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一人ぼっちだった前世⋯⋯。今世は最強(最恐)愛し子として楽しく生きてます!  作者: おかき
ザイラー獣人国編

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18話 聖女は助ける⋯⋯

サロは懸命に愛し子様への対応を交渉したが、取りあって貰えない。

愛し子様に予定を伝えに行く辛い役目を押し付けられた⋯⋯。

サロの話を聞いて、騎士達が同情したのか酒盛りが始まった。


サロも鬱憤が溜まっていたのか、騎士達とワイワイ騒いでいた。


里奈はサロや騎士達を放置して、部屋へと戻った。

アルバートから、ある提案をされた。


「ヤービスが作った眼鏡を取りに行って、リリも街に行きませんか?」


里奈は忘れていた眼鏡の存在を思い出す。

最初から持って来てたら⋯⋯。

アルバートの提案を有り難く受け、眼鏡を取りに行ってもらう。


翌日は良い天気。

絶好のお出かけ日和となった。


ダイニングに向かうと、サロが入口で里奈を待っていた。


里奈を見つけると早足で近寄ってきた。

ガバっと頭を下げ。

「愛し子様!昨夜は大変お見苦しい姿を見せ、申し訳ありません!」


大声の謝罪に驚いた。

「気にしてないわよ。騎士達が勝手に盛り上がっただけでしょ?少しは楽しめた?」

里奈の返事に申し訳なさそうにモゴモゴ言っている。


「久し振りに楽しめました⋯⋯。」

小さな声でサロが答えた。


「良かったわね。また遊びに来てね。」

里奈は笑顔で伝えた。

サロも笑顔で「はい!」

と、返事をした。


サロも一緒に朝食をとる。

サロは朝食を終えると王宮に戻って行った。

里奈はアルバートに身支度を整えて貰うと、カルロとカールを連れて街に散策に出かける。


街の中心部までは距離がある為、使用人用の馬車で近くまで行く。

転移が楽だが、安易に使わないようにする。

転移を封じる魔術もある。

ゴッドローブに知られないように、転移が使える者には安易に使わないように注意してある。


街は活気があるように見えるが、お店に並ぶ品数が少ない気がする。


お留守番をする女性陣の為に、お土産を探す事にした。

すれ違う獣人達の種族の多さに驚いた。

鳥の獣人もいれば、爬虫類っぽい獣人もいる。

(獣人は魔獣に見た目が近い気がする⋯⋯。ただ、魔獣より人間に近いかしら。)


