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一人ぼっちだった前世⋯⋯。今世は最強(最恐)愛し子として楽しく生きてます!  作者: おかき
ザイラー獣人国編

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30話 世界を知らない獣人達は愛されていた

朝から王城が騒がしい⋯⋯。


ライアン達はクーロ達に案内されたそれぞれの客室で就寝していた。


昨夜も遅くまで仕事をし、目を開けたがまだ覚醒出来ないでいる。

うとうとしていると、ライアンの部屋の扉が激しく叩かれた。

何事かと急いで開ければ、目の前にいたのは婚約者のナタリーだった⋯⋯。


(騒がしい原因は彼女達か⋯⋯。)


「聞いてた話と違うわよ!獣人さん達がいないじゃない!」

両腕を掴まれて、揺さぶられる⋯⋯。


「昨日説明されてないのか?城勤めの者は下がっている。登城するならば、明日からだよ。」

寝起きに揺さぶられ、ライアンは朝から疲れてしまった。


「今日は明日から登城する者に通達を出さなければならない。

朝から私達は忙しいんだよ⋯⋯。」


日付けが変わる頃まで仕事をしていたのだ。ここ数日は睡眠をとれていない。


ライアンは少しだけ、ナタリーに八つ当たりをしてしまった。

ナタリーもライアンが忙しくしていたのを知っていたのに、迷惑をかけてしまった事に気が付いた。


お互いが謝罪を直ぐにした為、喧嘩にはならなかった。


その頃のキャロルとナタリーは、ギルベルトからのお説教を受けていた⋯⋯。



男女の側付きが全員揃い、クーロ達と朝食をとる。

やはりガルクは女性陣からチラチラ視線を向けられていた。

ガルクは昨日話を聞いていた為、恥ずかしくなり俯いてしまった⋯⋯。


「そんなにガルクさんを見ていると、食事もし辛いだろう⋯⋯。」

ライアンの注意にハッとなり、慌てて朝食をとる。


昨日の客間に集まり、魔蝶で通達を送る。

登城する時間も指定し、混雑を避けるように書面に記した。


「明日の朝一番に文官と魔法省の者が来る。王城に勤める者はアルスタ王国のように魔力で許可証を作成しようと思う。

関係者でない者の侵入を防ぐ為には必要だからね。」


管理は魔法省が行い、手続きの申請は文官省に任せる事になる。


「里奈さんにはまだ会えないかしら?」

ナタリーの問いかけに、

「里奈さんは心労が酷いみたいだ。白狐様とアルバートから外出禁止が出ている。面会はまだ先になる。

ヨーク領でも里奈さんは会いたがっていたよ?元気になるまで待っていよう。」


ライアンがナタリーを慰めながら、最後の魔蝶を飛ばした。


最後の魔蝶は、里奈の滞在する邸へと飛んで行った⋯⋯。


里奈の滞在する邸は結界が張られているが、害がない者は侵入出来る。

魔蝶は邸に現れるとゆっくり羽ばたき、目的の人物を探す。


統括隊長のギースが魔蝶の出現に気が付き、後を追う。

魔蝶が目的の人物の部屋に消えて行く。

その部屋はサロが滞在している部屋だった。

行き先を見届けたギースが持ち場に戻ろうとすると、


「嘘だ!嘘だろー?!」


サロの叫び声が聞こえた。

何があったか解らないが、急いでノックをし扉を開けるとサロの眠る寝室を確認した。

サロは寝台に立ち、書面を見ながらプルプル震えている。


「サロ殿!何があったのですか?!」


ギースの声にサロがゆっくりと視線をあげた。


書面を前に出してくる。

ギースは「失礼します。」

そう言うと、出された書面を受け取り目を通した。

ゆっくりと視線をあげ、サロと視線を合わせた。


「おめでとうございます。」

ギースの言葉に、書面の内容が夢でも見間違いでもなく、真実であると確信した。


「ありがとうございます!」


と、大きな垂れ耳をパタパタ嬉しそうに動かした。


「里奈さんに報告したいから、伝えて貰えるかな?」

サロがギースにことづけた。


「里奈さんにはお伝えします。サロさんは明日の登城の為にも、安静にして下さいね。」


ギースは急いで里奈の部屋に向かう。

扉をノックすると、アルバートが顔を出した。

「どうかしましたか?」

アルバートの問いかけに、

「サロ殿について、里奈さんに報告があり参りました。」


ギースの言葉を聞き、アルバートが中に案内した。

里奈はソファーに座っていた。


「里奈さん。サロ殿よりことづけを預かっております。」


「何かあったの?」

体調が悪くなったのだろうかと、不安になる。


「王宮より、サロ殿の元に魔蝶が参りました。明日、登城するようにと。

そして、役職者となりました。

役職は、文官大臣だそうです。」


ギースはニッコリ微笑んで、里奈に報告する。

里奈は立ち上がり、

「本当なのね!凄いじゃない!流石クーロね。見る目があるわ!」


サロをちゃんと評価してもらえて、大喜びだ。

「お互いちゃんと元気になったら、お祝いしましょうって伝えて下さい!」


ギースは頷くと、一礼をしサロの元へと戻って行った。


里奈は嬉しそうに紅茶を口にした。

(サロ、おめでとう。)

