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一人ぼっちだった前世⋯⋯。今世は最強(最恐)愛し子として楽しく生きてます!  作者: おかき
ザイラー獣人国編

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20話 人道とは何なのか⋯⋯


❀新年明けましておめでとうございます❀


〜 ✿ 〜


愛し子がようやく王都に入った。

7日後には、全貴族の前で愛し子を殺す。


女神は愛し子を殺した自分をどう思うのか⋯⋯。

ゴッドローブの名前が女神の心に一生刻まれるのだ。


クツクツ笑いながら、壺を撫でる。

待っていろ。愛し子よ。

無惨な死に様を見せてもらおう⋯⋯。

我の為に、死んでもらう⋯⋯。


ゴッドローブは笑いながら、愛し子の死を想像し楽しんでていた⋯⋯。



〜 ❀ 〜


里奈から役目を命じられた四人の側付き達は、早朝から動いていた。


ヨーク領の邸に戻り、ヤービスを探す。

まだ邸は目覚めたばかり。

ヤービスの部屋に四人は突撃した。


部屋の扉を激しく叩き、ヤービスを起こす。扉を開けたヤービスは、突然の四人の登場に驚いた。


「どうした!里奈さんに何かあったのか!」

四人が来た事で、重大な何かがあったのだ。


「大変なお役目を頂いた。それには、ヤービスを始めクーロ元宰相や重鎮達の力が必要になる。

クーロさん達を集めて話がしたい。」

四人の神妙な顔から、大事であると判断し急いで身支度をする。


「詳しい話はクーロさんや重鎮達が揃ってからにする。とりあえず、私の部屋に集まってもらいたい。」

ライアンからヤービスへ説明される。


ヤービスは急いでクーロ達を起こし、ライアンの部屋に急ぐ。


扉をノックし、クーロ達と入室する。


ライアン達はお茶を用意し、携帯してきた軽食を並べていた。


「私達も朝食がまだなんだ。皆で食べながら話がしたい。とにかく時間が足りないんだ。」

準備をしながらライアンが説明する。


ヤービスもクーロ達も、朝食の準備を手伝った。


全員席につき、早速朝食に手を伸ばす。


「朝早くから申し訳ありません。食べながら聞いて下さい。

里奈さんから命を受けました。それにはヤービスさんやクーロさん達も含まれています。」

ライアンが話を続ける。


「愛し子として、里奈さんは今の獣人国を一度滅ぼすそうです。その後、新しい獣人国へ立て直すつもりです。

今、獣人国の神殿は支援金も支給も打ち切られ、困窮しています。密かに里奈さんが手を貸しています。

ゴッドローブの件が終われば、直ぐに神殿と孤児院を救済します。聖女も派遣したいそうです。

それと同時に獣人国の王宮勤めの者を全員白紙にし、新しく人選をします。」

ライアンはクーロに視線をやる。


「元宰相であるクーロ殿。貴方がたに私達と共に新たな獣人国となる為の人選と内政を整える手助けをお願いしたい。」


ヤービスもクーロも重鎮達も皆が唖然としている。

獣人国を滅ぼすと⋯⋯。


重鎮の一人である、ガルクがライアンに胸の内を話す。


「私達は獣人国を捨てたのです。このアルスタ王国に恩を返し、骨を埋める覚悟なのです。捨てた国に関わるのはどうかと⋯⋯。」


ガルクは、申し訳なさそうに話す。


「獣人国を立て直すには、貴方がたの知識が必要です。アルスタ王国の為にも、獣人国を立て直さねばなりません。

事が終われば、獣人国が我が国に何をしたかが公表されます。獣人国への敵対心を消す為にも、新たな国に変えなければならない。」

ライアンは元王太子としての立場で培った考えをクーロ達に伝える。


「私が王太子であれば、根本から変わっていない国と国交を結ぶ気は起きない。

新しく生まれ変わらなければ、獣人国や獣人達の未来はない。

陛下も同じ考えである筈。」


厳しい視線をクーロ達やヤービスに向ける。ライアンは国を背負う覚悟を一度は持ったのだ。

その言葉の重みは深い。


「クーロ達の気持ちも解る。でも里奈さんが俺達を指名したんだ。恩を返す気持ちで受けないか?」

ヤービスがクーロ達に語りかけた。


「解りました。微力ながら私達も尽力します。」


「よし!急いで食べて会議をするぞ!」

ライアンの言葉に皆は急いで食事を再開する。


誰も口を開く事はなかった。

クーロ達も色々思う事があるだろう⋯⋯。


側付き達は全員同じ考えだ。クーロ達の気持ちを最大限優先させる!と⋯⋯。


ヨーク領で獣人国の未来を左右する人選が始まる。



その頃の里奈は、アルバートから侵入者の話しを聞いていた。


「侵入した者は、侯爵家の地下に転移させました。あの場所は白魔術と黒魔術の結界が張ってあり、外部から見つける事も出来ません。

