22話: 里奈の衝撃的な初対面
近衛を先頭に屋敷に入る。
玄関を入り中を見渡すと、西洋風の作りをしていた。
廊下の真ん中辺りまで進むと2階に上がる階段があった。
階段前で里奈に近衛が振り返り、1度頷くと階段を登り始めた。
上がった先には、扉が数枚あった。
中央の扉の前に1人の近衛が立つと、2人の近衛は部屋に入る。
私達は待機する様に言われた。
暫くすると近衛が部屋から出てきてライナス司教に頷き、私達を部屋の中に案内した。
部屋に入ると、白を基調としたシンプルな家具が配置され可愛らしい小物が幾つもあった。
「可愛い」
そう呟いた。
それを聞いた近衛と神官は、ホット安堵する。
ソファーに座るように促され座ると、対面にライナス司教が座る。
ガルズ司祭は?と探すと、紅茶を用意している様だ。
ライナス司教が
「里奈さん。お疲れでしょうが。今日これからのお話をしても?」
里奈は了承する様に頷く。
ガルズ司祭が紅茶を3人分置くとお菓子を里奈の前に出した。
お菓子を見て里奈の顔がパッと明るくなる。
花の形をしたクッキーだ。真ん中に果物のジャムがのっている。
砂糖が貴重な為、果物のジャムは高級品である。
1枚手に取った里奈は角度を変えて眺めた後、口にした。
美味しかったのであろう。ニコニコしながら、2枚目に手を出した。
ライナス司教が里奈に話しかける。
「まず、お部屋ですが。王妃様が全て用意されました。急な事でしたので里奈さんがお気に召すか心配されていました。」
なんと、王妃様自らがこの可愛い部屋を用意してくれたなんて!
驚きと共にポカポカ心が温まる。
「とても可愛いくて気に入ってます。王妃様にお礼を言いたいです。」
と、嬉しそうに話しをされる。
「直ぐには無理でしょうが、お会いした時にお伝えすれば宜しいかと。きっと喜ばれますよ。」
「さて、昼食後にナサニエル大司教が説明にきます。明日以降の里奈さんの予定等を説明してくれます。」
「昼食は、、こちらのお部屋に運びますか?1階のダイニングルームに用意も出来ますよ。」
里奈は少し考え
「お部屋がいいです。」
そう答えた。
ゆっくり紅茶を飲んでいると、里奈が私達にもお菓子を「一緒に食べましょう。」
と勧めてくれた。
なんて優しいのかと、感動する。
里奈はなんと、近衛まてにもお皿を持ち進めたのだ。
本来なら護衛中の飲食は禁止であるが、愛し子様の心遣いを無下にしないように近衛に視線をやり頷いた。
近衛は笑顔で愛し子様からクッキーを貰う。
見たこと無い近衛の笑顔。
それが嬉しいのか、何やら愛し子様と会話をしている。
ソファーに戻られた愛し子様はとてもご機嫌のようだ。
ほのぼのである。
3人でゆっくりお茶を堪能していると
「ライナスさん。お願いがあるんだけどいいかな。」
と、少し元気が無くなったような気がした。
大丈夫だと返事をすると、
「お昼ご飯まで少し寝たいの。いい?」
元気が無くなったのでは無く、眠たかったのである。
「大丈夫ですよ。昼食は少し遅目に届けますね。」
ライナス司教は立ち上がると、里奈を寝室の前まで案内する。
ライナス司教とガルズ司祭は寝室の扉の前で
「ゆっくりお休み下さい。」
と、一礼し部屋から出ようとした
が、ライナス司教が慌てて振り返り
「伝え忘れましたが、部屋の前と屋敷の周りは近衛が護衛してます。安心してお休み下さいね。」
それを伝え終えると、護衛と共に出て行った。
寝室には、大きなベットと化粧台がある。木枠の豪華な姿見もあった。
シンプルだけど、品がある。
里奈はベットに腰掛けると、そのまま後ろにパタリと倒れた。
天井を見つめ、今日のこれまでの事を思い返す。
(女神様が言ってた通り、みんな優しい人だったなぁ〜。
私が愛し子なのもあるんだろうけど……。)
ふと
(1番後ろの綺麗な人は、何だか怖かったなぁ〜。でも少し気になるかも。)
思い出していると、眠りに着いた。
「里奈さん。昼食を持って来ました。
起きれそうですか?」
「ベットの端で寝ては危ないですよ?」
「…………」
ハッと勢いよく起き上がる。
勢い良すぎて倒れそうになるが、ガルズ司祭が支えてくれた。
「大丈夫ですか?」
ガルズ司祭が優しく聞いてくる。
大丈夫!と返事をしようとした瞬間。
グゥー とお腹がなった。
(タイミングッッ!!)
