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一人ぼっちだった前世⋯⋯。今世は最強(最恐)愛し子として楽しく生きてます!  作者: おかき
アルスタ王国編

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57話: 冷酷さを出し始めた里奈    それ以上に優しい愛し子様

殿下が中々戻って来ない⋯⋯。


アルバートが様子を見に行こうとするのを里奈が引き止める。

「アル。私もだけど身なりを整えないと⋯。」

ほんのり顔を赤らめる里奈は、先程の行為を思い出し恥ずかしそうにしていた。

アルバートはそんな里奈を見て、心の中が幸せに満ち溢れるのを感じる。

見つめ合う2人に、


『いい加減にしろ。仲良きは良いが、これからすべき事があるであろう?』


白狐が身なりを整える為に、神力を2人にかけならが正論を吐いた。

「「ごめん(なさい)」」


急いで馬車から降りて、殿下を探す。

全員が集まり何やら揉めているようだった。

「どうしたの?」声をかけると、里奈に気が付いて無かったので皆が驚いていた。


「これから時間を取ると、今日の宿に泊まる事が出来なくなります。

私達は良いとして、愛し子様を野営させる訳には行かないと⋯⋯。」

ギルベルトが申し訳なさそうに説明をする。


(そっかぁ〜。立場があるって色々と面倒臭いのね。

宿屋も街も愛し子が来るのを待ってる訳だし⋯⋯。)


すると、突然里奈が叫んだ。

「パトリック!街に伝令をお願いするわ!」

近衛のパトリックが里奈の前に膝を突いた。


「パトリック。膝を突くのは止めなさい。

皆にも伝えておくわ。

公の場以外での、膝を突くのは禁止!

頭を下げるのも禁止!

これは命令だからね!!」


うんざり顔の里奈に否は言えず、全員が了承する。


「街には、愛し子が瘴気を見つけ魔物の討伐と浄化をしていると。宿まで行けない事を伝えなさい。

街には明日行くから、その時に顔を出すと。

ついでに伯爵にも、愛し子が来るのは明日だと伝えてちょうだい。」

パトリックは騎士の礼を取ると頭を軽く下げて馬に騎乗し、もう1人の近衛を連れて行動を開始した。


「これで今日の予定は無くなったわよ?

野営!?当然するわよ。

これから野晒しで寝る事もあるかも知れないのよ!?

愛し子の立場など考えないで!

