あの日の手のひら
私の手のひらに僅かな体温と胸が苦しくなる様なかすかな重みを預けてくれたあの小鳥が小説の中で成長している。
あの日おじさんに助けてもらい命を全うしただろう後に。
何年も前の話なので命長らえてもこの世界にもういない。
小さな鳥の寿命は一年くらいと聞く。
『落ちた山鳥』という短編小説が一目に触れていく。
私の小説は成長した。
私は他人の作品を栄養として受け取るが自分の作品はこの場合、小鳥が飛んでいく様に見える。
血に濡れた眼でいつもなら人の立てる物音から逃げて暮らす小鳥は人を頼ってしぶとく生きる。
わたし、あの時、血色の目が怖かったけど生きようとしてる強い色だね。