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~玲緒ver~
もう何もかも終わりにしたい。
いつもそれしか考えていなかった俺は今、両親に包丁を向けている。いくら大人でも包丁を向けられると怖いらしい。ガタガタと震えて、声も出ないようだ。まさか今まで無関心だった息子から殺されるとは思いもしなかっただろう。
「グスッ」
特に躊躇うこともなく父を刺した。思ったより固い。そして母も刺した。父よりは少し柔らかかったが、やはり少し固かった。親を殺すことには特に迷いはなかったはずなのだが、2人とも息を引き取っているのを確認すると、なぜかあまり良い気分ではなかった。
その時「お前、何をしているんだ!まさか父さんと母さんを殺したんじゃないだろうな!?」という声が響いた。振り返るとそこには今帰宅した双子の兄、理緒が立っていた。俺は理緒の顔を見て鳥肌が立つほど体の中が熱くなった。そうだ。元はと言えばこいつがいたから俺は今こんなことをこいつらを殺すことになったんだ。