聞き飽きたこの音
どーん。どーん。
聞き飽きたその音を背後に、束の間の休息を得た。
生まれ育った自国の門をくぐると、やっと生きた心地がする。
隣国との終わりの見えない争いに駆り出される日々。
先のことを考えるたびに、絶望感と不安感に襲われる。
ふと目の前に一人の少年がやってきて、こう聞いてきた。
「この音は何の音なの?」
目が見えていないようだ。
この子は将来戦争に行くことはないだろう。
私は、少し悩んだ末にこう答えた。
「この音は花火といって空に花を咲かせるときの音だよ」
それを聞いた少年は力一杯、顔を上げて見えるはずのない花を見上げていた。
そこには黒い硝煙、ただそれだけが漂っていた。