また、あの場所に入った者は、嘘偽りを言えない。魔術がかけられていても解除されるのです。」


アルバートが地下の説明をする。

里奈は説明する必要性を考えている。


「侵入者は獣人でしたね。」

里奈に問いかける。

「獣の姿をしていたから、獣人だったと思うわ。」

アルバートは頷いた。


「彼等は獣人の姿にさせられていた、人間でした。魔術の気配がなく、私も獣人だと思っていました⋯⋯。」


「どうやって解ったの?」

里奈の頭の中は疑問だらけだ。


「地下では聞かれた事に嘘をつく事が出来ません。何者かを問いかけると、リメル大国の人間だと⋯⋯。」


「リメル大国は獣人が住んでいないでしょ?獣人嫌いの国だから迫害が酷いと。」

里奈はそう聞いていたのだ。


「彼等は、リメル大国の孤児であり人体実験をされた結果、あの姿にさせられ暗殺者としての教育を施された様です。」


ガタッ!

里奈は勢い良く立ち上がると、アルバートに自身の感情をぶつける。


「人体実験って何よ!人間があんな姿になる実験ってなんなのよ!

しかも、孤児?ふざけるな!」


里奈はテーブルを小さな拳で殴った⋯⋯。

体を震わせ怒りが収まらないでいる。


アルバートが近寄り、里奈の手を握る。

ゆっくりと椅子に座らせた。


「彼等は小さな頃から魔獣の血を身体に入れられていたようです。

血を抜かれ、抜かれた量だけ魔獣の血を入れる。その繰り返しをされていたと。」


里奈はバッと頭をあげた。


「魔獣を捕まえ、血を抜いていたと?」

アルバートは頷いた。


里奈は湧き上がる怒りをどうして良いのか解らなかった。

唇を強く噛む。

口から血を流す里奈を、アルバートはじっと見つめたまま指で血を拭った。

必ず里奈は激怒する。

侵入者の話を聞いたアルバートさえ、怒りが湧いたのだ。

里奈の怒りは想定内だった。


「私はリリの命を狙ったあの者達を拷問して痛めつけるつもりでした。

ですが、彼等から聞かされた話を聞き同情しました。」

アルバートが里奈の顎に手をやり、視線を合わせた。


「以前の私ならば理由等気にせずに拷問したでしょう。ですが、リリと関わりを深める度に自分の感情が増える事に気が付きました。

私は何事にも興味が無かった。本を読み知識を得る事が唯一の楽しみでした。」


里奈はアルバートの話をじっと見つめながら聞いている。


「リリと出会い沢山の出来事や人と関わる事で感情が芽生えました。

孤児達に関わり、あの子達の未来が明るいものであって欲しいと願うようになりました。」


「リメル大国は獣人国に罪を着せるために、獣人を作り出した。これは絶対にあってはならない事です。しかも孤児を使うなど、許されない。」


アルバートの瞳には怒りの熱が浮かんでいる。

怒りを抑え込み、魔力をコントロールしている。

それ程、アルバートの怒りも大きいのだった。


「彼等はどうしているの?」

里奈が心配そうに聞いた。


「地下で過ごさせるには、余りにも悲惨な生い立ちです。魔術を邸全体にかけ侯爵家で暫く自由に過ごして貰います。」

アルバートは彼等を邸内では自由にさせた。

侯爵家は訳ありが沢山いる為、使用人も気にしないのだ。


「私がその人達に会っても大丈夫かしら?」

「父に聞いてみます。彼等は長年洗脳されている状態でした。父が解除するので、会えるとしてもその後になります。」


「解ったわ⋯⋯。」里奈はそう呟いた。


里奈は白狐をバッと見た。

「白狐は気が付いていたの?」

不意に名を呼ばれた白狐が、横たわったまま頭だけをあげた。


『歪な人間なのは解っていた。魔獣が関わっているのは解らなかったな。』

「なぜ教えてくれなかったの?」


白狐は首を傾げ、里奈に答えた。

『あの場で里奈に害をなしたら殺すだけだ。我かアルバートがな。故に放置した。』


白狐の話が解るような、解らないような⋯⋯。

眉間に皺を寄せ、悩む里奈に。


「リリの命を直接狙う時点で、相手には死ぬ未来しかないのです。相手を知る必要がないのでしょうね。白狐からしてみれば⋯⋯。」


白狐は鼻息を一つ吐き出し、寝てしまった。


「白狐はリリが動く理由の全てです。私や他の者にも手を貸してくれます。ですが、リリと関わりがあるからです。

リリが大切にするから、白狐も大切にする。それだけリリは白狐に愛されています。」

アルバートから聞かされる言葉は温かなものだった。


里奈は白狐の側にしゃがみ、サラサラの美しい毛並みをゆっくり撫でる。


「私が動く真の理由は、白狐とアルバートとの幸せな未来。三人でのんびり過ごす為に、厄介事を無くしたいの。

ヤービスもパトリック達の事も心配しているし、命の危険にあった事は許せないわ。でもヤービスやパトリック達の事を片付けないと、周りが何時迄も騒がしいままでしょ?だから動くのよ。」