恥ずかしさからか、俯いてしまう。
「里奈さん、服にしわが着いてしまいましたね。
服を着替えてから昼食にしましょう。」
と、お腹の音を無かった事にしてくれた。
ガルズ司祭は隣の部屋に居ます。と、寝室を出て行った。
急いで衣装部屋に行く。
扉を開け、コッソリ覗くと沢山の衣装があった。
ビクリして一旦ドアを閉める。
恐る恐る部屋に入る。
まるで不審者だ。
簡単な服がいいなと探すと、薄い水色のワンピースがあった。
着替えて姿見で確認しようと鏡を見ると……。
誰これ。
え!?私よね!?若くなってない?
里奈は女神様が若くしたと言って事を思い出す。色々女神様に聞きたいが……。
(お腹が空いたから、この件はまた後ね。)
急いでリビングに向かう。
お腹が空いているので早足で先程のテーブルに向かう。
テーブルを見るが、ご飯らしき物がない。
辺りを見回すがやはりご飯が無い。
眉が下がると
「クスリッ」 と、笑われた。
ムッとしたので睨んでみた。
ご飯って言ったのにご飯が無いのだ
!!
そんな里奈を見て、ガルズ司祭がクスクス笑い声を出した。
「里奈さんは、本当に可愛らしいですね。昼食は、外のバルコニーに用意してますよ。」
と、里奈をエスコートする。
里奈はビックリしていた。
私に笑いかけてくれたのだ。
嬉しすぎて固まってるのだ。
ベランダに出ると小さなテーブルにサンドイッチと紅茶があった。
椅子に座ると、サンドイッチを眺める。
美味しそう。
ガルズ司祭は、席を外してくれたのでサンドイッチに早速手を伸ばし一口食べた。
(美味しい!)
スパイシーなお肉に、少し硬めのパン。
最高です!!
モグモグ食べ進めると、ある事に気付く。
(野菜が無い……。)
サンドイッチに野菜が入ってないのだ。
里奈は野菜が大好きなのだ。
(出して頂いた料理に不満はダメよね。)
また食べ進めるが、胃にくる重さに苦戦する。
残さず食べた里奈は紅茶で胃の重みを誤魔化した。
タイミング良くガルズ司祭が入ってきて料理の感想を聞かれた。
「とっても美味しいかったです。
でも、少し量が多かったです。残すのは勿体ないから量を減らして下さい。」
と、伝えた。
了承の頷きを見て、また紅茶を飲む。
ガルズ司祭が、庭に薔薇園がありますが食後の散歩がてら行きませんか?と聞かれ「行きたい」と即答する。
1階の庭までの間にガルズ司祭が
「伝え忘れましたが。ワンピース、とてもお似合いですよ。」
と褒めて貰えた。
気分の上がった里奈は足取り軽く庭に出た。
そこには、大輪の薔薇が咲いていた。
「綺麗い……グエッ」
言葉の途中で何かに後ろから抱きしめられた。
自分の胸に視線をやると、男性の腕であるのを確認する。
恐怖である。
ジタバタするが、抱きしめる腕は逃さないように更に強くなる。
腕をタップしながら、ジタバタする。
そこにガルズ司祭が少し怒った声で
「お離し下さい。アルバート殿ッ!!!!」
と、男性の腕を掴み私から離そうとした。
のだか、男性はクルリと回り私を抱き込んだままガルズ司祭から離れる。
里奈は後ろから抱え込まれているので、男性の顔が見えないのだ。
軽くパニックになりながら呆けてると、大きな溜息が聞こえた。
「残りの儀式に居ないと思えば。」
ナサニエル大司教は里奈と向かい合わせで立つ。
里奈に優しく声をかける。大丈夫だと。
だが、大丈夫じゃない爆弾発言を耳にした。
「アルバート殿、そんなに抱き込むくらい里奈さんが気に入りましたか?」
と。
おじさま!!
発言が全然大丈夫じゃありませんよ!!




