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一人ぼっちだった前世⋯⋯。今世は最強(最恐)愛し子として楽しく生きてます!  作者: おかき
ザイラー獣人国編

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19話 貴女は助けない

里奈の冷ややかな神力に、カール達は自分達がこの場に連れて来た事を後悔する。


カール達はヤービスの為に何かしてあげたかったのだ。

ヤービスを知る者を一人でも多く助けたい。その気持ちが先走ってしまった。


でも、そこまで里奈が怒る理由が明確に把握出来ないでいた⋯⋯。


美しい女性がゆったりとした口調で里奈を責める。


「貴女は愛し子様の側付きかしら?私は元とは言え、高位貴族であり殿下の婚約者です。そして未来の王太子妃です。

貴女ごときに決められる言われわなくてよ?」


美しい笑みで、里奈を嘲笑うかのように話しかける。

「なにをっ⋯⋯」

カールが反論しようとしたが、里奈が手で制した。


「貴女は自分の事しか考えてない。

綺麗な衣装を着て、食べる物にも困らない。優雅な生活をしているくせに⋯⋯。

よくも、こんな場所と言ったわね!

訳ありで働く女性を馬鹿にする者が、国の要になって良いはずがない!」


里奈は女性を冷ややかな視線のまま告げる。


「貴女が国の要となるならば、私が貴女を潰すわ!」


女性はカッとなり、氷魔法で作った槍を里奈に向けて放った。


里奈は動く事なく魔法を受けるが、結界により魔法が霧散した⋯⋯。


「私を攻撃した事は許されない。」

里奈は眼鏡を外し、美しい黒髪をなびかせた。

「貴女っ!!」

女性とその側付き達は口を開いたまま、里奈の姿に呆然とする。


「ヤービスを心配しているからと聞いたから、ここに来たのよ。貴女は自分の事ばかり。私の側付き達を涙で落とせても、私には通用しない。」


「わ、私はイーロ殿下の兄であるヤービス殿下も心配しております。本当です!」

涙を流しながら訴える。


「ヤービスを心配している?

ならば、なぜ弟であるイーロ殿下が王太子になると言うの?ヤービスが王太子でしょう?貴女が王太子妃になる為にはヤービスがいたら困るのではなくて?

言ってる事が、支離滅裂なのよ。」


女性は言い返そうとするが、言葉がみつからない。


「私は貴女を助けない。ヤービスは私の家族も同然なのよ。ヤービスを貶める者は決して許さない!」

里奈の厳しい言葉に。


「ヤービス殿下は生贄にされたのです!死んだ人が王太子になれる訳がないでしょう。イーロ殿下が王太子になるに決まってますわ!」

ついに本音を晒した。


「そう⋯⋯。」


里奈は女性に近付き耳元で囁いた。

「ヤービスは生きている。私が助けたから。そして、この国は一度滅ぶわ。」


「私が滅ぼすから⋯⋯。」


里奈が顔を離すと同時に、女性と側付きに誓約魔術をかけた。


女性から離れると、こう告げた。


「私の事も、話した内容も誰にも言えないわ。誓約魔術をかけたから。

残念ね。貴女が王太子妃になる日は一生来ないわ。」


女性は「イーロ殿下が貴女を許さないわ!私はあの方の⋯「番ですか?」


里奈が被せて答えた。

「イーロ殿下は理性が勝ってるようね。番本来の本能のままで動いてる感じがしない。貴女は番であっても、イーロ殿下の伴侶としては認められていないみたいね?」


反論する前に里奈が伝える。


「私は忙しいと最初に言いました。つまらない事に時間を使う事はしないの。無駄が一番嫌い。」


里奈は振り向きカール達を見て説教を始めた。


「娼館にいる元高位貴族で殿下の元婚約者。王妃に嵌められ可哀想な立場。貴方達が貴族であるが故の同情も理解します。

美しく儚げに泣かれれば流されるのもね。」


「でもね。娼館であっても貴族と変わらない生活をしている。ここは女性が体を張って仕事をしているのよ?

