表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一人ぼっちだった前世⋯⋯。今世は最強(最恐)愛し子として楽しく生きてます!  作者: おかき
ザイラー獣人国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

104/117

16話 王都に到着 

いよいよ今日王都に入る。

王都に着くのは昼過ぎとなる。


里奈とアルバートは部屋で朝食をとり、出立の準備が整うまで待機となる。


身支度を整え終えた頃、扉がノックされた。里奈の肩が小さく跳ねた。

(緊張しているわね⋯⋯。)

里奈は少しばかりの緊張を胸に、返事をする。

「どうぞ。」

迎えに来たのは、隊長のギースだった。

「愛し子様。出立の準備が整いました。」


礼をとり頭をあげるとニッコリ微笑まれた。

「ありがとう。直ぐに向かうわ。」

里奈が返事をし、ソファーから立つとギースが声をかけてきた。


「里奈さん。緊張されてますか?大丈夫です。同行する者全て貴女様の味方です。

安心して、やりたい様にやって下さい。」


それだけ伝えると、頭を下げ直ぐに部屋を出ていった。


「顔に出てたかな⋯⋯。」

里奈がポツリと漏らすと、側にいたアルバートが頭をポンポン叩いた。


「緊張する事は良い事です。これからこの国に報復をするのですから。」

アルバートの言葉に納得する。

大事だから、緊張する。

失敗出来ない。絶対に⋯⋯。


「よし!やりたい様にやるわ!」

ニッコリ微笑みアルバートを見ると、力強く頷いてくれた。


宿の玄関に来ると、全員が並び控えていた。

側付き達が前に立ち、里奈を出迎えてくれる。同行する者に獣人国の裏の全てを見せた。それを承知で来てくれたのだ。

各々、思う事があるのだろう。

皆の顔も緊張している。


「これから王都に入ります。何があるか解らない。でも、必ず貴方達を守り抜きます。貴方達も不用意な行動だけは決してしないで下さい。身の危険を感じたら、必ず戻ってきて。愛し子様の為と犠牲になる事は絶対に許しません!お願いしますね。」


里奈の言葉に全員が礼をとり、了承した。

同行者は側付き達にきつく言われていたのだ。


絶対に命を粗末に扱うな。

自分の命を必ず優先させる事。


逃げる事は忠義に反し恥だと教え込まれた。だが、愛し子様を相手にするならば逃げる事が忠義だと考えを改めさせられた。

命を落とす事になれば、愛し子様が深く傷付くと。


愛し子様が全てなのだ。

愛し子様が嫌う事はしない。

全員が心に刻んでいる。


馬車や馬に騎乗し隊列が宿を後にする。

愛し子様の隊列が街中に差し掛かると、沿道には獣人達が並び見送りをしてくれていた。


「愛し子様!お気を付けてー。」

「獣人と仲良くしてくれて、ありがとう!」


里奈は窓から顔を出し、笑顔で手を振る。

真っ白な神力が隊列が通り過ぎると、民達へと降り注いで行く。

(これくらい良いよね!)

治癒を施しながら、隊列が進む。


後方では、神力を受けた獣人達が体の不調が無くなり大騒ぎだ。


街中を過ぎると、孤児院の子供達や神官達が見送りに来ていた。

子供達の笑顔で、昨日の夜も朝も沢山ご飯を食べたのだろうと感じる。

神官達は深く頭を下げ、見送ってくれた。


街を出ると景色は田園風景となる。

沢山の作物が実っているのに、女神様と関わるだけで神殿が見捨てられる⋯⋯。

王妃とゴッドローブに怒りが増す。


「獣人達が何故、見送って下さったか解りますか?」

アルバートの質問にキョトンとなる。

「愛し子だから?」

質問の答えを、それ以外に見つけ出せない。


「人間の多くは、獣人を嫌います。」

アルバートの言葉に、里奈はとても驚いた。

(同行者も側付き達も。ヨーク領の民だって普通に獣人さんを受け入れていたけど⋯⋯。)

里奈の側にいる者で、獣人を嫌う素振りは見なかった。


「アルスタ王国の民は、獣人を嫌う者は余りいません。ですが、いない訳ではないのですよ。同行者の選定は特に獣人に対する考え方も重視されています。」


「何故獣人達が嫌われなければならないの?姿は多少違えど同じ人よ?」


里奈の疑問は最もである。


「獣人達は思考や感情でなく、本能で動く事があります。その時は相手を気遣う事もしない。常識も通じない。

長い歴史の中で本能を優先させる為に、沢山の過ちをして来ました。」


アルバートは里奈に説明しながら、答えを出させるように話している。


「もしかして、番の事?」


アルバートは頷いた。里奈が答えを言ったからだ。

里奈のいた世界には番がない。

番をきちんと理解して欲しかったのだ。


「番が見つかると、例え婚約していようと結婚して子供がいようと全てを無視して本能のままに番を求めます。

過去に他国の王家に嫁いだ獣人の姫に番が見つかり、危うく戦争まで発展しかけました。」

厄介でしょう?


