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一人ぼっちだった前世⋯⋯。今世は最強(最恐)愛し子として楽しく生きてます!  作者: おかき
ザイラー獣人国編

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35話 シーヴァ王とセアラ妃の処罰

残酷な描写があります。

苦手な方はスルーして下さい。

〜 ❀ 〜


「⋯⋯。」

『はぁー。』


白狐のため息に女神様が一緒ビクッとなるが、胸を張り白狐と対峙する。


「神殿に祈りを捧げた者の願いを話す事は出来ぬ。神とて許されないであろう。」


女神が珍しく真っ当な話をする。


『お主が創り、お主が授けたもので悩み苦しむ者がいてもか?神が民を苦しめておるのに、その神は民を助けぬと⋯⋯。

そう申すのだな?』


女神は「うぐっ。」と言葉を詰まらせる。


『内容を話せとは言うてはおらん。番を嫌う者は多いのかを聞いておるのだ。』


(確かに、祈りの中で番を否定する者もいる⋯⋯。でも私が加護を授けたのだ!子を成しやすくする為に⋯⋯。それなのに⋯⋯。)


女神は自身が授けたものへの不満を告げる者が、少しだけ疎ましかったのだ。


「私が創った世界だ。番が必要だと授けたのだ。なのに⋯⋯。」


『はぁー。』

白狐は子供じみた女神に疲れていた。


『里奈が番の仕組みを変える事には賛成したではないか。なぜ今更ぐだぐだ言うのだ。』


里奈が女神の許しを求めた時には、好きにして良いと告げていたのだ。


「里奈が変えるのには何も反対はしない。ただ、里奈以外が文句を言うのが気に入らん!」

女神はプイっとそっぽを向いた。


『そう拗ねるな。人とは我が儘なのだ。自分に都合が悪くなれば他者にあたる。そんなものだ。』


女神より長く生きる白狐の言う通りなのだが⋯⋯。


「⋯⋯。」

『はぁー。』


何度目かのやり取りに、白狐は苛立ってしまう。


『拗ねるのは構わん。そなたの世界だ。

だが、里奈が知りたがっている事に、やりたい事に力を貸さないのなら、里奈と繋がるな!愛し子と二度と口にするな!

里奈に尻拭いをさせておきながら⋯⋯。』


白狐の神力が膨らみ始めた。


「解った!私が悪かった。神力を消してくれ!」

女神は即、謝罪した。

また世界を壊されかけては堪らない。


「里奈の為なのは解っている。だが、民の祈りは日に日に酷くなり、そして醜いのだ⋯⋯。」

女神は頭を抱えてポツリと呟く。


『獣人国での騒動で民達の不満は溜まっておる。色んな不満を抱えておる故、八つ当たりするしか民の心には逃げ場がない。

お主に願えば変わるかもしれぬと、お主に縋っておると何故思えぬのだ?

