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一人ぼっちだった前世⋯⋯。今世は最強(最恐)愛し子として楽しく生きてます!  作者: おかき
アルスタ王国編

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29話: 怒る白狐と女神のような女神

天界では

女神が白狐を呼びに来ていた。

そう!今日はお茶会の日なのだ。

白狐には伝えておらず、楽しむであろう里奈を見せたかったのだ。

サプライズをする予定で。


白狐は与えた空間に平屋建ての家と、その隣に社を建てた。

あの里奈と過ごした里山の風景をそのまま創り上げたのだった。


白狐の周りには私の眷属がいた。

いつの間に……。

私を見た眷属が少し申し訳なさそうに頭を下げた。

私は軽く手を払い頷いた。

天界では眷属がチラホラ家を出し始めた。

白狐に懐いた者達だろう。


「白狐よ。良いものを見せるから湖にくるのだ。」

白狐は胡散臭そうに女神を見るが了承した。


湖のカウチソファーに横たわる。

水鏡を出すと、ドレス姿の里奈がいた。

カーテシーをする里奈は可愛かった。


(少しビックリした様だな!!)

満足気な女神は


「今日は里奈は初めてのお茶会だ。

里奈の初めてを一緒に見よう!」


と言うが返事がない。

白狐を見ると里奈をじっと見ている。

安定の里奈好きである。


女神と白狐は静かに水鏡に映る里奈を眺めた。


楽しそうに笑顔を浮かべる里奈。

王妃の言葉に涙する里奈。

可愛いしかない。


「里奈は母親が出来たのが嬉しい様だな。」

そう言うと、白狐は間を置いて


『少し違う。母親がどんな存在かは里奈は解らない。実感してはいない。

ただ、王妃の言葉そのものが只々嬉しかったのであろう。』


(里奈が聞いたら「正解」と言うだろう。その通りだったからだ。)


女神は又もや白狐に負けた様な気持ちになる。が折角の初めてのお茶会だ。

里奈を見て気持ちを上げた。


楽しく進む茶会の終盤、事が起こってしまう。


天界はやばい状態になった。

白狐の怒りだ。

2度目である女神は何とかなるが、白狐に付いてきた眷属は腰を抜かす。


白狐は怒り体を上げると3本の尻尾の毛を逆立たせた。

『お主は何とか出来んのかッッ!!』

怒りをぶつける。

女神は白狐の側に行き背を撫でながら、


「私が直接手は出せぬ。力を与えるか、与えた力を奪うしか出来ないのだ。」

すまない。……と。


白狐は理解はしている。

同じ神として干渉を許されない行為がある事を。

干渉した時の罰もあるだろう事も。

だがそれはそれ、なのだ。

里奈に伸びる悪意に怒りを収められない。

白狐は『里奈ッ』と名を呼び食い入るように水鏡を見ている。


すると、女神が映像の里奈に話しかける。


「 里奈 里奈 」 優しく。


「里奈。声が聞こえてる?

みんなは大丈夫よ。落ち着いて。」

そう声をかけると、里奈の思考から問いかけられる。


「何が大丈夫なの。みんなから血が出てる。大切な物を壊される。ダメ。私から奪う……ダメ」


里奈の思考は冷静な声で告げる。


女神は映像の里奈に手をかざし

「里奈。貴方が大切な物を、大切な者を自らの力で守るの。」


かざした手から紫色の光が放たれ、水鏡を包む。

大丈夫。落ち着いて。周りをちゃんと見て。優しく優しく問いかける。


里奈の思考の声が消える寸前

「私の1番大切な者は……守れて……いない。」

小さく囁くと思考の気配が消えた。


記憶の奥底に眠る里奈が白狐を忘れてなどいない証だった。

あの子狐を守れなかったと。


白狐は呆然としている。


映像の里奈はちゃんと対処出来ていた。

悪意も捕まえた。

そんな事は白狐はどうでも良かった。

地面を濡らす水滴を女神は見て見ぬ振りをし、「良かったな。白狐」

そう言い残すと女神は消えた。


涙する白狐を心配した眷属達は、白狐に寄り添い体をくっつけていた。



〜✿〜


悪意の根源は神力で縛られていた。


大司教はアルバートに声をかけ、その人物に視線だけをやり、皆から姿を見えない様に頼んだ。


静まり返る中、大司教が話しを始めた。


「愛し子様とのお茶会でこの様な事が起き、非情に残念である。」

里奈に体を向け、深くお辞儀をする。

「誠に申し訳ありません。」


それに習い、皆頭を下げ礼をする。


「謝罪はいりません。皆さんの所為ではないんだから。大丈夫です。」


心優しい愛し子様に感謝する。


「さて。皆様には申し訳ないが、先日の儀礼と同じことを施して頂く。」

大司教が話す。

皆は快く了承してくれた。


今回ばかりは外部に漏れたらまずい。話したければ、また話せるようになってからで充分だからだ。


会場には一部の者だけ残る。

勿論だが里奈はいない。

王妃や王女と王宮にて待ってもらう。


アルバートが魔法を解くと転がる男性がいた。


アルバートは苛ついていた。

里奈に付いていけなかったからだ。

まだ気絶している男を靴先でひっくり返す。


「この男は誰でしょうか?!消しても良いのですよね?