私が何を求め、何をしたいのかを考えなさい。」


側付きは、お説教されたのだ⋯⋯。


「申し訳ありません。里奈さん。

優先すべきは何かを見誤ってました。」

頭は下げずに、ギルベルトが里奈の目を見て謝罪した。

「立場を考えてくれるのは、有り難く受け取るわ。でも、これからは間違えないでね。」

ニコリと笑うが、側付きの背筋には冷や汗が⋯⋯。


『里奈。ガルズと聖女が来てるぞ。』

白狐に教えてもらい、視線を追うとガルズ司祭と聖女が2人いた。

里奈は3人に近付いた。

聖女は儀礼の礼をとり、膝を突いた。

里奈は黙って受け入れた。

凛としたその光景は神々しい輝きを放っていた。

「2人とも立ってちょうだい。

先程も伝えたけど、膝を突くのも頭を下げるのも禁止だからね!」


聖女2人はギョッとしていた!目を見開き固まった。

ガルズ司祭だけが、笑っている。

「こちらの聖女は、こちらがアーグ。その隣がセシーです。」

聖女は紹介された事で我に返ると

「筆頭聖女を受けております、アーグと申します。愛し子様にお会いできて、嬉しく思います。」

と、軽く頭を下げる。

「私はアーグ様の補佐をしております。セシーと申します。」

セシーも軽く頭を下げた。


「アーグ、セシー。宜しくね。」

里奈は手を差し出し聖女達と握手を交わす。

握手した聖女は感動でまたもや、固まっていた。


「感動してくれてとても嬉しいけども、これから貴方達にしてもらう事は地獄と思って貰いたいの。」


聖女は我に返り背筋を伸ばし、里奈を見る。ガルズ司祭も同様に。


「貴方達は瘴気や魔物と闘う気持ちはある?この国の民を自分の手で助ける強い思いはあるかしら。」

嫌味に聞こえるがそうではない。

里奈の目は鋭く真剣な目だからだ。


「我が身を盾にしようと、民を護る気持ちは強くあります。」

アーグが強い口調で答えた。セシーもガルズ司祭も頷き同意する。



里奈を含め、3人が淡い紫色の神力に包まれる。外からも中からも様子が見れないように結界が張られている。


「ではこれからある魔術を貴方達3人に託します。私も同じ苦しも痛みも体験したわ。

はっきり言って地獄よ⋯⋯。」

そう言うと、里奈は3人の頭上に魔術をそれぞれ展開した。


里奈の右手に瘴気が現れた。

「これはね、避難民が受けていた瘴気よ。私が密かに持っていたのよ。この術式の為にね⋯⋯。」

話しながら瘴気を神力で包むと、3つの黒い珠に変わった。


聖女達は青褪めて行くのが解る。

「この珠を自らの手で術式に組み込んで貰います。聖魔力を流しながら組み込んでちょうだい。

術式は探し物の初期魔術だから、解るわね。」


ガルズ司祭だけは、淡々と里奈の話を受け入れている。だが、聖女達は戸惑っている。


「言いたい事があるならば言いなさい。

それにこの魔術を拒否しても構わないわ。

絶対に責めたりもしない。」


「でもね言わせてもらえるならば、神殿で大切に扱われる聖女が瘴気に侵された者の本当の痛みや苦しみを知らないなんて、私からしたら滑稽よ?」


「私は民を浄化する時に痛みを自ら受けたわ!大人でさえ耐えきれない痛みを赤子が受けていたのよ!? 苦痛で泣き疲れて⋯⋯。

泣く事すら出来ない赤子を私は浄化したわ。」


「貴方達はこの話を聞いて何を思う?どうしたい?」


聖女に問いかけた。


器が違う⋯⋯。

人としての在り方が、高過ぎるのだ。


民達の苦しみを解った「つもり」で、高い場所から見ていただけなのだと痛感する。

聖女達は、愛し子様の思いを受け入れたかった⋯⋯。

少しでも、この方に近付きたくなる。


「受け入れます。民達の本当の苦しみを解りたい。そして、愛し子様の助けをしたいのです。」

涙を流しながらアーグが答えた。


珠を渡す前に手順を話す。

珠を自らの魔力で術式へはめる。

組み込みと同時に聖魔力で強く包み込む。

組み込み終え、術式が安定してから自らの治癒をする。

全て終えるまでは経験した事のない痛みや苦しみを味わう。

気絶しないように⋯⋯。

説明が終わると、3人の手の平に珠が浮かんだ。

同時に、瘴気が襲ってきた。


聖女達は泣きながら、喚きながらも懸命に術式にはめ込む。

痛みに耐えれず膝を突くが、必死に術式へ珠をはめ聖魔力を注いで行く。


(知らなかった⋯⋯。これ程の痛みと苦しみが伴う事を⋯⋯。だからこそ、知らなかったでは済まされない。多分、愛し子様は神殿の聖女に少し怒っていたのね⋯⋯。)


理解すると、ただやり遂げるのみ!と、自身を鼓舞する。


ガルズ司祭も苦痛に顔を歪めながら、必死に術式へと聖魔力を注いでいた。


里奈は静かに3人を見ていた。

(本当の痛みを知らなければ、私の側にはいさせられない。)

あの痛みを思い出すと、3人を可哀想には思う。けれど、耐えきった後は必ず報われるから頑張って欲しい!


