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一人ぼっちだった前世⋯⋯。今世は最強(最恐)愛し子として楽しく生きてます!  作者: おかき
アルスタ王国編

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56話: アルバートの口付けで里奈は思い知らされる

アルバートが馬車に戻ってきた。

浮遊魔術で器を浮かべて、昼食を持って帰って来た。


「話は昼食を食べながらにしましょうか。」

「ありがとう。アル。」

「ありがとう。アルバート。」


食べ始めたと同時に、殿下が里奈に質問する。

「里奈さん。早速ですが質問しても?」

もぐもぐしながら、里奈が頷いたので矢継ぎ早に質問する。


「里奈さんは何故、瘴気とか魔物を察知出来たのかとても不思議に思いました。

そして魔物と闘う里奈さんの剣や剣技は、とても素晴らしかった。」

「ですが⋯。宮で剣術を習う課程は無かったですし、あの剣術を教える者を私は知らないのです。

それに、剣に神力を纏わせていましたよね!そんな事が出来るなんて。初めて見たのです!!」


目をキラキラさせながら前のめりの勢いで話す殿下に、体が勝手に後ろに引いてしまう⋯⋯。

そんな私は悪くない!


「殿下⋯⋯。リリが引いてますよ。」

ため息混じりでアルバートが殿下に教える。

殿下はハッとして照れ隠しを誤魔化し、咳払いを一つ⋯⋯。

「リリ。私も気になっていました。

馬車の中でずっと何かしらの魔術を展開してましたよね?その魔術を私なりに解読してみました。それは、探し物の魔術でした。」


アルバートはじっと里奈を見つめて

「魔物や瘴気をリリが探していたのですか?」

殿下が驚いた顔で里奈を凝視する。

そんな事が出来るのかと⋯⋯。


「話が長くなるから、先に昼食を食べましょう。その後説明するわ。」

聞くと同時に、殿下が急いで食べ始めた。

アルバートも少しだけ急いでいた。

そんな2人をクスリと笑う里奈も、2人の為に急いで昼食を食べ始める。

白狐はマイペースに食事をとっていた。


昼食を食べ終え、アルバートが紅茶を持って来たタイミングで里奈が説明を始める。


「私が試したい事があると伝えたでしょ?それは、全部アルバートと殿下が質問して来た事を試したかったからなのよ。

これが全て上手く行けば、行程を半分に出来るから。そして、他国の浄化も早く出来ると考えたの。」


「!!!」

2人が驚いているが、構わず話す。


「私がいた向こうの世界には魔力が無いわ。だから、魔法も魔術もない。

でも物語の中で魔法とかを使う描写が沢山あった。

宮で色々試してみたら、理由は解らないけども殆どが理に適っていたのよね〜。」

日本の作家さんは凄いよね〜。と⋯⋯。


2人は質問はせず、里奈の次の話を待つ。


「瘴気は索敵って言う魔術を使って瘴気を探したのよ。アルバートの言う初期魔術の探し物の魔術でね。」

空中に探し物の魔術紋を描く。

2人が魔術を確かめると、中心の黒い点がある。

探し物の魔術にはこの点はない。


「リリ。真ん中の黒い点はなんです?」

「それ?瘴気よ。」と、簡単に口にする。


2人は言葉が出てこない。

里奈の話す内容が理解出来ずにいる。


「瘴気って!なぜあるのですか!リリ自身に瘴気が感染してしまうでしょう!!」

アルバートは、リリの両肩を掴んだ。

はっきり言うと、かなり怒っている⋯⋯。


「アルバート落ち着け!まず、里奈さんの話を最後まで聞いてからだ!」

殿下がアルバートの腕を引いて落ち着かせているが、里奈はアルバートの目を見つめて

「アル。心配してくれてありがとう。

魔術の事より私の体を気にしてくれて、嬉しいわ!」


その間の抜けた返事の内容に、アルバートはため息を吐いた。

「リリを私は信頼していますよ。何があろうと私はリリの味方でいます。

ですが、リリが他人の為に何かをする時は半分は信用してません!!

何故か解りますか?」

里奈は首を傾げる。


「リリは他人の為に何かをする時は、自身を蔑ろにするからですよ!?心配する私や白狐の気持を少しは考えて下さいね!」

少し厳しい目で見られる。

(アルと白狐の気持ちか⋯⋯。)


「ごめんなさい。何も言われないから、きちんと考え無かったわ。これからは、行動する前に相談します。」


里奈は右手の小指をたてた。

意味が解らないアルバートだが、里奈にされるがまま。〈指切りげんまん〉をする。


里奈と約束を交わした事に浮かれるアルバートを、白狐は見ている。

が⋯⋯。白狐は〈指切り拳万〉の本当の内容を伝える気にはならなかった。


「後は、剣と剣技よね。この剣は日本刀って言うの。」

空間魔術から剣を出し、鞘から抜いた。

それは魅入られる程の美しい剣であった。


「この剣は白狐から貰ったのよ。私にはこの世界の剣は合わなかったの。レイピアもしっくりこなかった。

剣技は、日本の伝統的な物で〈剣道〉って言うの。私は有段者だったわ。」


昔を懐かしむ様に話す里奈は、一瞬だけ寝ている獣人に視線をやった。

アルバートは無言で抱きしめた。

里奈はアルバートをよしよしと頭を撫でながら話を続ける。


「女神様が私の剣道の腕を使えば闘えるって教えてもらったから。宮でこっそり練習したのよ。」


「話はこれくらいかな〜?