職業は関係ない。生きる為に働く者を下に見る者は私は嫌い。

王太子妃になれると口にすると言う事は、まだ清い体。何処が可哀想なのかしら?ヤービスを死んだ事にする者を私は許さない。」


カールにギルベルトにライアンが謝罪する。

(カール達はまだ若いのよね⋯⋯。私が無理をさせ過ぎているのかもしれない。)


「でも違うんです。ヤービスの為に何かしたかった。数少ない味方を、俺達が見つけて助けてあげたかった⋯⋯。」


里奈は驚いた。

(女性に流されたのでは無かったのね。)


「私こそごめん。また女性に流されたと勘違いしてたわ。」

里奈が慌てて謝罪した。


ライアンとギルベルトは口を開いたままだ⋯⋯。

「里奈さん!それはないよ!二度はないとちゃんと解ってます。」

ライアンが叫んで訴えた。


「ごめんなさい!」

頭を下げて里奈は謝罪した。

「仕方ないよ。誤解されても仕方ない状況だからさ。」

カールがライアンとギルベルトに伝えてくれた。


「僕達の用は意味が無く無駄に終わりました。里奈さんの急ぎの用件を手伝います。」


ギルベルトの提案を有り難く思う。


「あ!忘れてたわ。」

里奈は振り返り女性達を見た。

自分達を無視して会話を続ける愛し子をずっと睨んでいた。


「貴方の名前を知らなかったけど、知らないままで大丈夫。そして私も貴女達に名乗らない。私は貴女が嫌いよ。」


そう言い捨てて、里奈達が転移で消えた。


女性は未来がない事を不安に思う。

愛し子様から名を拒絶された。

それは貴族であれば一生の恥であるのだ。


たが女性は番だからと、愛し子の言葉を無視した。

いずれイーロ殿下が迎えに来てくれると信じて⋯⋯。



里奈とライアン達は邸に戻ってきた。

エルが里奈を見つけると、駆け寄ってきた。

「里奈さん!料理は出来たよ!買い物は終わったの?」

と、近付いて来たが⋯⋯。

里奈から例の匂いがする⋯⋯。


里奈の目の前に来ると。

「里奈さんまで娼館通い?」


その言葉に笑ったのは白狐だった。

クックと笑い里奈を見る。


「違うわよ。側付き達から聞いて、人助けをするはずだったけど放置してきただけよ。場所が娼館だったのよ。」


エルが側付き達を意味ありげな目で見る。

「へぇー⋯⋯。」


「違うっ!ヤービスの知り合いだと言うから助けたかっただけだ!娼館通いした訳ではない!」

ライアンが全力で否定した。


「娼館通いする時は気をつけないと、匂いでばれるのね⋯⋯。」

里奈が余計な一言を言う。


「だから違うっ!」


里奈はクスクス笑い。


「ごめん。解っているわ。ヤービスの事を考えてくれた事には感謝するわ。

でも今回みたいに嘘かもしれないから、気をつけてね。私も気をつけるから。」


里奈はエルにも「貴方もね。」

そう伝えた。


「里奈さんの用事って?」

カールが問いかけてきた。


「神殿が食料もなく迫害されているの。エル達には今日の食事をとりあえず作って貰っているの。私は食料を買いに街に行こうと思って。」


「転移でヨーク領か8番街から食料を調達した方が良いよ。街は食料が高額だよ。」


里奈はカールの提案を採用し、ヨーク領と8番街から食料を調達してもらう。


里奈が行くと言ったが、自分達の方が早く調達できる。里奈が行くと皆に捕まって帰って来れなくなる。

と、里奈はお留守番をさせられた。


里奈は出来上がった料理とエルとアルクを連れて、神殿へと転移した。


里奈が神殿にいる事で、ライアン達の指標になる。


いきなり現れた愛し子達に神官達は驚いて尻餅をついた。


「驚かせてごめんなさい。邸で今日の食事を作って貰ったのよ。エルとアルク達に。」

神官達にエルとアルクを紹介する。


「ありがとうございます。本当に、ありがとうございます。」

キシャール神官長が深々と頭を下げた。


「子供達はまだ帰らないの?」


「子供達は日が暮れる前には戻ります。」

神官長の言葉に、遅くまで働く子供達を不憫に思う。


「いずれ神殿と孤児達を助けるわ。とにかくそれまで耐えて欲しい。

王妃に私が来た事を知られないようにして欲しいの。子供達には内緒にしててね。」


