夢現
レシアの中に突然、何かが流れ込んでくる。
カズラは一番の親友。
そう思っていた。
重い病気で何度も転校した。
そのせいでなかなか友人ができなかった。
この学校でも同じだと諦めいた。
だがカズラは違った。
いよいよ手術が近くなり逃げ出したい気持ちになった時、
親身になって励ましてくれた。
気持ちは充分伝わっていた。
今の自分があるのはカズラのおかげだ。
カズラとの友情は永遠だ。
それはラフレシアの花言葉のように夢現だったのか――
その時、声が聞こえた。
「このままじゃ大事な人が取られちゃうよ。
捕まえておかなくていいのかい?」
その瞬間、レシアの体が光だした。
周囲は一瞬、何も見えなくなった。
そして現れたのは、変わり果てたレシアだった。
頭のラフレシアは一つの大きな花となり、
体にはドレスが縛るように巻きつけらていて、
複数の緑色の触手を生やしていた。
「どうしたの!?レシア!」
カズラは豹変した親友に駆け寄ろうとする。
「カズラさん、危ない!」
迂闊な行為を咄嗟に制止させようとするセラフィだったが、遅かった。
伸びた触手はカズラに巻きついて、レシアの目の前まで持ってきた。
「私はラフメシア。カズラ、つーかまえたー」
レシアは嬉しそうに笑った。しかしその声には狂気を孕んでいた。
「どうすればいいの!?藪蛇先生じゃないけど手も足も出ないよ!」
カンパニャラ達は困惑していてどうすることもできない。
「方法はあるわ。みんな、時間を稼いでいて」
ルシフェはそう言うと教室から飛び出していった。
「方法ってなんです?そんなものあるんですか?驚きです!」
エクスクエスは慌てたが、
カズラとセラフィはその言葉を信じ、説得を試みることにした。
「レシア、どうしてこんなことするの?私達、親友だよね?」
涙ながらにカズラは訴えた。親友の真意を問う為に。
「カズラは親友だけど、私とずっと一緒にいてくれない。
新しい転校生と仲良くなって私を捨てちゃうんだ。
私の方が先に親友だったのに!カズラのことを知っているのに!」
レシアは感情を露わにして叫んだ。
自分がのけ者される疎外感を吐露した。
「仲良くなるのにどっちが先かなんて関係ないわ。
みんなで仲良くすればいいじゃない。
私のことをみんなに知ってもらいたいわ」
その言葉を証明するように、
触手によってきつく縛られていても、
カズラはレシアに優しく微笑んだ。
「私はみんなと仲良くしたい。
捨てたり、仲間はずれになんかしない。
レシアさんとも友達になりたい!」
セラフィもカズラに続いて叫ぶ。
それは心からのものだった。
「私達もずっと友達よ」
カンパニャラ達も笑顔で言った。
「みんな……」
レシアの気持ちは絆されていった。
「待たせたわね」
ルシフェが戻ってきた。
顔の左側には突起のついた銀色の仮面のような物を付けている。
腰にはいくつかの小さな白い四角錐がぶら下がっていた。
ルシフェが両手を前に出して念じると、
頭の突起から電波が発生し、四角錐を浮かせた。
四角錐はレシアをピラミッド状に囲むと光の線で囲んだ。
そしてレシアをラフメシアへと変えた、
先ほどのような光が起こると、レシアは元の姿に戻っていた。
今回のあまりに急な出来事を、
みんなはまるでラフレシアの花言葉の夢現のように感じられた――




