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はじまりのとき

薄曇りの日曜の午後、ユウとカナはいつもの公園でベンチに座っていた。彼らが一緒にいることは、もはや自然な風景の一部のようだった。幼い頃から何度も足を運んだこの場所で、互いの存在が安心感となって、何も言わずとも心が通じ合う関係だった。


「もうすぐ卒業だね…」カナがふと呟く。声に混じるのは期待と少しの不安。彼女の目線は、木々の間を吹き抜ける風に揺れる葉に向かっていた。


「そうだな。いよいよだな…」ユウも空を見上げながら答えるが、その言葉にはどこか重い響きがあった。彼もまた、卒業後の未来について漠然とした不安を感じていたが、それ以上に心を揺さぶっていたのは最近出会ったトモの存在だった。彼女はユウの中で、これまでに感じたことのない感情を引き起こしていた。


一方で、カナも心に秘めた葛藤を抱えていた。最近知り合ったリョウは、真面目で落ち着きがあり、彼女のこれからを共に歩んでくれる存在だと感じていた。けれども、ユウとの長年の絆が彼女を引き止める。


二人は、幼い頃に交わした「ずっと一緒にいる」という約束を、心の奥底で忘れることなく抱えていた。それはいつも自然に、互いの未来に繋がっていると信じていた約束だった。だが今、初めての恋愛がそれぞれに新しい選択肢を提示していた。


「これから、どうするんだろうね…」カナが小さな声で続けると、ユウはふと彼女の横顔を見つめた。優しさと切なさが交錯するその表情に、彼は何を言うべきか分からなかった。


互いに違う方向へ進みつつあることを、二人は感じ始めていた。それでもまだ、どちらかが手を差し伸べれば、未来は一緒に歩めるかもしれない。そんな希望を抱きながら、彼らはそれぞれの恋と幼馴染との約束の間で揺れ動いていた。


そして、やがて訪れる再会のとき――二人はどのような選択をするのだろうか。

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