キシャール神官長や他の神官達も誓ってくれた。

ライアン達が沢山の食料を持って来てくれた。

数日後に食料の確認する事にして、子供達が帰って来る前に神殿を後にした。


邸に帰ると、アルバートとカルロが帰って来ていた。

「アルバート達はライアン達と一緒じゃなかったのね。」


「侯爵家に行ってました。暗殺者の件で。」


「そうなのね。お疲れ様。カルロもお疲れ様。」


カルロが渋い顔をしている⋯⋯。

「カルロどうかしたの?」

何かあるのかと、里奈が問いかけた。


「いえ⋯⋯。」

そう言うが、軽蔑の視線でライアン達を見ている。

それに気が付いたライアン達が慌てる。


「話は中でゆっくりしましょう。」


説明しようとしたライアン達を制止し、お茶を飲みながら話をする。


アルバートが全員にお茶を淹れてくれた。

少しバタバタした一日となった。


「まずはカルロが言いたい事がありそうね。」

カルロに話すように話をふった。


「私達がいない間に娼館通いですか?」

カルロは嫌悪の視線をまた向ける。


「だから、違う!ヤービスの知り合いだと言われ、助けて欲しいと言われたんだよ。その人は娼館にいて、里奈さんに助けて欲しいと。

俺達もヤービスを知り、心配する人だから助けてあげたいと。そう思って⋯⋯。」


説明するカールの声が小さくなっていく。


「また女性に惑わされたのかと思いましたよ。」

直球で答えたアルバートの言葉に、カルロが頷く。


「で、その人はどこに?」

カルロが里奈を見た。


「助けてないわよ?」


里奈の返事にライアン達が肩をすくめ、アルバートとカルロは?? となる。


「ヤービスを心配する振りをしていたわ。ヤービスは死んでるから、弟のイーロが王太子になる。そして自分はイーロの番だから、王太子妃になるんだって。」


里奈は紅茶を口にしながら、淡々と説明する。

「匿って貰っていながら、娼館を馬鹿にしたわ。妻や恋人からすれば娼館は嫌な場所かもしれない。

でも働く女性を下に見るのは違うわ。

訳ありで働く女性を馬鹿にして欲しくない⋯⋯。」

里奈は俯きながら答える。


里奈は8番街で娼館で働いていた女性から、娼館の話を聞いた事があった。

好きで働いている者は数少ないと⋯⋯。

稼いだお金は家族や借金の返済で消えて行くと。


体を売る事が正しいとは思わない。


娼館がある以上、そこには働く女性がいるだけなのだ⋯⋯。理屈で考えてはいけないと⋯⋯。


「元娼婦の人が言ってたわ。娼館を出れる人は少ない。娼館で命が消える人が多いから。

その人はね、結婚して子供を持つ事が夢だったの。

でも、元娼婦の肩書は消えない。産まれてくる子供にそれを背負わせられない。

だから、夢を諦めるって⋯⋯。」


「あの女は明らかに贅沢をしていたわ。

そのお金は誰が作っているのか考えてもいない。娼館で働く女性達から吸い上げたお金なのよ!なのに⋯⋯。」

泣きそうな里奈をアルバートが背中を擦り、抱きしめた。


「リリの考えは解りました。娼館に通う男性がいる。そこでは大金が動くのです。これからも娼館は無くならないでしょう。借金や、身売りはどうしようもない。

ですが働く術がないだけならば、新しい働く場所があれば良いですね。

アルスタ王国では、女性が娼館に行かずとも働く場所を作りましょう。」


里奈はアルバートの腕の中でコクコク頷いた。


「ごめんなさい。感情的になり過ぎたわ。」

里奈は皆に謝罪した。


「この国にある神殿は支援金や物資が王妃のせいで止められているの。王妃達の事が終わったら、一番最初に行う事は神殿の救済。そして併設されている孤児院の救済をする。

国境の街や村に、アルスタ王国の聖女を派遣する。瘴気の浄化と、治癒を行って貰いたい。

その為に何をするのか、貴方達に策を考えて貰いたいの。」


ライアン達は里奈が指示する内容に驚く。

獣人国を支配するつもりなのだと⋯⋯。


「里奈さん。確認したい事があります。」

意を決して、ライアンが尋ねた。


「里奈さんは、獣人国を支配下にするつもりなのですか?」


「一度滅ぼすつもりよ。」


ライアンの目を見て、はっきりと口にした。


「自分が支配するつもりはないわよ?