里奈さんを攻撃した。つまり死んでよし!」

アルバートが右手に魔力を溜めた。


「アルバート殿。殺すのはダメです。」

大司教が止めるが、アルバートは無表情で男を見下ろしたままだ。

「まだ今は!ダメなだけです。解ったら魔力を解放して下さいね。」


アルバートは魔力を引っ込めた

「つまり。こいつの正体や仲間等を聞き出すから、まだだと?!では、直ぐに話させれば里奈の所に行けると。」

話しながら、天門を出し何処かに行った。

少しだけ待つと、誰かを引き摺る様に手を引いて戻って来た。


フィッセル侯爵だった。

服の身嗜みを整え状況を見る。

直ぐに理解した侯爵は、


「愛し子様を狙いましたか?

以外にも早く動かれましたね。」


「では、さっさと白魔術で真実を話させましょうか。」


アルバート以外の一同は

「⋯⋯⋯」である。


「白魔術は、古代の魔術では⋯⋯」

宰相が恐る恐る聞いてきた。


「そうですよ。白魔術・黒魔術は消え去った魔術です。」

アルバート以外が息を呑む。


「因みにアルバートは両方使えます。

私が魔術で封印してますが。」


爆弾発言のオンパレードである。


大司教と陛下が宰相に視線をやる。

フィッセル侯爵が私に力を貸すと言ったからだ。


(フィッセル侯爵が来ると、問題がいつも増える。増えるのだが、やはりその知識は役に立つのだよな〜。 ハァ~)


「侯爵。白魔術・黒魔術そして封印魔術は古代魔術で間違いないのか?

侯爵は白魔術を、アルバート殿は両方使えると。」

宰相が質問すると、侯爵が頷く。


「私は幾つか古代魔術を知っています。

知っているだけですよ?誰かに使った事はありません。」

「誰でも使えるのか興味があったので、身近にいたアルバートに教えましたよ。」

ニコリ


「侯爵は世界を回った際に覚えたと。

どこかの国に文献がある。その国に古代魔術の文献があるとなると、厄介なのでは?」

宰相の予測は政をする上で正しい考えである。


「そうですね。ですがその国は文献があっても魔術が使えないのです。」解りますか?


「獣人国ですか。」

宰相が答えると、正解と侯爵が頷かれた。


「獣人は魔法は使えても不器用ですから、魔術は使えないのですよ。

その文献を頂く代わりに、私の知識をお教えしましたが。」


古代魔術の文献が侯爵の手元にある。

凄い事だが、怖い事でもある。

古代魔術はいつも女神様の怒りを買うからだ。

一同思案顔になる。それを見て侯爵が


「確かに古代魔術は危険です。

ですが、今私達が使う魔法や魔術も同じく危険なのですよ。」

「つまり、使い方。使う者を選べばとても

便利な魔術なのです。」


更に爆弾発言をする侯爵


「この男が動いたとなると、愛し子様を狙う者が動き出した。更に愛し子様の危険度は上がりますよ。」


皆、絶句する。


静まり返る中、王子殿下が口を出した。

殿下もこの場にいた。

殿下は何も知らされていない。


「アルバートは何故愛し子様と一緒にいつもいるのですか?

そしてこの男の裏を皆さんは知っている。

愛し子様に何があるのです。」


大人達は殿下が居た事をただ忘れていた。

アルバートは一応関係者だから、気にしなかった。


陛下が

「ライアンよ。宰相・大司教・侯爵は愛し子様を護る為に色々動いている。

そなたに話しをしなかったのは、知る者が少ない方が動きやすいからだ。

そなたを蚊帳の外にした訳ではない。」

親心でもあったのだ。

「アルバート殿は女神様が選ばれた愛し子様の婚約者候補だ。」


殿下はストンと全て納得した。 

陛下の目を見て「解りました」と。


この男の事が解決したら全て説明する。

と、陛下は約束した。


「⋯⋯ン⋯ン。」


男が目覚めたようだ⋯⋯

と視線を皆が向けた時には侯爵が男の側に居た。


「さあ語って貰いましょうか。

貴方の知る全てを。」


侯爵はそれは美しい笑みを浮かべた。

右手を天にかざして、白く輝く魔術紋を描いた。


男は「白魔術⋯⋯。」とガタガタ震えた。


これから始まる侯爵の行動に、宰相がまた頭を抱える事になる。


フィッセル侯爵だけが1人楽しそうだ。


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