氷雪の戦い
もう正の符もだいぶ集まってきた。一同は残りを確認する。
「残りは3つラヴィ。この氷原ソルティスノウ、
先にあるビターアビス、
そして空にあるスイートクラウドの順ラヴィ」
カンパニャラは降っている雪を舐める。
「しょっぱ~い。しかも寒いし、前の砂漠とは真逆だよ。
ビターアビスはルシフェが来たと言っていた深淵だよね。
どういうところなの?」
ルシフェは重々しそうに答える。
「その名の通り、苦い場所よ。
スイートクラウドとビターアビスは
神が天国と地獄という場所を模して作ったとされるわ」
次にセラフィが疑問を言う。
「私が落ちてきたスイートクラウドに行ける方法はあるのですか?」
それには月が答えた。
「試作品だが、空を飛べる装置を作ってきた。
セラフィ1人くらいなら行けるはずだ」
一行が話終わって進み始めると、吹雪で視界が見えなくなった。
「これじゃ進めないし、口に入った雪がしょっぱいよ~」
困っていると、横笛を吹きながら小柄な銀狐の少女が歩いてきた。
「私はフルートのリズムアニマル、フォルート。
みなさんを守護者のところへ案内します」
信じていいかは分からないが、
このまま留まるわけにもいかないと思い、ついて行くことにした。
進んで行くと吹雪が晴れて、一人の少女が姿を現した。
水色の口元が隠れるジャンパーと、
氷柱のような髪と逆三角形の目が印象的だ。
「君達がバーニングに認められた者達か。
奴は私のライバルだ。
私の名はフリーズ。
このソルティスノウでの守護者だ。
バーニングを倒した君達の力、見せてもらう」
そう言うと、髪をまるで氷柱の針を飛ばしてきた。
それをセラフィが盾で受けると、剣でビームを撃った。
フリーズは背面飛びでそれを躱し、一気に距離を詰めてきた。
ここまではバーニングとの戦いと同じだが、ここからが違った。
フリーズは冷気を纏った蹴りを、足に向って繰り出してきた。
盾では守れない位置なのでもろに受け、冷気の影響で足が凍る。
フリーズまた距離を取った。向こうから近づいてくる様子はなく、
こちらも足が凍っていて動けない。
剣のビームの出力を下げて連射するが、
相手は地面をスケートのように滑りことごとく躱す。
エネルギーが尽きてチャージモードになると、
フリーズがまた近づいてきたので、
実体剣を高振動モードにして振るが、それも躱された。
フォルートが笛を吹くと吹雪が発生し、
フリーズはその中に姿を眩ました。
さっきの吹雪はフォルートの仕業だったのだ。
遠くからまた氷柱が飛んできて、なんとか盾で防ぐが、
吹雪によって体温も下がって疲れが出始めた。
このままの持久戦では負ける。
「フォルートがフリーズを手伝っているなら、
私がセラフィを助けてもいいよね?
今まで役に立たなかったけど、今度こそ力になれるよ!
フリーズの位置を探してあげる」
カンパニャラは協力を申し出た。
「ありがとう。位置が分かったら教えて」
セラフィは嬉しかった。
カンパニャラ本人は今まで役に立たなかったと言っているが、
最初に落ちた時に助けてもらっただけで十分だし、
今までの冒険でも傍にいてくれるだけで良かった。
だけどそれだけじゃなく、今回も助けてくれる。
セラフィは剣を狙撃モードにし、かまえた。一点集中。
カンパニャラは耳を澄ました。頭のベルメットが聴覚を増幅し、
首から下げている鈴が感覚を研ぎ澄まさせる。
「そこ!」
カンパニャラが指した方向に、
セラフィが出力を集中させたビームを放つ。
見事それはフリーズを撃ち抜いた。
吹雪が晴れ、
隠れていた口元が見え、口を三角にして驚いているフリーズがいた。
「バーニングから話は聞いていたが、
君達はその時より成長しているようだ。認めるよ」
こうしてフリーズから正の符を受け取った。
「次はいよいよ深淵よ。みんな覚悟はいい?」
ルシフェは言った。冒険もいよいよ終盤だった。




