天空の戦い
「私達はあなた達の冒険の全てを見ていました。
私もスイートクラウドの守護者です。
あなた達を認めて正の符を渡す条件は、
セラフィとルシフェが戦うこと」
セラフィは困惑する。
「お母様、どうして?全て知っていたんですか?
何故ルシフェと戦わなければならないんですか」
それに対してルシフェは言う。
「私は戦う。
今まであなたにどこか妬みを感じていた。
それに決着を付ける」
ルシフェの背中に半透明の赤い翼が装着され、
耳の翼と腰の白い四角錐があった部分にも、
赤い半透明の遠隔ナイフが装備され、
手には諸刃の黒い鎌を持った。
「へえ。そんな物を隠していたとはな。
今まで本気じゃなかったってことか。
じゃあセラフィには、持ってきた追加装備の出番だな。
どっちも頑張れよ」
月は取り出した飛行用装備をセラフィの背中に付ける。
「私も両方応援する!」
カンパニャラと、
「ラヴィもラヴィ!」
ラヴィオラも続いた。
「みんな……。分かりました。私、戦います」
セラフィは覚悟を決めた。
「「それでは、始めましょう!」」
二人は一斉に跳躍し、あっという間に深淵の穴から空へ飛び出た。
セラフィは新たに背中に装備した
ペンタグラムユニットのブースターを、
ユニットの翼と頭の両側の半円でやっと制御している。
セラフィはペンタグラムの由来となっている、
月がルシフェの四角錐を参考に作った、
5つの白い大型有線四角錐を射出した。
「私のを真似て作ったか。
だけどその不格好さ、苛立たせる!」
ルシフェも対抗して半透明の赤い三角形を射出した。
それはお互いにぶつかり合い相打ちとなった。
ならばとセラフィは剣からビームを撃つ。
だが空を飛び交う高速戦闘ではかすりもしなかった。
もっとよく狙わなければ。
今度は狙撃モードにしつつ相手の動きを先読みして撃った。
だがルシフェは、対ビームコーティングされた黒い鎌を回転させて弾いた。
もう相手に遠距離武器は無い。しかしこちらの攻撃も当たらない。
こうなれば接近戦しかないが、相手の方が近距離特化で分があるように思えた。
セラフィはブースターの出力を最大にし、体当たりを試みた。
避けきれないと察したルシフェは、
諸刃の黒い鎌を二つに分割して交差させ受け止めた。
その衝撃は完全に抑えられず、セラフィはルシフェを更に上空まで押し続けた。
その高さは遠目に見える故郷、スイートクラウドを超えていた。
「私は初めてあなたの姿を見た時、哀れんだ!そして安心した!
背中じゃなくて頭に羽があって飛べない自分より、下には下がいると!
だけど醜かったのは私の心の方だ!
私は自分に自信が無かった!だけどあなたは堂々としていた!
そんなあたが羨ましかった!なのにあなたは私に嫉妬していると言う!」
セラフィは自分の持っていた後ろめたい感情を告白した。
「私はあなたと違って助けてもらえなかった自分の命運を嘆いた!
そしてこんな姿になった自分が嫌だった!
初めてあなたに会ったあの時!
あなたと違って上手くできなかったのが屈辱だった!
だからあなたが妬ましかった!」
ルシフェっちは本音を吐露する。
「私達って元は同じでも別々の存在になったと思ったけど、
やっぱり似ているね……」
セラフィは微笑んだ。
「ええ……私達だけじゃない、みんなそうかもね」
ルシフェもにこやかだ。
これまで一緒に冒険してきて、やっと互いを理解できた気がした。
互いの剣と鎌から半透明のピンクの刀身が伸び、胸を貫いた。
結果は相打ちだった。
二人は上空から落下した。あの時と同じ状況だ。
だが今度は違う。落ちた二人を仲間達が受け止めてくれた。
「二人ともすっきりした表情をしているわ」
母親らしい表情でママセラフィは微笑んだ。
「ワシらの見込みはまちがっていなかったかようだ」
父親らしい顔でパパルシフェはにこやかにしている。
「二人のわだかまりを解きたかったのは分かったけど、
これがこれからのことに関係あるの?」
カンパニャラは疑問に思い、ママセラフィは答える。
「最後の正の符を渡しアルティメシアの元へ向かう前に、
全てをお話ししましょう……」




