砂漠の戦い
「海の次は砂漠……役目とはいえ辛いラヴィ」
暑がりながらラヴィオラが言った。
「火山も暑かっただろ?
お前は飛んでいたから山登りも楽で、
暑さも感じなかったか?」
ラヴィオラと月の仲は相変わらずだ。
「でもこの砂、砂糖みたいに甘くておいしい。
暑さと砂漠の歩きにくさなんて平気になっちゃいそう」
カンパニャラはうっとりした。
「ここはシュガーデザートというくらいだからな。
しかしこの星は音楽の力に溢れリズムアニマルなんているのに、
土地は食べ物が関係しているんだよな。
こういうところもちぐはぐだ」
研究者の観点から月は言った。
「創造主……つまりは神、アルティメシアの願望が
この歪な世界を形作っているのかもね」
ルシフェはこれもアルティメシアの仕業だと考えている。
「でも、私達の目的は神を倒して世界を救う!とか世界を変える!わけじゃなくて、
負の符を悪用しようとする存在を止めることですよね。
どんどん話が大きくなっていませんか?」
セラフィは改めてこの冒険の意味を問うた。
「冒険ってそういうものじゃないの?
小さな切っ掛けが、
やがては世界の命運を左右するものになる。
私のように、最初から大きな使命を持っている者もいるけど。
……みんなを巻き込んでごめんなさい」
ルシフェは珍しく弱音を吐いた。
「ルシフェはもう一人の私、というより友達でしょう」
セラフィは関係、
「ここまで来たおかげでこんなにおいしい物が食べられたよ」
カンパニャラは恩恵、
「各地を巡ったおかげで色々と興味深い発見があったからな」
月は意義、
「みんなを案内するのがラヴィの役目ラヴィ」
ラヴィオラは責務、
みんなはそれぞれの方法でルシフェを励ました。
「ありがとう、みんな」
ルシフェは素直にお礼を言った。
するとどこかから声が聞こえてくる。
「お前達が正の符を探しているのか?」
一同は声がした方向の砂の山の上を見た。
そこには2つの影があった。
それらは砂の山を滑るように降りてきた。
一人は盗賊らしき恰好をしたハイエナで、
もう一人は全身に包帯を巻いた猫のようだった。
「俺はバンデット。こいつはスナッチ。
交換条件だ。
俺達が戦って、負けたら正の符を渡す。
だがお前達が負けたら正の符を全部貰うぜ」
バンデットは持っている正の符を見せた。
それに月は疑問を持った。
「その正の符は何だ?
さっき私達に勝負を持ちかけたようにして、
奪ったものなんじゃないのか?
どうして奪おうとする?」
それにバンデットは答える。
「俺達は守護者だ。だが盗賊でもある。
正の符を集めている奴らが来たっていうから、奪いに来たんだよ。
絶大な力があるらしいからな」
だが奪うという行為をラヴィオラは否定する。
「正の符は守護者が心から認めた者に渡せるんだラヴィ。
みんなは守護者達と通じ合い、認めらたんだラヴィ」
スナッチは反論する。
「あら。だから私達は盗賊なのにこうやって正々堂々来たんじゃない。
あなた達が勝てば認めてあげるわよ」
ルシフェは乗り気だ。
「その言葉に偽りはないわね。
正々堂々で"私達"ということは2対2。
セラフィっち、やりましょう。初めてのタッグよ」
セラフィっちは頼られて嬉しかった。
「それじゃ勝負開始だ!」
バンデットは四足歩行になり、駆け始めた。
口に咥えたナイフで、砂に足を取られているルシフェにダメージを与える。
「こんな不安定な砂地で、あんなに動けるなんて」
ルシフェが驚き、バンデットは得意気に言う。
「砂漠の盗賊を舐めるなよ!」
一方で、スナッチは体の包帯を飛ばし、
セラフィっちの体の自由を奪った。
「こうしておけば、バンデットがあなたの相棒を倒した後、
残ったあなったもやっつけてくれる」
スナッチの待ち戦法に、打開策はないかとセラフィは焦った。
そして閃いた。四肢を封じられても、頭がある。
セラフィは頭の両側の半円の力で一気に跳び上がった。
包帯を巻きつけたスナッチも上空に引っ張られる。
これでスナッチを落とせば大ダメージを与えられるはずだ。
だが、セラフィの思惑は外れた。
スナッチは自ら包帯を解き地面に落ちた。
しかし、重ねた包帯を緩衝材にすることでダメージを負わなかった。
それに加え、包帯を重ねて足元に敷くことでボード代わりに、
砂地を自在に移動している。
それを見たルシフェはあることを思いついた。
腰にそうびした四角錐を足元に飛ばすと、その上に乗り、
ホバー移動を始めた。これなら砂に足を取られることもない。
セラフィは地上に戻ろうとしたが、リングがピーキーすぎて
勢い余って、砂に顔を突っ込んでしまった。これでは空中で戦えない。
「セラフィ、盾の力を使うラヴィ!」
ラヴィオラの叫びに応え、盾に収納されていた翼が展開し、回転を始めた。
盾は地面に置くと浮遊し、さながらスピナーのようになった。
セラフィはそれに乗ると、重心を進めたい方向に傾け、
スナッチに一気に距離を詰めて、剣で切り伏せた。
「スナッチ!」
バンデットはスナッチの方に顔を向けた。
「気を取られていていいの?」
ルシフェはそう言うと勢いをつけてバンデットに体当たりし、
倒れたバンデットから奪ったナイフを突き立てた。
「盗賊より恐ろしいぜ、お前ら……」
バンデット達は負けを認めた。