王家をどうするかは、また考えなければならない。王家の血筋に真っ当な人がいれば、その人が王になれば良い。

王城で働く者達は、全て白紙に戻す。その為には内政を良く知るクーロ達の力がいるわ。ヤービスとクーロ達に話して構わないから、事が終わった後の事後処理が上手く回るように根回しが必要ね。」


ライアン、ギルベルト、カール、カルロ⋯⋯。

四人に獣人国の未来がかかっている。

責任はとても重い。

だが、やり甲斐がある事も事実。


四人は立ち上がり里奈の前に膝を突いた。

「愛し子様の命、謹んでお受けいたします。」

ライアンの言葉の後、四人は頭を下げた。


「貴方達の負担は十分理解しています。まだ若い貴方達には重い役目です。国を動かすのですから。でも、若いからこそ未来を明るく見れると思うの。

事が起こるまで時間がない。ゴッドローブの事は私達がやります。

貴方達はこちらを気にせず、クーロ達と一緒に専念して。」


里奈が話し終えると、四人は立ち上がりソファーに戻った。


「里奈さん。俺達を若いって言うけど、里奈さんと歳は同じだよ?」

カールの言葉に、カルロが脇腹を殴った。

カールは痛みに悶絶している。


カールは私の本来の年齢を忘れていた。

カルロは覚えていたから、失言だと殴った。


里奈は悶絶するカールを見て、笑い出した。

涙目のカールが里奈に抗議する。


「今は見た目は若いけど、本来の年齢はおばちゃんよ?」


里奈の言葉でカールは思い出し、悶絶しながらも里奈に頭を下げた。


(カルロ⋯⋯。どれだけ強く殴ったのよ。)


「女性に年齢の事を言うのは、とても失礼ですよ!」

カルロが鼻息を荒くして、カールに伝えた。


(サーシャはカルロより少し年上だものね。きっとサーシャは年齢を気にするはず⋯⋯。)


「いいのよ。カールは私を同じ歳だと思ってくれたのだから。嬉しかったわ。」


カールがようやく痛みから介抱されたのか、姿勢をもとに戻した。


「はぁー。痛かった。失言だったのは申し訳ありません。でも、そんなに強く殴るなよな!」

カールの抗議にカルロがジト目で見る。


「カールは人懐っこい性格からか、失言が多いのです。これから大事な役目を担うのです。失言は許されません。

失言したら、私もライアンもギルベルトも殴って止めますから。」


カールはしょんぼりと落ち込んでしまった。


里奈はクスクス笑う。

ライアンとギルベルトは呆れた顔でカールを見る。


「明日からは別々に動く事になります。何度も言うけど。

危険を感じたら、直ぐに邸に帰る事。自身の命を必ず優先する事。それだけは約束してね。」


「「「「畏まりました。」」」」


四人は部屋を出て行った⋯⋯。


「アルバートはライアン達と別れた事を、なぜ言わなかったの?」

里奈の視線での抗議に、アルバートは苦笑いをする。


「意図はありませんよ。今から侵入者の話を伝えますね。」


アルバートが紅茶を淹れてくる。


アルバートは、里奈の怒りが増す事を想像し、小さくため息を吐いた。


白狐はアルバートのため息の理由を知っている為、アルバートの心労を少しだけ気にかけた。


今年最後の投稿となりました。

作品にお付き合い下さり、ありがとうございます。


来年も宜しくお願いします。


〜追記〜

神官長の名前を間違えていました。

申し訳ありません。

訂正しました。




❀良い一日をお過ごし下さい❀


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