里奈はアルバートの話を頭の中で纏める。

(一生で出会えるか解らない運命の相手が番。本能のままに動く。番を愛し求める。)


「盛りのついた猫⋯⋯。」

里奈の呟きにアルバートは言葉の意味が解らなかった。


『里奈の言った言葉は下世話な言葉だ。獣のように体を求めるとな。

番は唯一人を求める。猫とは少し違うぞ。』

白狐は里奈に説明している。


アルバートは白狐の言葉に驚き、里奈を見た。

「なんて言葉を使うのですか。」

呆れた声で言われてしまった⋯⋯。


「恋人や妻を捨てるのは、もう好きでは無くなるからなの?番に愛情を持っていかれてしまうの?」

里奈はそれは悲しい事だし、捨てられてしまう方は耐えられないだろうと想像する。


「一番の問題はそれですね。番が見つかっても、今迄一緒にいた愛する人と番の繋がりに苦しむ者もいます。心は恋人や伴侶を求める。

ですが本能が番を求めるのです。

番が自身の嫌いな性格だったとしたら、地獄です。理性が強くある者は特に本能に逆らってしまうのです。悩む獣人達もいます。」

知識を良く知るアルバートは、番について沢山話をしてくれる。


「やっぱり番を選ぶの?」 

「いいえ。理性が強くある者は心を壊します。」

里奈は「そう⋯⋯。」

それだけ答えた。

アルバートは今の獣人王国が番により衰退している事を危惧していたのだ。


番う事が悪い訳ではない。

国の頂点にいる以上、番うからこそ国を民を守らなければならないと思うのだ。

里奈にも番う事は素晴らしい事だが、反面で弊害がある事をきちんと理解してもらいたかった。


里奈はずっと考えている。

アルバートは里奈をそのままに、窓に視線をやり流れる風景を見つめる。


騎士が里奈達の乗る馬車と並走を始めた。

馬車を守る隊列に変わった。

王都が近いと知る。


里奈は考えるのを止め、窓から王都を見る。

「狼煙?じゃない⋯⋯。瘴気ね⋯。」

王都の中心部だろう。黒い狼煙のようなものが上がっている。


白狐の結界は王宮に瘴気を留める。それ以外には瘴気を出さない。

行き場のない瘴気が上空に出ているのだ。


外の結界に触れた瘴気は浄化されている。

外に出てくる程の瘴気。

王宮はとんでもない状態だろう。


「白狐⋯⋯。瘴気は少しだけ置いたのよね?」


もしかしたら白狐が必要以上に瘴気を撒いたのでは?と不信な視線を白狐に向けた。


『瘴気の欠片を置いただけだ。瘴気も魔物も小さな物しか出ん。

だが、あれ程の瘴気を出すとはな。あそこに住むやつらは相当に達が悪いな。』


自分達で瘴気を作っているのか⋯⋯。

はぁー。と、ため息を吐き座席にもたれた。


国境の時と同様に、馬車がゆっくりとなり停車する。検問が始まったのだろう。

かなり時間を要したが、馬車が動き始めたので里奈はもたれた体を正す。


王都に入る為に、姿勢を正し気合を入れ直す。

アルバートが手を繋いできて、繋いだ手をポンポンする。

「大丈夫です。」

しっかりと目を合わせ、里奈を励ます。

里奈は目を閉じ呼吸を整えた。


大門を通過し、獣人国の王都へと入る。


入って直ぐの沿道には、沢山の獣人達が愛し子様を見ようと集まっていた。

歓迎されているのが解る。


だが、あちこちから悪意ある気配が飛んでくる。

白狐がいるので、里奈がその気配を追うことはしない。


窓を開け、民達に手を振る。

白狐がふと窓から顔を出し、時計台の方に視線をやった。


「時計台に何かあるの?あの辺りからは嫌な気配はしないわよ?」

白狐に問いかけた。


『あそこにいる者は、これからの鍵となるやもしれん⋯⋯。』


窓から顔を引っ込めた白狐は、それ以上話さず座席に丸まってしまった。

(悪意を感じないし、白狐が認識してるなら気にしない方が良いわね。)


