なんてことない日のメリークリスマス
薄く雲がかかって明るい朝、雪がはらりはらりと舞う。
路肩の道草が霜柱で浮いていた。
ふと思い立ち踏んでみる。
ざくっと音がして、ちょっと面白かった。
吐き出した息が白く昇っていく。
また今日も、1日が始まる。
夏の間は夕方だったこの時間。
すっかり日が落ちて辺りは暗く、街の明かりが煌めき眩しい。
街を彩る煌めきに、もうそんな季節かと思う。
大きな木に飾られ散りばめられた彩りが、疲れた心にちょっと沁みた。
横を過ぎ行く人々の雰囲気に当てられて、ケーキを1つ、買ってみた。
温かい紅茶を淹れて、一口食べる。
ふわりと香るベルガモットにじんわりしみる甘味。
足元をするりと飼い猫が抜けていき、傍らで飼い犬がきらきらと期待した顔で見上げてくる。
幸せとはこの瞬間を指すのではとちょっと思った。
外は雪がちらちら舞っている。
積もるほどではない様子だけど、凍結はするかもしれない。
明日も早めに起きないとな、なんて思いながら眠りにつく。
なんてことない、日常の一コマ。