暫くすると術式が安定した。

聖女達は自身に治癒を掛けて、落ち着きを取り戻した。

息が整うのを里奈は黙って待っていた。


「お疲れ様。頑張ってくれて、ありがとう。」

「疲れている所悪いけど、付いて来てもらえる?」

里奈は結界を解くと、聖女達とガルズ司祭を連れて歩き出した。

「誰もついてこないでね。」

歩きながら答える里奈を視線だけが追っていく。


急に結界が解かれ心配していた一同は驚くも、自分達を丸っと無視して立ち去る里奈達を黙って見送るしか無かった。

何が起こっていたのか解らない⋯⋯。

「大丈夫ですよ。リリから話は聞いてます。これからの浄化の旅に必要な事ですから。リリも終わればちゃんと説明してくれます。」

アルバートがそう言うならばと、全員納得する。



里奈達は開けた草原にいた。

白狐だけは付いて来た。


「術式を外に展開するのではなく、頭の中で展開してみて。頭の中で術式を描いてみて。」

里奈は神力を漂わせ、聖女達の魔力を察知する。

3人が上手く展開出来た事を確認する。

「上手く展開出来てるわ!その感覚を覚えといてね。」

「これから瘴気を探して貰います。3人は瘴気を自ら受けたので探せます。聖魔力ではなく、魔力のみを使って周りに魔力を流して。薄く薄く魔力消費を少なくするの。

セシー、もう少し薄くよ。布が風に揺れるみたいに、ゆらゆらと。」


3人がビクッと肩を跳ね上げた!

それを見た里奈は、拍手する。

「瘴気を見つけたわね!遠く離れた場所にある物を察知出来た。こうする事で、見逃された瘴気が浄化出来る様になる。」

「見逃していた瘴気が大きくなり気が付いたから浄化する。でも、見逃した瘴気はまた大きくなる。

意味がないのよ。効率が悪過ぎる。

小さいうちに浄化して回れば、この国の瘴気は確実に減って行くわ。」


3人は言葉にならない。

思考の違いに、正確な対処に。脱帽するしか無かった⋯⋯。


「アーグにセシー。貴女達を愛し子の専属聖女とします。

この立場は、大司教に並ぶ立場よ。」

里奈はアーグとセシーを見ながら話し出す。


「アーグは筆頭であるのに、下位貴族だからと余り尊重されなかったわね。

女神の森の出兵にいつも行かされていた。

それは立派な役目だけれど、王都では民を救済しないみたいに言われていたわね。

セシーも同じよ。」


「貴女達を選んだのは、ガルズ司祭だけれど。私もちゃんと貴女達を調べたわ。許可を出したのは白狐だけどね。」

そう言うと、子狐を抱きかかえ聖女の前に出して来た。


「この子狐は白狐。私付きの特別な神。詳しくは話せないけど。

アーグもセシーも愛し子の私と神が認めた聖女よ。」

「これからは国内の浄化は全て貴女達2人に任せます。ガルズ司祭とライナス司教が貴女達の担当神官になります。。

後見人は、ナサニエル大司教が受けてくれます。」


「この地獄の術式を受け入れてくれた貴女達への、愛し子からの贈り物よ!」


「受けてくれますか?」


聖女2人は、地面に縋り付く様に泣き出した。


(この方は私達に選択権を全て与えてくれた。

地獄をみるけれど、民達を助けたいか否か。

愛し子様からの贈り物ですら、選ぶ権利を与えてくれる。

ガルズ司祭は私達と同じ行動をしてくれていたり。それこそが、私達の立場を証明してくれる。

全て私達が自ら掴み取った証となるからなのよね⋯⋯。きっと⋯⋯)


2人は聖女としての素晴らしい素質を持ちながら、冷遇されていた。

聖女といえど、この世界では身分が優先されてしまう。

神殿も頑張ってはいるが、中々上手くは行かなかったのだ。


そんな中、冷遇された聖女が愛し子様付きになる⋯⋯。

ガルズ司祭は、彼女達を冷遇した一部の聖女に 「ざまぁみろ!!」 心の中で叫んだ。


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