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一人ぼっちだった前世⋯⋯。今世は最強(最恐)愛し子として楽しく生きてます!  作者: おかき
ザイラー獣人国編

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33話 アルスタ王国と獣人国の聖女

キシャール神官長に話を伝え、手筈を整えるとヤービスとイーロは朝食を終えると直ぐに辺境の神殿へと転移した。


「ライアンから昨夜連絡がありました。

今日の昼食後に聖女達がこちらに来るそうです。私がヨーク領に迎えに行き王都の神殿に連れて行く予定です。」

アルバートが里奈に確認をとる。


「ありがとう。それで大丈夫よ。侍女といい聖女といい準備が早いわね。」

紅茶を口にしながら、里奈がポツリと呟いた。


「里奈様の側に何時でも行けるように、準備は常にしております。

女性は特に持って行く物が多く、支度に時間がかかってしいますから。」

ナミが里奈の呟きに、そう答えた。


「そうだったのね⋯。」


自分を慕ってくれる事に少しだけ擽ったい気持ちになる。


「さきに神殿に行っても良いかしら?王宮からの支援がどうなっているかを知りたいし、孤児院の様子も気になるから。」


アルバートは邸での聖女達の部屋の指示もあり、里奈は久し振りに一人で出かける事になった。


ザイラー獣人国に愛し子が来ている事は知られている。

変装はせず、神殿へと転移した。


神殿の門に着くと、何やら人が沢山いるようだ。

門柱からこっそり覗くと、役人のようだった。複数のコボルトと、山羊の獣人がいる。

役人の中に見知った顔があった。


「サロ!」

里奈が声をかけると、サロはキョロキョロ見渡し門柱の影から覗いている里奈に気が付いた。


「里奈さん!」

手を振り、走って近付いてくれた。


「里奈さん。体調はもう良いのですか?」

サロは心配そうに、里奈の顔色を伺った。


「私はもう大丈夫よ。心配してくれて、ありがとう!サロこそ、もう大丈夫なの。

あ!それに、大臣に就任したのよね!おめでとう!」

里奈はサロの手を握ると、ブンブン上下に振りお祝いを伝えた。


「はい!ありがとうございます。まさか大臣になれるなんて、本当に驚いています。」

サロは少し照れながらも、とても嬉しそうにしている。


「クーロの見る目は間違いないもの。無理しないで、頑張ってね!」


里奈の言葉に、「勿論です!」と、サロが返事をする。


手を握りしめ、お互い頑張ろうと話をしていると、

「里奈さん!!」

と、声をかけられたと同時に後ろから抱きつかれた。

振り返ると、なんとキャシーだった。


「キャシーじゃない!貴女がなせここにいるの?」

里奈が驚いて声をかけた。

「ナタリーとエミルも王宮でお手伝いをしています。私はサロさんの補佐に付いているんです。」


キャシーは里奈に会えた嬉しさで、笑顔で答える。


「サロは優秀だし、キャシーも優秀だから安心ね!」


サロの手を離し、キャシーと向き合う。


「王宮が落ち着いたら、サロの大臣のお祝いをしようと思うの。キャシー達も全員参加してね!」

キャシーの返事は「はい」の一択だ。


「ところで、里奈さんはどうして神殿に?」

キャシーが里奈に問いかける。


「神殿と王宮の支援の話がどうなったのか聞きたかったのと、孤児院の様子を見に来たのよ。」


キャシーは里奈の話を聞き、

「私達はこれから神殿の方と支援について話し合うんです。それで書面の作成に私が同行したのです。

獣人国の方は、何と言うか⋯⋯。大雑把でして⋯⋯。」

キャシーはサロの前で言葉にするのを申し訳なさそうにする。


「獣人国が。ではないわよ。種族の問題ね。私が見る限り、小型の獣人は几帳面だけど大型の獣人は大雑把が多い気がするわ。」

里奈はサロに視線で尋ねた。


「そうですね⋯⋯。里奈さんの言葉は案外間違いではありませんね。」

サロは小声で答えた。


「そうなんですね⋯⋯。種族の違いがあるとは⋯⋯。獣人って面白いですね!」

キャシーがクスクス笑いながら話をする。


サロとキャシーは上手く仕事をやっているようで、里奈は安心した。


「キシャール神官長が待ってるんじゃない?私は先に孤児院に顔を出すわ。キシャール神官長に、後で会いに行くと伝えてくれる?」


サロとキャシーにお願いをし、里奈は孤児院にサロ達は神殿へと別れた。


里奈は孤児院で沢山遊んだ。

獣人は身体能力が高い為、走り回る事が遊びのようで道具を使って遊ぶ事を殆どしないのだ。


獣人が魔力操作が苦手なのは、幼少期に道具を使ったり細かい作業を行わないからではないかと、里奈は考えたのだ。


空間から出した物は、8番街の孤児院で使う遊び道具だ。

小さな子供から成人前の子供まで使える物だ。

日本の近代的な遊び道具は、この世界では作れない。まず、電気がないからだ。

でも、昔の遊び道具はこの世界でも作れる。以前森で遊んだ玩具を渡した。


手先を使って欲しいので、綾取りを教えた。

「指先を沢山使うと、魔術を使いやすくなるわ。それと文字を沢山書くの。ただ書くのでは無く、お手本通りゆっくりと丁寧にね。」


魔術の言葉に、子供達の目がキラキラ輝く。

獣人は魔術を使えないといわれているが、下積みを知らないだけなのだ。


「年長者にはオセロを渡します。やり方を教えるから集まってね!」


里奈が教えながら、子供達と対戦していく。子供達は覚えるのが早く、里奈をそっちのけて遊び始めた。

指先も使うし、頭も使う。


(もっと指先を使う物がないか、ヤービスに今度相談してみようかしら?)