最後の頼みの綱の神が、民の思いを蔑ろにしてどうするのだ?』


『里奈が民の不満の種を一つ一つ回収しておる。お主が世界に干渉出来ないのなら、里奈がやるしかあるまい。

里奈の行動次第で、お主への祈りも醜くいものが減って行くのだ。』


女神はそっぽを向いたまま、俯いた⋯⋯。

白狐の話はいつも正しい。

なぜ自分はそれが出来ぬのか。


女神は白狐に会う度に、己の未熟さを知る事になるのだ⋯⋯。


「白狐のような神ならば、民はしあわせだろうな⋯⋯。」 


女神の呟きに、白狐は鼻をフッとならした。


『私が優れた神ならば、我が社を作りし民を死に追い詰める事はなかったであろうな。』


白狐の言葉に、口にしてはならない事であったと思い至った。

白狐は自身を崇める民を愛し、尽くし過ぎた為に他所から攻められたのだから⋯⋯。


「すまない⋯⋯。」

『良い。事実は受け止めねばならん。

お主はまだ若い。仕方ない事よ。』


暫くの沈黙の後、

「番がいなければ、番を解消出来れば⋯⋯。そう願う民は多い⋯⋯。」


悲しげな表情の女神は、自身の安易な番という加護をつけた事に迷いが生まれていた。


『番の加護は悪くはないのだ。ただ、選ぶ事が出来れば良かっただけだ。

人とは悩みながらも選び、苦しみながらも決断する。与えられた物に安易に身を委ねる事を嫌う者も多いだけだ。』


「そうなのだな⋯⋯。里奈はいつも悩んでおるしな。」 

女神がクスリと笑った。


『あやつはもう少し悩んだ方が良いがな。』


二人の神の問答は険悪な状況になったが、最後は何とか穏やかに終わる事が出来たようだ。




〜 ✿ 〜


クレメン先代陛下とアーシャ様。ご子息のルス様と今日は話し合うことになっている。


里奈の私室にて話し合いが始まる。


「時間をとって頂き、ありがとうございます。今日話し合いたい事は、番についてです。」

クレメンは片眉をあげた。

妻ではあるが番ではないアーシャに何か言いたい事があるのかと、警戒してしまった。


「クレメン様が思う事とは、多分逆です。私は番の仕組みを変えようと考えています。番とは、女神様が獣人達に子を成しやすくする為に与えられた加護です。」


クレメンはその通りと、頷いた。


「子を成す事は、種族として繁栄する為には大事な事です。ですが、子の為だけに本人達の感情を蔑ろにしてはならないと思うのです。理性と本能を両方持つのならば、選ぶ事が出来るようにしたい。」


