天落
鐘の音はまるで自身の存在を主張するかのように天高く響いた。
それは雲の上に浮かぶ城にも届いたのだった。
「もう朝ですの……?」
頭に羽の生えた少女は眠そうに目を擦った後にベッドから降り、
バルコニーに出た。
手すりから下界を覗くと風が吹いてきて気分を晴れやかにする。
「いつも聞こえてくる鐘の音のおかげで起きられますわ」
この素敵な鐘の音を鳴らすのは誰だろう。いつか会ってみたい。そう思っていた。
部屋を出るとまず母に挨拶に行った。
「おはようございます。お母さま。今日も良いお天気です。ここは雲の上なので当たり前ですが」
母は娘の冗談にクスリと笑った。
「セラフィ、今朝も日課の散歩に出かけるのでしょう?はい、これを」
母は天使の輪のような黄色いリングをセラフィに渡した。
頭に羽があるセラフィはこれが無いと翔べないのだ。
母や他の空の住人達は背中に羽があり、普通に翔ぶことができる。
「ではお母様、行ってまいります」
頭に輪を浮かべると、セラフィは青い空へ羽ばたいていった。
翔んでいるのはいつものルートだったが、今日は様子が違った。
突然見たこともない黒い雲が周囲に湧き始め、唸り声のような音が聞こえ、光だした。
「これは雷というもの……!?突然どうして……!?きゃあーっ!」
雷はセラフィの頭の輪に直撃し、動作に異常を起こさせた。
そして輪が動かなければ翔べないセラフィは、地上へと落下していった……。