心の中で呟いた。



翌朝、里奈の邸では登城するサロの為に統括隊長のギースが、馬車を用意し馬に騎乗して待機していた。

サロが緊張して寝付いた時間が遅く、寝過ごしたのだ。


急いで玄関に向かったサロは、口をあんぐり開けたまま立ち尽くした。

サロを出迎えてくれる騎士達、騎乗しているギース⋯⋯。

何が始まるのか驚いていた。


「サロ殿。初登城の護衛を務めさせて頂きます。時間がありません。騎乗したままの挨拶となりますが急ぎますよ。」


サロは固まったままなので、騎士達が馬車にサロを押し込んだ。


馬車の中でやっとサロは意識を戻した。

窓を開け、並走するギースに話しかけた。


「申し訳ありません。寝過ごしてしまいました。昨夜は緊張して眠れなくて⋯⋯。」

サロが申し訳なさそうに謝罪した。


「最初から馬車でお送りする手筈でしたので問題はありません。

大臣となられたのです。これくらいの護衛は必要ですから。」


ギースは笑顔で気にしない様に伝えた。


「ありがとうございます。ギースさん。」


お礼を伝え、席に座り直す。

ドキドキする胸を押さえ、これから新しくなる獣人国への力になれるように尽力する事を、心の中で誓った。


王城に到着すると、既に登城している者がいた。

顔見知りの文官ばかりで、再雇用された事に安心した。


いつもの文官室に向かおうと王城に入ろうとしたのだが、後ろから声がかかった。


「おはようございます。」


その声に全員が振り返った。

女性が立っていたのたが、人族だったのだ!!

「おはようございます。皆様にはクーロ様からお話があるそうですので、私についてきて下さい。」


クーロ殿の呼び出しならば、行くしかないと人族の後を少し離れてついて行った。


人族が扉をノックすると、中から入るように声がかかる。


「文官の方々を連れてきました。」

人族がクーロに伝えた。


「キャシー様、ありがとうございます。

そして。みなさん、おはようございます。」

クーロがサロ達に挨拶をする。


(人族はキャシー様と言うのか⋯⋯。)


サロ達はキャシーが気になりつつも、クーロに挨拶をする。


「席に座って下さい。」

クーロにソファーに座るように促された。


「さて。サロ殿は大臣職を受けていただきたいが、宜しいか?」

「はい。謹んでお受けいたします。」

サロはクーロに頭を下げた。


回りの文官達がお祝いの言葉をくれる。

クーロから今日の仕事の説明をされるが、視線を感じる。

その方向は、人族の立つ位置だ。

だが、視線を向ける訳にもいがず、何だか居心地が悪い⋯⋯。


サロの落ち着きのなさが気になり、ふとクーロが視線を周りに向けるとキャシーがサロをじっと見ているのだ。


キャシーはサロが気になるのだろうと理解した。


「キャシー様。サロは視線が痛いようです。」

苦笑いでキャシーに伝えた。

「ご、ごめんなさい!」

キャシーは慌てて視線を反らした。


サロはクーロに感謝したが、キャシーには顔を向けなかった。

(もしかしたら、獣人が嫌いなのかもしれない。)

そうサロは認識し、距離を置いた方が良いかと結論をだした。。


クーロとの話も終わり、部屋を後にした。




サロ達文官と、魔法省の者で登城手続きをする。

書類にサインをしてもらい。魔法省が管理する水晶に手をかざし、魔力を登録する。


獣人国には無かった管理方法で説明された時は驚いたのだ。


王城は用事があれば、割と気軽に入城出来たからた。

これからは、許可証がなければ入城出来なくなる。

お城勤めの者も管理でき、お城の中の安全性を高める為だった。


管理のやり方一つをしても、他国との違いが解る。


人族は几帳面にきっちり管理している。

獣人族は多くの種族が大雑把なのだ。

これもきちんとするように注意を受けた。


国を真っ当に動かすには、全てをきちんとしなければならない。


ちゃんとする。


ただそれだけだが、苦手で大変な思いをする種族もいるのだ。


コボルトはきっちりした性格なので、文官や管理職に向いていた。

サロの同僚も昇進し、管理職や大臣になっていた。


以前のコボルトはどちらかと言えば雑用事を回されていた。

だが今回の選定は、コボルトが多く採用されていたのだ。

それだけ見ても、変化の大きさをそれぞれの種族が実感する事となった。


昼前には全ての通達者の登録が終わった。


今日は王城の食堂はやっていないので、お昼休憩を長くし街に出たりして食事を済ませる。


王城に一番近いお店に入ると、里奈の側付きの男性に人族の女性達がいた。


側付きの男性が気が付き、声をかけてくれた。


「サロさん!体調は大丈夫?

