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2:舞踏会ではなくて武道会でした

馬車で30分ほど、マスカレード舞踏会の会場に着きました。王宮の最も広くて、豪華な部屋で舞踏会が開催されている。ヴェルサイユ宮殿の鏡の間のような豪華な部屋です。この世界には電気がありませんが魔法で室内が明るく照らされています。豪華な衣装を身について、大勢の貴族令息と令嬢がすでに、花のようにグルグル回りながら、踊っています。お兄さんのエスコートで会場に入ります。今夜は無礼講のマスカレード舞踏会ですから入場アナウンスはされない。この舞踏会では名乗ることがご法度です。

「黒鳥のお嬢ちゃん、一曲はいかがですか」と少しお芝居をかけて、お兄さんが私をダンスに誘う。お兄さんの手を取って、会場の中央まで歩いて、踊り始めます。お兄さんは踊りが上手で、一緒に踊るのがとても楽しいです。

「あれは貴方の婚約者ではないか」と青い服の令嬢と白い服の男性のカプルを見って、お兄さんが聞く。

「そうかもしれないですね。興味ないですけど。」

 リカード様、これではマスカレードの意味がないではないですか。リカード様が白い服で、マスクはつけてますが「王子様です」と隠すつもりがないようです。ローヤルアウラが出過ぎて、さすがザ王子様です。一緒に踊っているのがカミラ嬢でしょう。彼女も自分は誰だと隠すつもりがなく、王子様と踊っていることをアピールし、遠慮なし。しかし、ベタベタ、イチャイチャしながら踊っている。ある意味、すごい技術量だ。あのようなこと、このようなことをやりながら踊れることが、すごいですね。呆れを超えて、感動しました。

「イザベラ、本当に良いのか」と心配な顔でお兄さんが私を見る。

「お兄さんこそ、良いのか」

 お兄さんには婚約者はいないが好きいな人がいます。お兄さんはラウラ王女のことが好きいです。そう、リカード王子の妹と私のお兄さんは恋仲ですが、婚約が許されてません。ラウラ王女は私と同じ年齢で、とても綺麗、性格も良い、とても素敵な人です。しかし、ルッカ公爵兄妹、二人とも王族との婚約は社会が許さない。理由はルッカ公爵が力を持ちすぎるからです。私の婚約の方が先に決まったため、マルコ兄さんとラウラ王女との恋愛が禁断の愛となりました。お父さんには私とリカード王子の婚約を白紙にして、その代わりにお兄さんとラウラ王女が婚約したら良いと何度も頼みましたが、どうもそう言うわけは行かないらしい。ラウラ王女はとても賢明な女性で、優秀なわが兄さんと結婚すると、リカード王子の王冠が危うくなるからです。リカード王子は第2王子ですが、第1王子が行方不明になってから彼が王位の第一継承者となりました。しかし、ラウラ王女の方がリカード王子より良い王様になるでしょう。そして、賢い王は困ると思う人たちもいる。リカード王子の方が都合良いから兄さんとラウラ王女の婚約に反対するでしょう。リカード王子派閥のトップはカミラ嬢の父、バッド伯爵です。そして、今夜のようにリカード王子の隣、私の代わりに、カミラ嬢を置きたい。もし、マルコ兄さんとラウラ王女は結婚できるでしたら、別に王子をカミラ嬢に譲っても良いけどね。

「イザベラ、この曲が終わったら少し離れるけど良いか」

「良いよ、マルコ兄さん。壁の花になって、待っています」

「壁の花にはならなくてもいいけど」

「良いです。壁の花になることに憧れます。」

「そのよう格好では、花にはならんと思う」

「そしたら、壁の黒い染みでもなります」

お兄さんが笑い出します。

「ありがとう」

「じゃ、また後で」

 曲が終わるとお兄さんが私から離れます。私は、憧れの壁のシミになるために会場の隅くに歩いていきます。その時、リカード王子と目が合いました。私だと気づかないように心の中に祈りますが、無断でした。この世界では黒い髪はとても珍しいです。さらに、マルコ兄の赤毛と組み合わせたら、ルッカ公爵兄妹だとすぐにバレます。リカード王子はマルコ兄さんが離れることを持っていました。カミラ嬢を連れていて、私に向かって歩き出します。

やだな、これでは舞踏会ではなくて武道会になりそう。兎に角、無視しましょう。

「イザベラ、こんばんは」とリカード王子が私に声をかけます。腕にはドヤ顔のカミラ嬢がぶら下がれています。ここは、知らんふりして、見なかったことにしてみましょう。

「イザベラ、俺を無視するのか」

私は自分に話がかけれていることにやっと気がついたこと、驚いたふりをして、リカード王子に返事します。

「Sorry, but I don’t understand what you are saying」といつものくせで、話したくない人とは、日本語が出来ない振りをする。日本でしたら蜘蛛の子のように皆が私から逃げるけど、この異世界ではそれが良くなかった。

「こら、イザベラ、その訳わからない言葉を話すのはお前しかいないでしょう」

しまった、やらかしました。

「こんばんは、素敵な白い服の紳士様」

「まだ、続くのかい、俺は誰かわかっているでしょう」

「あら、今夜はマスカレード舞踏会です。名乗ることがご法度です。」

(よっしゃ、勝った!)武道会第一ラウンド、イザベラの勝ち。

「イザベラ嬢、今夜はお一人ですが」と意地悪な微笑みを見せながらカミラ嬢が聞く。

「先も言いましたが、イザベラは誰かわかりません。私は一人ではない、失礼ですね。隣に素敵な透明人間の衣装を着た婚約者が見えないでしょうか。」どう見ても私は今一人です。アホな質問には馬鹿な答えが良いでしょう。

「なにそれ、結局、ボッチではないか」カミラ嬢が私をバカにするように言う。

「それはどうかな、婚約者のいる男にベタベタ、イチャイチャするよりは良いではないか、下品よりボッチでいいです。」

 カミラ嬢が怒って、顔が真っ赤になります。そして、手に持っていた赤ワインを私にかける。

 武道会第二ラウンドもイザベラの勝ちだけど、服が濡れました。

「カミラ嬢、やりすぎです。」とリカード王子が困った顔で、彼女を叱る。

「良いですよ、良いですよ。黒い服なので、シミにならないでしょう。ワインをかけらことすらわからないです。ワインの良い匂い。もちろん、後日このことを父がバッド伯爵に請求するでしょうね。ご馳走様ではなくて、御愁傷様でした」

それを聞いたカミラ嬢が私に手を上げますが、さすがにまずいとリカード王子が彼女を止めます。

武道会第三ラウンド、イザベラの勝ち!はい、試合終了。

「イザベラも言い過ぎ」となぜかリカード王子が私に怒る。

「あら、イザベラは誰でしょう」最後まで知らんふりで通ります。

「お前はな、カミラ嬢、行きましょう」リカード王子がカミラ嬢を引っ張りながら、離れていきます。

壁のシミになって、会場の観察を楽しもうと思っていたのに、酷い目に会いました。


大好きいな異世界物語を書いてみました。初投稿です。コメントを楽しみにしています。

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