懺悔するかのように、感情もなく話す里奈はどこか人間離れしている。


『誰しも自身の事を優先するものだ。我も同じだ。』

白狐は尻尾を里奈に巻き付け、ポンポンしている。


「私もそうなのでしょうね⋯⋯。リリが動くから動く。リリを助けたいから助ける術を探す。リリが私の中心ですね。

リリの考えは何も悪い事ではないのです。人は誰しも自己中心的な考えですから。」


アルバートは里奈の側に座り、頭を撫でながら話している。

里奈は白狐を撫でながら、何度も頷いた。


アルバートも白狐も、里奈の精神が少しずつ神に近付いているのを危惧している。

里奈は人間だと、引き留める言葉を掛け続ける。


「あ。そうです。忘れていました。」

アルバートが何かを思い出した。


「父は催しが開催される前日に、こちらに転移するそうです。」


侯爵は妻から長く離れるのを嫌い、隊には同行しない事になったのだ。


「解ったわ。侯爵の我が儘を聞いた分、ゴッドローブを痛めつけてもらわないとね!」

里奈はアルバートにいたずらっ子の顔をして答えた。


二人でクスクス笑いあい、白狐を撫でながら里奈は少しだけ心労を回復させた。


アルバートと話し合い、明日からは神殿や街を偵察する事にする。

貴族達の動きも把握しなければならない。

白狐には姿を消してもらい一緒に行ってもらう。



夕食を終え、部屋に戻った里奈に白狐が話しかけた。


『里奈に会わせたい者がいる。眼鏡をかけて、外に出るぞ。』


里奈は聞き返す事はせず、白狐の言う通り眼鏡をかけ白狐の背に乗る。


窓から白狐が空へと飛ぶ。


「白狐!空を飛べるなんて聞いてない!」

里奈はいきなりの浮遊感にゾワッとして、八つ当たりをする。


『言っておらぬから、里奈が知る筈がなかろう。』

白狐の素の返しにムッとして、背中をバシバシ叩いた。

白狐はクツクツ笑っている。


里奈は浮遊感になれたので、白狐に話しかけたた。


「誰に会うか教えてくれるの?」

『我も直接会った訳ではない。だが、お主だけは奴に一度会った方が良いと考えた。』


白狐がそう言うなら、そうなのだろう。

里奈はすんなり受け入れる。


王都の夜の風景を空から眺める。

王城は怪しい気配しかないが、街は明かりを灯らせ美しく光っている。


前を見ると、馬車から見た高い時計台がある。

白狐はそこに向かっているようだ。


時計台の一番上の屋根に、人影が見える。

《女神の記憶であの者を探してみろ。》

念話で話しかけてきた。

《解ったわ。》


里奈は記憶を見れば人物など特定出来るが、殆ど使わない。理由は疲れるからだ。沢山の本をめくり探す感じが苦手だった。

本はゆっくり開きたい里奈の気持ちに反するからかもしれない。


《嘘でしょ?!》


白狐が人影の前で止まった。

その人物は気配を感じていたのだろう。視線を里奈と白狐に向けたままだ。


「貴方達は誰?」

白狐に驚く事なく、話しかけてきた。


『我らは散歩中だ。』


白狐が言葉を話した事に一瞬驚いたが、柔らかく笑みを浮かべ。


「そうなんだ。私もここから街を見るのが好きなんだ。そして夜空に浮かぶ大きな月もね。」


彼は顔を上に向け、夜空を見上げる。

その横顔は今にも泣きそうな顔をしている⋯⋯。


「何が悲しいの?貴方、泣きそうな顔よ?」

里奈の言葉に彼はゆっくりと顔を下げ、王都の街に視線を向けた。


「兄が行方不明なんだ。兄はここから見る大きな月が大好きだった⋯⋯。」


里奈は黙って彼の話を聞く。


「兄がどう思っていたかは、解らない。でも、私は兄が大好きだった。賢く優しい兄がね⋯⋯。」

彼は里奈に視線を向け、寂しそうに微笑んだ。


「隣に座っても良い?」

彼は里奈の言葉に頷いて、隣をポンポンと叩いた。


里奈が隣に座る。

「私はリリ。貴方は?」

名前を伝えてみる。


「私はイーロ。」

真名を名乗った。


記憶で視た通り、ヤービスの一つ下の弟であり、憎き王妃の息子だったのだ⋯⋯。


楽しめる作品を頑張って書きたいと思います。


本年も宜しくお願いします

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