里奈の話はクレメンにっては、何よりも有難い話だ。

だが、番至上主義の者には決して理解はしてもらえないだろう⋯⋯。


「愛し子様の話は、私達には有難い話だ。だが、まだ見ぬ番に焦がれる者も多いのだ。それをどうするかなのだが⋯⋯。」

クレメンもどうしたら良いか悩んでいる。


「例えば、クレメン様のように先に番でない者と結ばれた場合。番を選ぶならば、先の妻には十分な補償をする。番をえらばず妻を選ぶならば、番との縁をきる。とか⋯⋯。」


「良い案だと思うが、補償の話や番との縁切りをどう行うのだ?」

クレメンも里奈の案が実現出来るのならば、同じく悩み苦しむ者の助けになると思っている。


「結婚や婚約をする時に書面に残します。二人で取り決めをし、番が現れた時の約束を結ぶのです。

保管先は新たに省を作るか、どこかの部署に請け負って貰います。

番との縁切りは、私が女神様にお願いをし縁切りの仕組みを作ります。女神様の加護の事なので、これは神殿になりますね。」


里奈の案をクレメンは受け入れた。

「解りました。細かな話は王宮の者も交えてとなりますね。

愛し子様が私を王に推すの理由は、番の事があるからでしょうか。」


「それだけではありませんが⋯⋯。

それも理由の1つです。

私はこの国に来て番に悩む者の話を聞きました。ですが民達全員から聞いた訳ではありません。どれくらいの民が番に悩んでいるかを知りたかった。

なので女神様に聞きました。」


「番について悩む民は多いと。」

女神様の答えを伝える。


クレメンは目を閉じた。

沢山の民が悩み苦しんでいたのかと⋯⋯。

自身は臣下の助けもあり愛する妻と子と暮らす事が出来た。

しかし、逃げられない者も多いだろう。

その者達の助けになれるのは、愛し子様と自分しかいないのだと理解した。


「私は幸運にも愛する妻と子と暮らせました。それが出来ぬ民も多いでしょう。

私が王になり助ける事が出来るのならば、番でなくとも一生を添いどける相手を選んで貰いたいのです。幸せのために⋯⋯。」


クレメンは番の事に里奈に全面的に協力する事を約束をしてくれた。

番についての仕組みは里奈が全て請け負う。

クレメンは臣下や民への説得を請け負う事になった。

番については、暫くは内密に動く事にした。


クレメンと里奈の密かな話し合いから数日、早々に次期国王がクレメン先代陛下となる事が公布された。


国中がクレメン先代陛下の復帰を喜んでいた。


次期国王の公布の前に、ヤービスとイーロは責任をとり王族を離れる事が公布されていたのだった。

ヤービスは希少種であり、自身の臣下を大切にしている事を民は知った。そんなヤービスを新たな王にと望んでいたのだが、

責任をとると⋯⋯。


次期国王が誰になるのか不安を抱えていた中、亡くなった筈のクレメン先代陛下の名前があがり沸きに沸いていた。


亡くなった筈のアーシャ様と、番ではないのに子を成しているアーシャ様。

番を嫌う者の希望となった。

番でなくても子を成なせる。アーシャ様は王妃となると支持を集めた。


ルス様は王太子殿下となるが、物腰も柔らかく頭がきれる。

神殿では他国についての書物を読み漁っていた為、語学が堪能であった。

王太子の教育も知識の多さに、直ぐに終わることになった。


何よりクレメン先代陛下の復帰を、アルスタ王国と愛し子様が歓迎したのだ。

誰も文句は言えなかった。


そんな中で民達はふと思い出す。


もう一人の駄王はどうなった?と⋯⋯。


その答えは、数日後のクレメン新国王の即位のお披露目の日に知る事になる。



〜 ✿ ~


王都中が新国王の祝いで賑わう中、王宮の奥の離れの宮では二人の男女が抱き合い震えていた⋯⋯。


震える二人の前には、怒りの神力を纏い大きな狐を側に置く愛し子様がいたからだ。


白狐は二人を視界に入れたくない為、そっぽを向いている。

里奈は白狐の背を撫でながら、視線をシーヴァ王とセアラ妃に向けた。


「番ね⋯⋯。理性のない獣ね⋯⋯。」

その言葉にカッとなるが、里奈が向ける視線の先には裸の二人の姿⋯⋯。


自分達の姿に、言い返せないでいた。


里奈は神力で二人に恐怖を与えた。

番の本能を抑えさせたのだ。

本能のままに話されても困る。

少しは理性を取り戻して貰わないと、話が出来ない。


「名前は聞かないし、名前は言わない。」

里奈はお互いの名乗りを拒否した。


「貴方が本能のまま生きている間、何が起きてるかは知らないでしょうね。」


二人は何の事を話しているのか、全く理解出来ていない。

不思議そうな顔をする二人に、苛立ちが増す。

神力が重くなり、目の前の二人は床に伏せた⋯⋯。


「貴方達にこの国で起きた事を視て貰うわ。」


里奈が告げると、そっぽを向いたままの白狐が神力を二人に飛ばした。


王妃とゴッドローブのやらかしを。

獣人国が生まれ変わり、新たな王が選ばれている事を⋯⋯。


「な!私が王なのだ!認めない。絶対にな!」

シーヴァ王が特大の火球を頭上に作った。「私から王座を奪う者は、死ぬが良い!」

シーヴァ王は自身の両手を火球に向けた。


里奈はその時、視界に捉えた。

ニヤリと笑うセアラ妃を⋯⋯。


シーヴァ王が火球を里奈に飛ばしたが、里奈は弾き返した。

シーヴァ王ではなく、セアラ妃に。


「ぎゃーっ!!」

セアラ妃の絶叫が離れに響き渡る。

シーヴァ王は自身の魔力で燃えるセアラ妃の火を必死に消そうとする。

邸には沢山の使用人と臣下がいたはずだが、誰一人として来ない⋯⋯。


誰も助けに来ない中、シーヴァ王は必死に火を消そうとする。

だが、シーヴァ王は魔力の大半を火球に込めたのだ。

自身の残る魔力では、消しきれない⋯⋯。


「愛し子様!セアラをっ⋯セアラを助けて下さい!」

セアラ妃を抱きしめ、愛し子へと手を伸ばす。


「嫌よ。」


ただ一言。


「自業自得でしょ?貴方達が離れに籠る間、どれだけの民が苦しみ死んだと思っているの?

