34話ː 女神の怒りは皆に
残酷な描写があります。
苦手な方はご遠慮下さい。
少し短めです。宜しくお願いします。
白狐は里奈を寄せ直した。
里奈は無意識にもふもふの毛に顔を寄せ、強く抱きしめ眠っていた。
白狐の怒りは眠る里奈を見て落ち着いていた。
『お前達。すまぬが暫くは里奈の前に姿は出せない。我には見えるが里奈には見えない様にする。』
何体の眷属が着いてきたのか⋯⋯。
かなりの数がいた。
白狐自身も驚いた。
『お主らは女神の眷属であろう?良いのか?我といて。』
〘大丈夫かと思います。〙
眷属は話せない。頭に直接響く。
『相わかった。もう遅い皆寝るのだ』
眷属達は白狐の直ぐ側に来た。
尻尾を1本眷属に差し出す。もふもふ好きの眷属が寄ってきて尻尾に寄り添い眠った。
白狐が里奈に寄り添い眠る。周りには眷属が寄り添い合い眠る姿は平和に見えた。
〜 ✿ 〜
女神は里奈の側に白狐がいるので安心はした。
だが、アルスタ王国への怒りはまた別だ。
怒れる女神の感情はやはり外界に来た。
突然の大嵐なのだ。
豪雨、雷雨、暴風が国を襲う。
ナサニエル大司教は直ぐに愛し子様に何かがあったと判断した。
白の宮へと急いだ。
目の前には真っ白い巨大な光の半球。
ここは白の宮のはずだ。
光に向け魔術を放つ者がいた。アルバートだ。
大司教はアルバートの肩を掴み
「里奈さんに何があったのですかッ!!里奈さんはどちらに!!」
大声になるのも気にせず問いかけた。
「里奈は中にいる。白い大きな狐といる⋯⋯。」
そう言うとアルバートは崩れ落ち、大声で里奈を呼ぶ。
(白い狐⋯⋯白狐様が来られてしまったのか⋯⋯。)
真っ白な光は何も答えない。
そこに予測をしたであろう、陛下・宰相・侯爵・司教と司祭も駆けつけた。
全員に伝えた。
真っ白の光の中に里奈さんがいる
白い狐と共に
司祭と司教だけが理解する
(白狐様だ!!)
大司教の部屋に集まる。
側付きや殿下達も急ぎ呼ばれた。
大司教の部屋に集まった者は、アルバートの姿に驚愕する。
生気が無く、ソファーで頭を抱え
里奈、里奈ごめん。ごめん。
と泣いていた。
側付きの中で、キャロルだけが最悪の事態になった事が解った。
青褪めるキャロルを側付き達が心配する。
「里奈さんに何かが起きたのは確かです。この嵐は女神様の怒りですから。」
キャロルは膝を着き頭を地面に付くかのように頭を下げ、謝罪をした。
「申し訳ありません!私の判断が遅かったばかりに、この様な事に⋯⋯ッッ」
泣きながら謝罪をする。
大司教がキャロルに問いかけようとした瞬間。
部屋に重苦しい圧がかかった。
全員が耐え切れず膝を着いた。
神官なら解る。
〈女神様からの怒りの神力と〉
「ナサニエルよ。これはどうした事だ。」
聞いた事の無い声色の声が頭に響く。
神官以外は驚いていた。
「女神様。誠に、誠に申し訳ありません。」
大司教がそう口にした。
女神様⋯⋯。
その場にいた者は絶望した。
愛し子様に何かがあった。
女神様の怒りを買う程の。
更に圧が強くなる。
「ナサニエルよ。私は伝えたはずじゃ。里奈の心も体も傷付けてはならぬ。とな」
「前回のお茶会も、事が起きたな。
白狐の怒りは凄かった。今回の白狐の怒りはその比ではないぞ。」
先程から聞く〈白狐〉とは、何で有ろうか。
問えない。何も言えない。
愛し子様に何があったかすら解らないのだから。
そんな中
「女神様!申し訳ありません。私のッ私の責任です!私の判断が遅かった為に⋯ッ愛し子様が⋯⋯」
女神は答えない。
無言の圧が続いた。
「そなたら全員に記憶を見せる。」
全員に紫の神力が落とされた。
【図書館に行く里奈への周りの不躾な行為を。
段々エスカレートする悪意を、里奈が心の中で耐えていた事を。
強くあろうと頑張っていた事を。
あの日のお茶会の記憶が始まる。
引き離された里奈。
令嬢達に引き摺られ床に放り出される。
へたり込む里奈に紅茶が掛けられた。
ベールの結界がある事を理解した令嬢達は次々に面白がり物を投げつけた。
汚い言葉を言いながら。
放心状態になった里奈を放置して部屋を出る令嬢。その中の1人の令嬢がキャロルの手を踏みつけた。
記憶は庭で1人泣き喚く里奈の姿で消えて行った⋯⋯。】
側付きや王子達。アルバートは泣いていた。アルバートの悲しみや怒りは凄まじかった。
だが、女神はアルバートの怒りすら許さなかった。
「のうアルバートよ。そなたのその怒りは許さぬぞ。
お主は何をしていた?気にかけていた様で里奈自信の努力に甘えていたのだからな〜。」
アルバートはビクリと体を跳ねさせた!
「里奈が笑っているから大丈夫?
里奈が何も言わないから大丈夫?
お主の爪の甘さが、あの女を助長させたのだっ!!」
「ライアン。お主の婚約者も許さぬ。真実を知らなければ責任が無いと思うな!」
「5日時間をやる。
5日後の儀礼の時に処罰者を全員私の前に出せ。」
全員が儀礼の姿勢をとる。
「ナサニエル。白狐に感謝する事だな。
あやつがいなければ、里奈は壊れていた。次は無いと、そう刻め」
一瞬で圧が抜けて行った。
陛下を始め、大人達ですら足に力が入らずに立てないのだ。
王子を始め若い者は、気絶しそうな圧に耐えるので精一杯だった。
アルバートだけが、後悔の中に沈んでいた。
長い間、誰も口を開かない。
疲労もあるが各々が5日後まで何をすべきか考えていたからだ。
特に名指しされた、アルバートとライアン。
この2人は特に女神様の怒りの対象と関係があるのだ。
外は嵐が止んでいた。
たが、その爪痕は大きかった。




