に闘う意志があるならば、この話しを受けなさい!」


サーシャは泣き顔で

「愛し子様の任。謹んでお受け致します。この忠誠を貴女様に捧げます。」

左手を胸にあて、騎士の礼をとる。

その姿は立派な騎士だった。


その姿に里奈とパトリックは魅入っていた。

「サーシャ。貴女の忠誠を受け取ります。

パトリックもサーシャもこれだけは忘れないで。

絶対に私の為だと命を落とす行為は許しません。瀕死だろうと私の元に戻りなさい。絶対に死なせないから!!

私は2度と大切な命が消える場面を目にしたくないのよ!」

最後は里奈は泣きながら伝えている。

2人は理由を聞く事は無かった。


ただ、「里奈さんの元に必ず戻ると、誓います!」

ウンウン頷く里奈は、バッと顔を上げる。


「アルバートは特に忘れないでね!必ず私の元に帰って来てね。」


「約束します。リリの元に帰って来ると。

ですから、リリ。

貴女も私に約束して下さいね!絶対に私の元に帰って来ると。」


穏やかな時間は一瞬で終わりを告げる。


最初にアーグとリュカが戻る。が、説明も無くパトリックを追加で付けると直ぐ様転移させた。

それを見たサーシャは、

(心優しい里奈さんと、冷酷な里奈さんは半々なのね⋯⋯。)


サーシャは馬の背を一撫でして、前を向く。

(家族は私の位に反対出来ない。

それどころか、誉れとして私の位を受け入れてくれる。里奈さんの計らいで。)

里奈の優しさに浸っていると、


「サーシャ!次にガルズさん達が戻るわ。私のレイピアを貸すから疲れてるエミルと交代で飛ばすからね。」


レイピアを渡される。

剣を鞘からだし、眺める⋯⋯。

いつ振りに見るだろう⋯⋯。

鞘に剣を納める。

「畏まりました。」

里奈は笑いながら、「頑張ってね!」

軽く答えていた。


それからは、里奈による鬼の討伐指令が始まった。

戻って来た殿下やサイも加え、息つく間もないまま転移させられる。

浄化を!討伐を!

何度も何度も繰り返して行く⋯⋯。


日が沈んだ少し後ににヨーク領の少し手前まで着いた。

「皆、お疲れ様!」


「お疲れ様です。」

返事を返せたのは、近衛3人衆のみ。

他は「「⋯⋯。」」

返事も返せないくらいに、疲れ果てている。


「急ぎたかったのもあるけれど、ヨーク領に着く前に実戦を積んで欲しかったのもあるのよ。」


「白狐に視せてもらったヨーク領は、こんなものではないわよ⋯⋯。」

「視たいならば視せて貰える様に出来るけど⋯⋯。どうする?」


「視せて貰えるならば、お願いしたい。心構えが出来る出来ないは、かなり違うからな。」

そう言うのはパトリックだ。

側付き達も賛成の様だ。


「白狐。お願い出来る?」


『覚悟して視よ。これからお主らが向かう領地だからな。』


白狐の真っ白な神力が皆の体を包む⋯⋯。

数分後には、女性陣は泣き崩れる。

男性陣は、顔面蒼白。


そう。ヨーク領はまさに地獄とかしていた。

領地は黒い瘴気に覆われ、魔物が街を闊歩している。

幾人かの亡骸も目についた⋯⋯。

家畜達は魔物の餌となり、魔物が数を増やす一方。

教会や、女神様に関係する場所には避難民で溢れかえっていた。

瘴気に蝕まれて倒れている人もかなりの数いるのだ。


「視せたのは、ほんの一部よ。

もう時間が無いのよ⋯⋯。命が消えてるわ!

この場所から私と白狐は直ぐに転移でヨーク領に向かいます。

その前に、アルには別にお願いがあります。」

アルバートは頷き了承した。


「男性陣は一緒に行く者は連れて行きます。

でも、女性陣は今日は連れて行かない。

明日ヨーク領に来なさい。」


女性陣は付いて行くつもりでいた。

だが、里奈の決断に否を言わせる気配がない。


「解りました。明日、ヨーク領に向かいます。」ナタリーが返事を返した。


「御者や荷馬車の使用人は、こちらに残り待機よ。戻って来るまで待っててね。

獣人は白狐が起きない様に神力で縛りを付けたから目覚めることは無いわ。

それに、結界を張って行くから安心してね。」


「本格的な討伐と浄化は明日以降。女性陣が到着次第決行します。内容は皆が合流した明日に。」

男性陣は討伐に必要な物の準備を始めた。


里奈はアルバートに何かを伝え終えると、抱擁の後にアルバートは転移した。


里奈が女性陣の前まで来た。

「貴女達は、体と心を休めてね。明日以降は働いてもらうからね!」

「はい!!里奈さんも気を付けて下さいね!」ナタリーが答えて皆が笑顔を返す。


里奈も笑顔を返し、キノコの家を建て結界を張った。

男性陣は全員付いてくる。


「カルロとリュカはごめん!残って?」

里奈に言われた2人は口を開けたままショックで立ち尽くす⋯⋯。


「あああ!!ごめんなさい!違うのよ。女性陣を明日転移させるのに、転移出来る者がいないと無理でしょ?だから、その役目をお願いしたかったのよ!?」


「良かったです。要らないと言われたのかと焦りました⋯⋯。」カルロが言うと、リュカは高速ウンウンだ。


「ごめんね!?明日は宜しくね。私の元は危ないから照準を白狐にしてね。」


「では先に行ってくるわ。」


見送る隙もなく、一瞬で転移して行ってしまった⋯⋯。


避難民達を護っていたのは領主代理のアードと、それに同行しているライナス司教だった。

ライナス司教の結界の中に沢山の瘴気に蝕まれた避難民がいた。

司教の顔色は悪く、魔力枯渇寸前に見えた⋯⋯。

里奈はライナス司教を助けに行ったのだ。


残る者は、皆の無事を祈り体を休め明日以降に備える決意をした。


60話まで書く事が出来ました。

読んでくださり、ありがとうございます❀



朝、めちゃ寒いですね。

我が家は、コタツなる物を出しました。

愛猫(20歳)が寒がりなので。

こたつの中でヌクヌクと寝てます。

私もコタツで寝てしまう⋯⋯。



皆さま風邪など引かないように、気を付けて下さい❀


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