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揺れ動く心

時が経ち、ユウとカナはそれぞれの恋人との関係を深めていく。ユウはトモと一緒に過ごす時間が増え、彼女のエネルギッシュな性格や、自分にはない自由さに魅了され続けていた。トモとの会話は刺激的で、彼女の考え方はユウにとって新鮮だった。彼女との関係は、これまでに経験したことのないものだった。だが、ふとした瞬間に、幼馴染のカナのことを思い出してしまう。


ある日の夕暮れ、ユウはトモとデートをしていたが、突然、カナとの思い出が頭に浮かんだ。二人で過ごした公園、無邪気に笑い合った日々。ユウは気付かないうちに、トモの言葉が耳に入らなくなっていた。カナは今どうしているだろう? その疑問が、ユウの心を締め付けた。


一方、カナもまたリョウとの関係を順調に進めていた。リョウは優しく、彼といる時間は穏やかで心地よかった。社会人としての彼の安定感や、未来を見据えた真面目な姿勢にカナは安心を感じていた。しかし、どこか物足りなさを感じている自分がいることに気づき始めた。それは、幼い頃からカナの隣にいたユウの存在があまりに大きかったからだ。


リョウと夕食を楽しんでいるとき、リョウが将来の話をしてくれた。彼は真剣な目でカナに「これからもずっと一緒に歩んでいきたい」と告げた。その言葉にカナは嬉しさを感じたが、同時に心がざわめいた。「ずっと一緒にいる」という言葉が、幼い頃のユウとの約束と重なってしまったからだ。カナの胸の奥に眠っていた感情が、再び目を覚まそうとしていた。


それぞれの恋人と過ごす時間が幸せでありながらも、ユウとカナは幼馴染としての特別な絆が揺らぐことはなかった。新しい恋に没頭するほどに、過去の約束が心に影を落とす。


そんなある日、二人は偶然、街のカフェで再会する。久しぶりに目が合った瞬間、互いに言葉が出なかった。何かが変わったと感じる一方で、二人を繋ぐ無言の理解は変わっていなかった。ユウはトモの話を、カナはリョウの話をするが、その会話の中で心の奥底に隠していた本当の気持ちが浮かび上がってきた。


「私たち、本当にこのままでいいのかな?」カナは胸の中でそう問いかけた。


ユウもまた、幼馴染のカナとの再会が、自分の心に何を引き起こすのか、まだ答えを見つけられずにいた。

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