里奈はお土産よりも、獣人を観察していた。

「リリ。お土産を見なくて良いのですか?」

アルバートの声に無意識に観察していた事に気が付いた。

「ごめん。こんなに沢山の種族を見たから楽しくて。」


里奈は恥ずかしそうにしながら、露店に逃げるように入って行った。


そのお店は鳥獣人の店主で、日本の孔雀みたいな羽根を背中につけていた。


お土産を買いたい事を伝えると、沢山の色の羽根ペンを出してくれた。

全員お揃いが良かったので、羽根ペンを買う事にした。


里奈はヨーク領に帰ってから皆にお土産を渡す事が楽しみなのか、ご機嫌で街を散策している。


昼食はお店に入る事になった。

獣人国のお店は種族によって食べる物が違う為、専門店が多い。

お肉中心のお店。

野菜中心のお店。

果物が中心のお店。


街に下り全てのお店に行きたいと、アルバートと約束をした。


1日歩き回り疲れた里奈は、夕食もとらずに早々に眠りに就いた。


滞在三日目は、里奈は神殿を見に行く予定だ。神殿の様子を見に行くだけで、今日は接触するつもりはなかった。

ゴッドローブが何か仕掛けていないか、白狐を連れて調べに行くのだ。


アルバート達がいると偵察しにくい為、別行動をする。

アルバートは反対したが、里奈と子狐の方が良いと白狐の賛成もあり別行動が決まった。


アルバート達は街を散策がてら偵察するらしい。


里奈は早速歩きながら街を観察する。

瘴気の影響は無い事に安堵する。


神殿のある場所は白狐が解るらしいので、白狐の案内で向かう。

里奈が抱える狐が珍しいのか、時折獣人達が覗き見る。


街の中心部から少し離れた場所に神殿があった。

外壁に囲まれているので、中の様子が解らない。

白狐に魔術や魔法具などがないか調べてもらう。

「何か仕掛けてありそう?」

『何も仕掛けはないが、嫌な魔力を感じる。』

「私が中に入っても大丈夫かな?」

白狐が神殿に鼻先を向けた。

『大丈夫だろう。あやつの魔力はないようだ。』


里奈達は正門からこっそり中に入った。

中はやはり静かだった⋯⋯。

(神殿の中に人の気配はするわね。)


正門から神殿までは距離がある。

周囲を観察するが、訪れる者は誰もいないようだった。


神殿の扉が開いていたので、こっそり覗いた。

神官達が祈りを捧げているようだ。

一番後ろの神官が人の気配に気がつき振り向いた。


見かけない狐を抱えた少女が覗いている。

祈りを止めた神官が立ち上がり、里奈に近寄ってきた。


「お祈りに来られたのですか?」

里奈はどう答えようか悩むが。


「お祈りに来ました。神官様達と一緒にお祈りしても良い?」

神官は頷いて里奈を女神の像の前に連れて行ってくれた。

久し振りに見る女神様。

里奈は久しく女神様を見ていなかった事に気が付いた。


神官達の後ろに膝を突き、祈りの礼をとる。

(女神様。獣人国の事が終わらせる事が出来たら、お話をして下さい。皆を見守って下さいね。)

祈りを終え女神の像を見ると、一粒の雫が落ちた。

(泣かないで女神様。神官様達も必ず助けるから。)

