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一人ぼっちだった前世⋯⋯。今世は最強(最恐)愛し子として楽しく生きてます!  作者: おかき
アルスタ王国編

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13話: ナサニエル大司教

暫くの静寂の後、ナサニエル大司教が話し始めた。


「誠にお聞き苦しい無作法を。

申し訳ございません。」


掠れ気味の声で謝罪の言葉をのべる。


「落ち着いたならば、それで良い。」

「して、先程の話であるが近々愛し子をそちらに降ろす考えである。ナサニエルは我が愛し子を守って貰いたい。良いな。」


外界では、ナサニエル大司教が床に膝を着き、頭を下げ祈りの姿勢で深く深く感謝を捧げる。


祈りを捧げられたのであろう。

女神の珠が光り輝く。

大司教の祈りが女神へと届いたようだ。

女神が満足気に頷いた。


「祈りは届いた。ナサニエル。」


「さて、里奈を知って貰う為に記憶を見せる。」


右の手のひらの上で光り輝く珠に、女神が左手をかざそうとした。その時


外界から声が掛かる。


「女神様。今私の私室に2人の神官がおります。

女神様のお声は2人には聞こえませんが、この様を見ております。

私には信用に足る者で、これからの事を考えるならばこの2人にも是非とも知って貰いたいのです。」と。


女神は暫し考え、

「その者にそちの持つ珠に右手をかざすように伝えよ。」


少しすると、女神の珠が2度光り輝いた。


思案する事もなく

「その者達にも里奈の記憶を見せる。

楽にしておれ。」

と、ナサニエル大司教の提案を受け入れた。


女神が先程と同様、左手を珠にかざす。

女神の珠が銀色に輝き、静かに光を消す。

珠は女神の手から消えた。


静寂が広がる。


ほんの少しの間を過ぎると、女神の右手が光った。

先程と同様の仕草で珠を出す。


「見たか?」

「とうであったか?

愛し子のあちらの生き様は。」


何も返答がない。


我も知っている。

里奈と出会い異界の神に見せられた、里奈の寂し人生を。




〜 ❀ 〜 ❀ 〜


ナサニエル大司教は教会の祈りの時間を終え、私室にて女神の森へ次に派遣する関係者の書類に3人で目を通していた。


すると卓上に女神様より賜わった、大切に飾られた珠が光を放った。

女神様に返答を返す。


女神様よりの言は衝撃的過ぎた。

愛し子様と……。


愛し子様の魂を女神様は、とても、とても大切になさるのだ。

何故女神様が1つの魂を大切になさるかは、知られていない。

ただ、大司教となる際に


【女神様は唯一の魂を殊の外大切になさる。その魂は時に愛し子様となる、】


と、伝えられる。

いつ愛し子様が降臨なさるかは解るはずもない。だからこそ、代々の大司教に教え伝えられるのだ。

愛し子様を我等が大切にするように。


この数十年の民の苦しみを見てきた。

民は行き場の無い苦しみに、大司教である私にさえ悪意をぶつけるのだ。

私はそんな時は聴こえない振りをする事しか出来ないのだ。


皆の祈りのおかげで、何とか国を保ててはいる。

だが、現状維持を保つので精一杯であったのだ。


3人で長く話をした。

陛下とも宰相とも。

だが、今の状況を打破する策は見つけれなかったのだ。


今も3人で話し合うものの、次の派遣に打開策も打てずにいたのだ。


そこに来て愛し子様の話がきたのだ。


救われる。

皆の努力が想いが、報われる。

この世界にまだ見たことの無い平和な暮らしが民にもたらせるのだ。


苦しい。歓喜で苦しいのだ。

女神様に届いてしまうが、涙が止まらなかった。

懸命に嗚咽を我慢するが、無理なのだ。

膝や腕を着き蹲る。

口元を押さえ懸命に涙を、嗚咽を堪える。



蚊帳の外である2人の神官は呆けていた。

女神様から大司教に何やら言が降りたのであろう。大司教にしか女神様のお声は届かない。

それは時折見られる光景だ。

しかし、この状況は何やらおかしい。

大司教が蹲り、嗚咽を必死に堪え泣いているのだ。


2人は大司教の元に座り込み背を擦る。


すると大司教が女神様に私達の事を伝えた。

卓上にある珠に右手を翳すと、珠から銀色の光が伸びて来た。

2人の神官の全身を包み込むと、一瞬で光は珠へと戻り静かに消えた。


頭の中に凛とした声が聞こえた。

2人の神官は目を合わせるが、どちらの頬にも美しい雫が流れていた。


この輝かしいこの時を一生忘れる事はないだろう。


しかし、喜びに満ちた心が愛し子様の記憶を見せられ焦燥に塗り替えられるのも

一生忘れる事な無いであろう。


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