質問あるなら、答えるけど?!」


軽く言うが、色々と話の内容が濃いと思うのは気の所為ではないはず⋯⋯。

「だいたいは解りました。里奈さんは更に強さを増したと言う事ですね。」

殿下は簡単に纏めてしまった。

アルバートと付き合いの長い殿下は、信頼する者の話は考え込むより、すんなり受け入れた後で考える癖があった。


里奈は笑いながらウンウン頷く。


「瘴気は何故探し物にいるのですか?」

「だって、何を探すのか的確に知っていれば、探すのは断然早いのよ?!」

当たり前でしょ?

そう言う里奈に、アルバートは呆気に取られる。

里奈の言う通りだからだ!

合理的な里奈の考えに驚いてしまう。


「では、この中心に探したい物を当てはめれば早いと。そう言うのですね。」

「そうね。実物があればそこに入れ込むし無ければ魔術で文字を刻めば大丈夫よ。」

アルバートは感心しながら、魔術紋を見入っている。


「里奈さん。瘴気を当てはめる時は体に影響はないのですか?」


その質問に、里奈はそっと視線を外し白狐を膝に乗せて撫で始めた⋯⋯。

誤魔化しきれていない⋯⋯。


「リリ⋯⋯。」アルバートがジロリと里奈を見る。

「はめる時に影響はあるわ。感染するから。でも、浄化出来⋯⋯」


アルバートが里奈の頭を自身の胸に押し付け、強く抱き込む。

白狐は察知していたのか、殿下の膝に飛び移っていた。


「リリ!なんて事をするのですか!!浄化が出来るからとか、そんな事ではないのですっ!!

貴女の身に何かあったら、私は⋯⋯っ私は生きて行けないのですよっ!!」


アルバートは、初めて本気で怒っていた。

里奈はその怒りを恐ろしいとは思わなかった。

だって、こんなに怒る程に想ってくれている。それを嬉しく思わずにはいられないのだった。

里奈はアルバートの胸に縋りつきながら、その想いが嬉しくて⋯⋯。

声を押し殺して泣いていた。


殿下は無意識に白狐を撫でながら、自身の頰が濡れているのに気が付いた。

袖口で涙を拭い

「里奈さん。貴女の献身には感謝するばかりです。ありがとうございます。」

殿下が頭を下げた。


泣いてボロボロの顔を殿下に向けて

「私がやりたくてやったの。だから、頭は下げないで。じゃないと、私は動けなくなるから。

これからは頭を下げるのは止めて欲しいの。感謝の言葉だけで嬉しいから。」

泣き顔のまま微笑む里奈は、そう伝えた。


「あのね。これから探し物の魔術をガルズ司祭や聖女にも使って貰うわ。それ以外の者の使用は禁呪とします。」


里奈の話はこうだ。

瘴気を探す為に組み込む時に必ず感染する。

感染しても、浄化が出来る者なら治癒で治せる。魔術に組み込みが終われば、感染しない。

聖職者は女神様の加護がある為、神力が少しある。


神力を扱える者以外が使うと死ぬ。と⋯⋯。


「だから、里奈さんは司祭と聖女を同行させたのですか?」

「上手くいけば使えると思ったの。使えなくても、民への治癒には貢献してもらえるしね。」


「今から教えようと思うけど、時間は取れそう?」


「一旦皆と予定を話し合います。里奈さんの欲しい時間はどれくらいですか?」

「2時間くらいあれば⋯⋯大丈夫かな!?」

「その予定で話して来ます。」


殿下は急いで馬車から出て行った。

アルバートは⋯⋯。

里奈を抱きかかえたまま、黙りだった⋯⋯。

アルバートの背中をポンポンすると顔を上げたアルバートが、里奈に口付けをして来た。

それはいつもの優しい口付けではなかった。息も出来ないくらい激しいものだ。


胸を叩き逃げようとする里奈を逃がすまいと腰を強く引き寄せ、里奈の頭を手で支え身動き出来ないようにする。

その間も口付けが止まる事はない。 

アルバートの舌が強引に唇を割り侵入してくれば、更に激しさが増す。


苦しいが心地良い口付けに堕ちかけた時に、里奈の頬に水滴が落ちた。

口付けの合間にアルバートの顔を見ると、泣いていたのだ。

ボロボロと泣きながら里奈に口付けていた。


里奈はアルバートの首に手を回し、自ら口付けに答えた。

(優しいこの人を私は傷付けてしまった。私もアルに何かあれば正気ではいられない。それなのに、私は⋯⋯。)

泣きながら口付けしあった。


里奈はアルバートの想いの重さを、この口付けで実感したのだった。


アルバートが唇を離し

「ごめん。気持が制御出来なかった。」

里奈の頭を撫でながら、泣き顔で謝る。


「アルは悪くない。悪いのは私よ。アルの気持ちを蔑ろにしたのは私なのよ。」

里奈はアルバートの頰を撫で、ごめんなさいと謝罪した。


『今回は里奈が悪い。』


白狐の声に、2人の世界にいた意識が現実に戻る。

バッと2人同時に白狐を見る。


『もう慣れたぞ!?仲良きは良い事だからな。』

白狐は欠伸をしながら丸まって寝始めた。


2人は罰が悪そうに、座席に並んで座り直す。

お互いの手を繋いだままで。


里奈はアルバートの自身を想ってくれる気持ちの重さを知る。


アルバートは自身の気持ちの重さを、里奈が受け入れてくれたのを実感する。


旅は始まったばかりだが、2人の絆は更に深まって行く。

この絆が後に里奈の神力を高めることになる。


殿下が戻るの待つ2人の空気はほのぼのとしていた。


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