いつかのおもいで
10年が経ち、時は二人を再び結びつけた。
あの再会の後、ユウとカナは昔とは違う大人としての関係を築き始めた。仕事や生活に追われる日々の中でも、二人は自然にお互いを支え合い、いつしかその存在はかけがえのないものとなっていた。彼らの間にはかつての幼馴染としての絆が、より深い愛情に変わっていた。
「カナ、これからは本当にずっと一緒にいよう。」ある日の夕暮れ、ユウは決意を込めて言った。彼らが再び向かい合って立っていた場所は、幼い頃に共に遊んだ公園だった。かつての記憶が、風に乗って心に蘇る。
カナは微笑み、静かに頷いた。「そうだね、いつかのおもいでが、こうして私たちをまた繋いでくれたんだね。」
二人は結婚し、今度こそ永遠に一緒にいることを誓った。それは幼い頃の約束を果たす形でもあったが、今度は自分たちの未来に向けた覚悟でもあった。二人は心から愛し合い、そして新たな家族を迎える準備が整っていた。
数年後、二人には待望の子供が誕生した。小さな命を抱きしめながら、ユウとカナは目を合わせ、心の奥深くで温かい何かを感じ取っていた。それは、過去に交わした「ずっと一緒にいよう」という約束が、今ここで実を結んでいることへの確信だった。
ユウは、生まれたばかりの我が子を抱えながら言った。「この子も、いつか大切な幼馴染とおもいでを作るんかな。」
カナは優しく微笑んで答えた。「そうかもしれんね。でも、私たちが見守ってあげれるけん安心やね。」
二人は、家族としての新しい生活を歩み始めた。彼らの家には子供の笑い声が響き、日々の幸せを噛み締める中で、彼らは何度も「いつかのおもいで」を思い返した。子供時代の約束が導いた今の幸せ、そしてそれを乗り越えた愛情が、家族としての絆をより一層強くしていた。
夕暮れの公園で、ユウとカナは手を繋ぎながら子供が遊ぶ姿を見守っていた。かつて自分たちが駆け回った場所で、今度は我が子が新しい「いつかのおもいで」を作り始めている。二人は穏やかに微笑み合い、これからも続く未来を想像しながら、永遠の絆を感じていた。
そうして、二人が交わした幼い頃の約束は、新たな家族と共に「いつかのおもいで」として語り継がれていくことになった。