そして、大臣になったんだってね。おめでとう。」

声をかけたのは、カルロだった。

人懐っこいカルロは、サロと一緒にいるコボルトにも声をかけた。


「私達は全員が愛し子様付きの側付きなんだ。王城で暫くはクーロさんと一緒に仕事をするから、よろしくね!」


手を差し出し、握手をする。


皆は握手しても良いものか、躊躇っていた。

「側付きの方達はとても良い人だから、大丈夫だ。」

そう説明し、握手を交わした。


「せっかくだから、一緒にご飯食べる?」


お誘いを受けたが、丁寧にお断りをする。

サロは大丈夫でも、人族に免疫のない他の者はまだ無理だろうと判断したからだ。


カルロと別れて少し離れた席に座ると、同僚達はコソコソとサロに話しかけた。

「お断りして、大丈夫なのか?」

「サロが後で酷い目にあわないか?」


同僚達はサロの身を案じた。

「大丈夫だよ。本当に愛し子様が一緒にいる人族は私達獣人を嫌っていないんだ。

私が愛し子様に王宮からの不敬な書面を持って行った時も、私の立場を理解してくれたんだ。

夕食も人族の使用人や騎士達と一緒に食べたし、私の愚痴を聞いて同情してくれて一緒にお酒を飲んだんだよ。」


同僚達は驚いているが、愛し子様付きの人族に興味を示してくれていた。


「だから、大丈夫。あの人達は良い人だよ。じゃなきゃ声もかけないし、握手もしないよ!」

サロの言葉に、少しだけ希望を持った。


食事をしていると、後ろの方が何だか騒がしいようだ。


気になり振り返ると、側付き達と目があった。

カルロがこちらに近付いてきた。

同僚達が戸惑っているが、大丈夫だと小さな声で声をかけた。


「サロさん。申し訳ないが少し良いか?」

カルロが申し訳なさそうに、話しかけてきた。

「大丈夫だよ。どうしたの?」

サロが首を傾げると、女性陣がキャーキャー騒いでいる。


不思議に思い、カルロを見ると今度は苦笑い⋯⋯。

(何だろう⋯⋯?)

サロは状況を把握出来ないでいる。


「本当に申し訳ない!俺の妹があの中にもいるんだ。あ!ライアンの婚約者なんだが。まぁそれはどうでも良くてだな⋯⋯。

失礼だとは思うんだが⋯⋯そのな。

あそこの女性陣は、獣人達が大好きなんだ。それで、少し一緒に話がしたいらしいんだ⋯⋯。」


全員が、唖然としていた。


獣人が好きだと、一緒に話がしたいと言ったのだ。

ありえない!聞き間違いだと、もう一度話をしてくれるのを待った。


「一緒にいるのは嫌かな?人族はやっぱり苦手かな⋯⋯?」

カルロが申し訳ない様な雰囲気でいる。


「私達がいて、不快にならないんでしょうか⋯⋯。」

サロが恐る恐る尋ねた。

「え?!逆だよ?!私達が一緒で不快だったら申し訳ないと思っているよ?人族が獣人達にした事は許されない事だからさ。」


お互いがお互いに申し訳なく思っている。それだけで距離を近付けるには十分な理由になる。


「私達で良ければ、ご一緒しますよ。」


同僚達もカルロの言葉が胸に染みたようで、側付き達と話すことを了承してくれた。


カルロが席に戻り何やら伝えると、女性陣が急いで私達の席に来た。


「初めまして。私達は愛し子様付きの側付きです。私がカルロの妹のナタリー。こちらがエミルでキャシーよ。」


「「初めまして。」」

ナタリーとキャシーが挨拶をしてくれた。


キャシーがサロの隣に直ぐ様座り、ナタリーさんがクスリと笑った。

笑った意味はサロは解らないが、見ていない事にしたようだ。



結果を言うと、コボルトの種族の私達が可愛いらしい。


可愛い?!


そして、容姿がとても癒されるとの事だった。


コボルトは可愛いの言葉を嫌うのだが、側付きの女性陣から言われる可愛いは、何だか心を擽られてしまう。


「皆さんは、獣人に嫌悪感がないのですね⋯⋯。」  

サロがポツリと呟いた。


「嫌悪って何ですの?とても素敵ですのに、嫌悪する筈がありませんわ!」

力強く否定してくれたのは、キャシーだった。


「ありがとうございます。」

サロがニッコリ微笑んでお礼を伝えると、キャシーの頬が赤みを帯びた。

だが、令嬢の仮面を即座に出して動揺を隠す。


「お気になさらず。」

ニッコリ微笑みを返した。


(里奈さんが言っていた通りだった。世界を知らないままなら、私達に好意を持って接してくる人族には出会えなかった。

もっと、もっと世界を知りたい⋯⋯。)


サロの新たな夢が蕾となった瞬間であった。


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