駄王に手を差し伸べる気はないわ!」


そう言うと、シーヴァ王とセアラ妃を転移させた。



転移した先は、新王を祝う広場だった。

バルコニーには新王となったクレメン王とアーシャ王妃が並んでいた。


広場には沢山の民が集まっている。

そのど真ん中に、愛し子様と裸のシーヴァ王に焼けただれた誰かが現れたのだ⋯⋯。


「祝の場に相応しくないけども、許してね。」


愛し子様の発言に、広場は静まり返った。


「シーヴァ元王が裸なのは、まー想像通りよ。ここ数カ月、姿を見せなかったのは番とずっと戯れていたからよ。王妃の愚行や瘴気で苦しむ民に目を向ける事なく、ずっと番と戯れていたのだから。」


民達は勿論知っていた。

憎むべきは勿論王妃なのだが、元凶はこの二人なのだと⋯⋯。


静寂の中、一人の子供が両親に聞いている。


「あの人、燃えたの?」


両親は答えて良いか解らずにオロオロしている。


里奈は子供に近付き、頭を撫でた。


「あの裸の人が私に火の玉を投げたの。私は燃えたくないわ。」

子供は里奈の目をじっと見つめていた。


「あの燃えた人は、私に火の玉が飛んで来るのが解っていて私に笑ったのよ。」


広場がざわついた。

愛し子様に火の玉を投げたシーヴァ元王。

それを止めず、嘲笑ったのであろうセアラ妃。


セアラ妃は処罰された。


広場の大人達は理解した。


里奈は子供に話を続ける。

「私は燃えたくないから火の玉を跳ね返したの。そしたら、あの人に当たったの。

悪い事をしたら、自分に悪い事が返ってくる。

だから悪い事はしない。

ご両親の言う事をちゃんと聞いてね!間違ったら、焦げちゃうからね。」


里奈が子供の頭を撫で諭している。


「わかった!お父さんとお母さんの言う事をちゃんと聞くよ!」

子供は里奈を恐れる事なく、ニッコリ笑った。


広場の子供達は、

「私もちゃんと聞くよ!」

「僕も!」

と返事が飛び交った。


「悪い事をすれば自分に返ってきます。

忘れないでね!」

里奈の言葉に子供達は、


「「「はーい!」」」

と、元気に返事をした。


悲惨な光景を前に、和やかな空気⋯⋯。

異様な光景に、大人達は恐怖を覚える。


「私はこの人を治癒するつもりはありません。私を殺すつもりだった者を助ける理由がありません。

ですが、助けたいと思う人がいるならば止めません。ここから先は、好きにして下さい。」


里奈はバルコニーの新王に視線をやる。

声に魔力をのせ、声をかけた。


「クレメン新王、アーシャ王妃。

この先は貴方がたに任せます。ただ、民が納得行く処罰を。」


クレメン王が頭を下げ、

「畏まりました。民の望む処罰を致します。」


里奈は頷き、両手をクレメン王に向けた。


「即位のお祝いです!」


里奈が声を発すると、クレメン王とアーシャ王妃が真っ白な光に包まれた。

キラキラ輝くと、ゆっくりと光は消えて行く⋯⋯。

バルコニーに立つ二人は呆然としている。


「愛し子の加護よ。貴方がたに永遠の幸せを!」


里奈の言葉に、広場は大歓声をあげた。

あちこちから、お祝いの言葉が飛び交い愛し子様への謝罪と感謝も入り乱れて飛び交う。

里奈はゆっくりとシーヴァ元王の側に来た。


「貴方が番に溺れず王をちゃんとしていれば、この大歓声は貴方が受けていたかもね。

賢王として生きていたならばね⋯⋯。」


里奈は近付いて来た近衛に場所を譲ると、白狐と共に歓声が響く中こっそりと邸に帰って行った。


この日の出来事は王都以外に直ぐに話が回り、

〈言う事を聞かないと愛し子様に燃やされる。〉

と、子供達を叱る言葉として広がった。


暫くして耳にした里奈は、とても渋い顔をしていた⋯⋯。



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