里奈は白狐に任せる事に決めた。

街の獣人達は白狐の結界のお陰なのか、瘴気の影響もなく元気に暮らしているようだ。


沿道を暫く走ると、貴族街なのだろう。

立派な邸が立ち並ぶエリアに入った。


各家の前に当主を筆頭に、使用人達まで立ち並び静かに愛し子様を出迎えている。


王宮に近いからなのか、それとも当主は王宮に行くからか⋯⋯。

瘴気に侵されてはいないが、随分と顔色が悪い。


それもそのはず。

当主や夫人は王宮へと行く機会が多く王宮内で瘴気に影響される。

だが、王宮から出れば白狐の結界で浄化される。

それを繰り返せば、精神に負荷がかかるのだ。


里奈は王宮の瘴気を考えると、うんざりする。


貴族街を少し外れ、王宮より離れた離宮が里奈達の滞在する屋敷になる。

門をくぐり邸の敷地に入った。


門から玄関までかなり距離がある。

これなら、連れてきた馬車や馬を全て結界の中に入れれる。

側付き達の選んだ邸に、里奈は感謝した。


馬車から降り、玄関前に立った。

側付き達に、同行者全員を集めて貰った。


「今から邸を白狐の結界で覆います。

結界があれば、外部からの侵入は出来ないので安心してね。」


白狐が里奈の横に並び、ゆっくりと円を描くように神力を広げ始めた。

ゆっくりゆっくりと⋯⋯。


邸の至る所に人が隠れていたようだった。

侵入者は全て、皆がいる玄関の前に白狐によって集められた。


神力で縛られ、動く事も話す事も出来ない。


「侵入者と悪意ある者が白狐によって縛られています。」

里奈の説明に、ギースが声をあげた。


「この二人は、アルスタ王国からの従者ですよ?共にここまで来たのです。何かの間違いでは?」

ギースの訴えに答えたのは白狐だ。


『最初の町で入れ替わっておる。そして、そやつらはアルスタ王国の者ではない。』


ギースや皆は驚いて、縛られている二人を見る。


『そやつらは、リメル大国の人間だ。獣人国との事とは関係ない。』


驚いたのは、捕らえられた二人だった。

何故バレたのか、理解出来ずにいる。


「そう。貴方達は行き遅れの王女の手先かしら?」

里奈の侮辱発言に、二人の顔が怒りで真っ赤になる。

文句を言おうにも、口をパクパクさせるだけ⋯⋯。


里奈は二人に近付き話しかける。


「行き遅れ王女に伝えなさい。貴女が欲しがっているパトリック達は全員婚約者がいると。その相手は愛し子に仕える聖女達だとね。

いずれリメル大国に行く事になる。その時までよい子で待ってなさいと。」


白狐は二人を転移し消した。

勿論転移先は行き遅れ王女の元だ。


「ギース隊長には責任はないわよ。リメル大国の仕業を見抜くのは無理だもの。」


ギースは自国の者でなかった事に安堵するが、隊長としての責任は感じていた。


だが、気を取りなおす。

里奈が責任がないと言った以上、引きずるべき事案ではないからだ。


「温情に感謝します。して、残った者達は暗殺者でしょうか?」


ギースの視線は七人もいる獣人の侵入者に向けられた。


『暗殺者で間違いない。』


獣人国が愛し子を暗殺しようとしたのだ。


「誰に差し向けられたかは、私が吐かせる事にします。侵入者はもういません。各自邸に滞在する準備を始めて下さい。」


アルバートの指示を受け、各々が行動を開始した。


「さて。貴方がたは私が責任を持って吐かせますので。」

アルバートが暗殺者を何処かに転移させた。

ライアンとカールにアルバートが指示を出す。

「お二人にはアルスタ王国へ行って頂き、リメル大国からの密偵が紛れていた事と暗殺者がいた事を報告に向かって下さい。」

ライアンとカールはアルスタ王国の王宮へと転移した。


「カルロはフィッセル侯爵家へ行って貰いたい。暗殺者を地下に送りましたが、私が行くまで手を出さないように伝えて下さい。後、愛し子様が無事に到着した事を伝えて欲しいのです。」


「アルバートは行かないのか?」

アルバートが苦笑いをした。


「今暗殺者と対峙したら怒りのまま先に殺しそうなので、少し時間を置きたいのです。」


カルロが「まーそうだな!」

と、納得して侯爵家へと転移した。


「邸に暗殺者を仕込むなんて、考えが古いわね。」

里奈の発言にアルバートが首を振る。


「白狐やリリだから暗殺者に気が付いたのですよ。あの者達は相当な手練です。

私も多分、ライアン達も何か気配を感じましたが確信は得られなかったのです。」


私と白狐が異常なのを初めて知り、驚いた。

神力を使う自分達を同じに考えないように、気をつける事にする。


今日のような事があった時に、アルバート達も気が付いている。と、勝手に判断するのは危ういと確認出来た。


また一つ皆の身を守れる術を得た事に安心した。


今日の予定は夕刻に王宮から使者が来る。

滞在の予定を話し合う為に。


誰が来るのか、果たして白狐の結界を通れるのか通れないのか⋯⋯。

里奈はいたずらっ子のように、クスリと笑った。


人物名が被っていました。


王宮に転移したのがライアンとカールです。

申し訳ありません。

訂正しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