「女神様は神官様達が心配なのね⋯⋯。」

ポツリと呟いた里奈の言葉を聞き、白狐が否定した。


『あやつは里奈が話しかけたから嬉し泣きしただけだ。』

里奈は呆れ顔だ。開いた口がふさがらない。

『女神は里奈のみが大事だから、神官達の事はあまり気にしておらん。』


「嘘でしょ⋯⋯。」


『神とはそんなものだ。酷く執着するが、他事は一切関与せん。』


白狐の話を聞いて神とは何かを知る。


「白狐も?」

『我も似たようなものだな。だが、我は人が嫌いではない。』


白狐の答えに少しだけホッとする。


里奈は一つだけ気になる事があった。

聖女がいないからだ。祈りに出て来ない理由が解らなかった。


神力で索敵しても、聖魔力を探知出来ない。

《白狐。聖女がいないわ。白狐は視える?》

《聖女は神殿の奥に二人おる。寝かされておるようだ。》


神官に聞くのが早いが、アルバート達に様子見と言ってある。

無闇に動くのは良くないかも。


《里奈よ。聖女は魔術紋を刻まれておる。あれはアルバートが良く使う魔術紋と似ておる。魔力を封じる紋だな。》


里奈は神官の元に駆け寄ると、腕を掴んだ。

「聖女の元に案内して!早く!」

里奈の声に他の神官が振り向いた。


「貴女は何者だっ!」

里奈は眼鏡をかけていた事に気が付き、急いで眼鏡を外した。


黒く長い髪が揺れ、黒い瞳が神官達を見つめる。

「私は愛し子の里奈よ。急いで聖女の元に案内しなさい!」


神官達は慌てて愛し子を神殿の奥まで案内する。

重厚な扉が開かれると寝台が二つ並んでいた。

里奈は急いで近付き聖女を覗き込む。

気配に気が付いた聖女が目を見開き驚いていた。

起き上がろうとする聖女を制止しする。


「そのままで大丈夫よ。貴女達が聖女で間違いないかしら?」

涙を流し嗚咽を堪え、聖女は必死に頷く。


「聖魔力を封じられているわね。にしても、生気がなさすぎるわ。」

聖女はやせ細り、起き上がれないようだ。


「聖女様は治癒を王妃様より禁じられておりました。ですが民を見捨てる事が出来ず隠れて治癒を施した事が知られてしまいました。

罰として聖魔力を封じられた後に何かを飲まされ、このようなお姿に⋯⋯。」


神官の一人が説明してくれた。


「この紋なら外せるわ。でも、紋を消したら魔術をかけた者に知られてしまう。

紋は消さずに対処します。」

里奈は横たわる聖女の手をとる。

手の甲には紋が刻まれている。


「今から貴女達の紋を処理します。私に任せてもらえる?」

聖女を見つめ答えを待つ。

二人の聖女は頷いてくれた。


「白狐。神力で聖女を包んでくれる?紋を浮き上がらせるわ。」

白狐は聖女を神力で包む。

里奈が紋に手をかざし、紋に解除と浮遊魔術をかけた。

紋は白狐の神力に包まれ浮いている。


里奈は聖女に治癒魔術を施す。ゆっくりと神力を流し、回復させる。


里奈は聖女に紋について説明をする。


「紋を消せば相手に知られてしまう。紋は消さずに貴女達の手に戻します。ですが神力で包んであるので貴女達の体には影響しないわ。解る?」


聖女達は愛し子様を信じる事にする。

紋が消えただけで楽になった。愛し子様の治癒で不調が消えたのだから⋯⋯。

聖女は何度も頷いて了承した。


里奈が紋に手をかざし、聖女の手の甲に紋を戻した。

聖女は手の甲をじっと見る。


「体調はどうかしら?」

里奈が聖女達に問いかける。


「体は大丈夫⋯です。愛し子様。ありがとう⋯ございます。」

聖女は掠れた声でお礼を伝えた。

里奈はニッコリ微笑み

「ゆっくり寝て下さい。」

里奈の言葉を聞き、聖女は眠りに就いた。


里奈はホッと息を吐いた。

後ろから声が聞こえ振り向くと、神官達が祈りの礼をとっていた。

「愛し子様。ありがとうございます。」

神官達は泣きながらお礼を伝えた。


「話がしたいの。場所を変えてもらえる?」

里奈は部屋の奥にある別の部屋に案内された。

大きな円卓がある。椅子に座り、里奈が質問する。

「国境の近くの街にある神殿のメイリー神官を知ってるかしら?」

里奈の問いに

「メイリー神官は知っています。」

数人の神官が答えてくれた。


「王宮からの支援がないと聞いたわ。この神殿もそうかしら?」

神官達はお互いを見やり

「そうです。支援が一切ありません。」

一人の神官が答えた。


「食料を調達してくるわ。他に必要な物があるかしら?遠慮しないでちゃんと言って欲しいの。」


神官達はお互い顔を見合わせて、何やら思案している。だが申し訳なさが先に来るのか、口にしない。


「メイリー神官の神殿には畑を作り食料を確保させてあるわ。魔力で成長させたからその日から食料を確保出来てるの。

他の神殿にも支援するように伝えてある。」


意を決して一人の女性神官が口を開いた。

「申し遅れました。神官長をしておりますキシャールと申します。

遠慮なくお願いしたい事があります。」

神官長は少しだけ頭を下げ里奈を見た。


「ここには孤児院があります。寄付も支援もない為、子供達が働きに出ています。私達が働きに出る事が出来ないからです。

不甲斐ない私達のせいなのです⋯⋯。

どうか子供達が働かずに済むように対処して頂きたいのです。」


神官長は話し終えると、頭を深く下げた。

他の神官達もそれに倣った。


「解りました。一旦邸に帰り準備します。少し時間がかかるけど夕刻までには絶対に戻るわ。待ってて下さい。」


里奈は立ち上がり、眼鏡をかけた。

白狐を連れて急いで部屋を出る。

聖女の様子を確認すると心地よい寝息が聞こえる。

(もう大丈夫ね。)