里奈はオセロに夢中の子供達を見て、考えていた。


里奈はある程度時間が過ぎたのを確認し、神殿へと向かう。

子供達にはまだ居て欲しいとせがまれてしまった。


一人で神殿の中に入ると、サロとキャシーにキシャール神官長が里奈を待っていた。


「話し合いは終わりましたか?」

里奈の問いかけに、

「はい。何とか調整出来ました。」

サロがホッとした声で答えた。


「今迄以上の手厚い支援を頂く事になりました。サロ様とキャシー様には感謝しております。」


サロがキシャール神官長の言葉に、

「私よりもキャシー様のおかげです。財務大臣を説き伏せたのは、キャシー様ですから。」

キャシーは照れながらも、

「里奈さんの願いですもの。頑張るに決まってます!」

握り拳をグッと出して、そう答える。


「私の側付きは優秀なのよ?」

里奈がサロに伝えた。


「はい。ライアンさん達も皆さん全員がとても優秀で驚いています。

クーロさんも、たまにライアンさんに言い負かされてますしね!」

と笑いながら教えてくれた。


神殿の事も一つ片付いた。

後は教会として運営をどうするかのみ。

孤児院は、少しずつ進めていく。


残る大きな問題は、聖女のみ。


聖女の選定をどうするかは、王宮も交えての話し合いになる。

が、里奈は地方でも聖女選定をするようにするつもりでいる。


アルバートの魔力を感じ、後ろを振り返るとアルバートと聖女達が転移してきた。


「お帰りなさい、アルバート。そして、来てくれてありがとう。」

里奈は聖女達に感謝を伝えた。


キシャール神官長が前に出て挨拶をする。

「王宮神殿で神官長をしております、キシャールと申します。アルスタ王国の聖女様達の訪問を感謝します。」


キシャール神官長は頭を下げて、丁寧に挨拶をしている。


「丁寧なご挨拶をありがとうございます。

私はマリアンネと申します。」

マリアンネが挨拶をすると、残る三人も続けて挨拶をした。


「神殿の奥に我が国の聖女がおります。そちらにご案内致します。」


キシャール神官長が奥の部屋に案内する。


「里奈様さん。私達はこれで帰りますね。王宮で書面を確認しなけれはなりませんので。」

キシャールとサロは仕事があるので、王宮に帰って行った。

サロのお祝いの日を決まり次第、教える事を約束させられて⋯⋯。


キシャール神官長を先頭に、神殿の奥へと進む。


マリアンネが小声で里奈に話しかけて来た。


「キャシーさんの隣にいた獣人さんは、とても可愛らしいですね!」

ニコニコ笑顔のマリアンネだが、

「サロって言うのよ。種族はコボルトよ。若く見えるけれど、30歳後半よ。」


「本当ですか?てっきり同じくらいかと⋯⋯。とても若く見えますね。」

マリアンネはそんなに年上とは思わなかったので驚いていた。


「獣人は魔力が豊富だから、若くいられるの。寿命だって人族より少し長いみたいだし。見た目で判断出来ないのよ。

実際にサロを同じくらいだと思っていたしね。」


マリアンネと里奈はヒソヒソ話している。


キシャールは耳が良いので全て聞こえているが、知らない振りで案内をする。


いつもの聖女の部屋に案内されると、キシャールが扉をノックした。


「「どうぞ。」」


了承の言葉を聞き、扉を開けた。


中に入るとオティとリティが並んで聖女様の到着を待っていた。


「うわ~可愛い⋯⋯。」

ケリーの呟きに、三人が頷いている。


「初めまして。ようこそ起こし下さいました。私が聖女のオティと申します。」

オティが挨拶をすると、次いでリティが挨拶をする。


「同じく聖女のリティです。お会い出来るのを楽しみにしていました!!」


オティもリティも、アルスタ王国の聖女に興味津々だった。


「まず皆さん席に座りましょう。」