里奈は安堵し、急いで神殿を出る。


周りに人の気配がないのを確認し、転移して邸の玄関に帰ってきた。

そこにはギースとエルにアルクがいた。


「「「おかえりなさい。」」」


「ただいま。急いでるから先に話をするわね。神殿は王妃のせいで、支援も援助の物資も届いていない。神殿を助ける為に動くから貴方達も手伝ってくれる?」


里奈の話を聞き、三人が何をすれば良いかを聞く。

「三人は料理が出来るわよね。神官達と孤児院の子供達に食べさせる料理を作って欲しいの。私は数日分の食料を買いに行って来るわ。」


四人で手分けして準備をしようと動き始めた時、ライアン達が転移で帰ってきた。

アルバートとカルロはいない。


「里奈さん!いた!」

カールが叫んでいる。


「私を探していたの?」

カールが里奈の前に来て、話し始めた。

カールが近付いた時に、ギース達が不快な顔をした。

里奈も気が付いていたが、三人に視線をやり首を振った。

ヤービス達が言いたげな顔をしたが、里奈に従い黙ってくれた。


「ヤービスの弟の婚約者がある場所に避難してて、助けてやって欲しいんだ。ヤービスを心配していたし。

弟も婚約者もヤービスをとても心配している。その人は泣いて話してくれたんだ。」


里奈は神殿が気にはなったが、とりあえずカール達の事を先に対処することにした。白狐もいるから、救出するのは簡単だろうと判断した。


「解ったわ。一緒に行くわ。でも私も急ぎの用があるから、時間がかかるなら後に回すわよ。それでも良い?」


「それで大丈夫だと思う。ごめん里奈さん。」

カルロとギルベルトも謝罪した。


(ヤービスの弟ね⋯⋯。王妃の子供がヤービスを心配するかしら?その婚約者が心配するなんて⋯⋯。)

思う事があるが、とりあえず転移した。


転移した先は予測通りの場所だった。

カール達からは甘い独特の匂いがしたからだ。

里奈達が来た場所は、娼館の一室だった。


里奈の目の前には着飾ったとても美しい女性が座っていた。

犬獣人で長毛種なのだろう。


「愛し子様を連れて来るのではなかったのですか?」

女性が口を開いた。 

里奈は眼鏡をかけたままなので、愛し子と解らない。

カール達が口を開く前に里奈が先に答えた。

「私が話を聞きます。」


女性は扇子を顎にあて考えている。


「解りました。」

里奈に視線を向け、語り始めた。


「私はイーロ殿下の婚約者でした。王妃の策略により爵位を剥奪され平民となるところを同派閥の者に助けられました。そしてここに身を潜めております。イーロ殿下が手筈してくれたお陰ですわ。」

女性は少し悲しそうな顔をした。


「イーロ殿下との婚約は白紙になりましたが、殿下とは添い遂げる運命にあります。

私達は深い絆で結ばれていますの。

ですが、イーロ殿下は変わられた。ヤービス殿下が生贄となり森に向かわれた後から、私のもとに来てはくれなくなった。

無気力なイーロ殿下を何とかしなければ、イーロ殿下が王太子になれないのです。」


女性は涙を流し話をする。


「イーロ殿下は王太子に相応しい人ですわ。私はいつまでもこんな場所にいてはいけないのです。

娼館なんかに身を潜めるなんて屈辱です。殿下の婚約者に戻る為にも、愛し子様に助けて頂いて、イーロ殿下と会いたいのです⋯⋯。」


側付きだろう女性達も、泣いている。


「里奈さん。」

カールが里奈に声をかけた。

たが、里奈の発した言葉にカール達は驚く。


「貴女は助けない。力を貸すことはない。」


里奈から冷たい魔力が流れ、その場を支配した。


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