キシャール神官長にソファーへ促される。


各自座ると、紅茶が出された。

部屋に入って直ぐにアルバートが準備してくれていた。


アルバートは少し離れた椅子に座った。


「こちらの聖女がマリアンネ、ケリー、オリビア、コリンです。」


里奈が紹介すると、順に頭を下げた。


「オティとリティは浄化に行く事に迷いわないかしら?」

里奈がオティとリティに確認をする。


「はい。王宮から出て、民を助けたいと強く願っています。」

オティの言葉に、リティが頷いた。


「言いにくい話だけども、伝えないといけないから話をします。

オティとリティの魔力量だと、完璧な浄化は出来ないし瘴気に侵された民を助ける数も僅かね。

神殿にいたから魔力量を増やすきっかけも無かったし、仕方ない事なのは理解しています。ですが貴女達は民からの税で生活しているのです。ならば、それ以上に働かねばなりません。」


オティとリティは自分の魔力が少ない事など知らなかった。

獣人だから多いと思っていたし、神殿に訪れる患者しか知らない為、自分の魔力量等考えた事が無かったのだ。


「私達は二人とも魔力量が少ないのですか?」

オティが里奈に問いかけた。


「四人の中で一番魔力が低いのはコリンなの。オティとリティを合わせても、コリンの魔力量にさえ及ばないくらいには低いわね。」


オティとリティはショックで呆然としていた。

一人にさえ敵わない魔力量だなんて⋯⋯。


「里奈様。本当なのでしょうか?」

キシャール神官長も信じられないでいる。


「ん〜そうね。コリンとオティで握手してみてくれる?まずオティから握った手に一瞬だけ最大の聖魔力を手に送ってもらいたいの。オティが終わったら、同じようにコリンもやってくれる?」


里奈の指示通りにオティが魔力を右手に飛ばす。

コリンの顔は変わらない。

次にコリンが行うと、オティが驚いていた。

右手にとてつもない魔力が流れて来たのだ。

自身の魔力の倍以上はあった⋯⋯。


オティは更にショックを受けて俯いた。

リティはオティの背を擦り慰めようとした。


「オティ。コリンも最初は貴女より少ない魔力しかなかったのよ?」

里奈の言葉に、オティがバッと顔をあげた。

「数カ月もしないで、今の魔力量にする事が出来た。

オティ、リティ。貴女達が望むならマリアンネ達との浄化の旅で魔力の底上げをする事が出来ます。ですが、とっても辛い事になります。どうしますか?」


里奈の問いかけに答えは一つしかない。


「お願いします!魔力の底上げをしたいです。半人前の魔力で聖女等言えませんもの!!」


オティとリティは垂れた真っ白い耳をピコピコさせながら興奮して答えた。


その姿にマリアンネが我慢出来ず、オティの手を握ってしまった。


「私達がきっと底上げをしてみせます!厳しいですが、頑張りましょうね!」


マリアンネの言葉に、コクコクと頷いた。


オティの手を握りしめたまま、マリアンネは里奈に向き直った。


「里奈さん。オティ様とリティ様が可愛すぎて、私はどうしたら良いのか解りません。こんなに可愛らしい人を見た事がありませんわ!!」


マリアンネが大興奮だ。

可愛いを連呼されたオティとリティは、頬を染め照れている。


「そうだわ。聖女達で先ずは雑談でもしたらどうかしら?

私達は浄化の行程を考えているわ。

暫くは自由にしてて大丈夫よ。」


聖女達は全員、里奈の言葉に甘える事にした。


マリアンネ達は可愛い獣人の聖女達を知りたがり、オティとリティは愛し子様が信頼する聖女達を知りたがった。


六人は里奈が声をかけるまで、ずっと話をしていたのである。


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