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うろつく魔王  作者: こたつ布団
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22.昼休み

「それにね」

 アンナは目を輝かせて勢い込んで言った。

「アンティノキアなら何百歳とか何千歳でしょう。だからルーポトは英雄様達を実際に見ているかもしれないじゃない?聞いたら見た事あるんですって!すごいと思わない!?」


 勇者イプロス、大魔道士グリエラ、賢者パル、聖騎士ナイルズ。魔王を倒し厄災の時代に終止符を打った英雄達である。シュマルハウト王国をはじめ世界中で伝説として語り継がれ、今も吟遊詩人達が彼らの勲を歌い各地を逍遥している。もっとも、華々しい話ばかりではなく、この戦いにおいて英雄一行は大魔道士グリエラを失っている。

 当時のことは歴史家達も格好の題材として調べてはいるが今もなお数多くの謎が残されている。


 一番の謎は魔王が倒れた後も国が滅ぼされる事や他国に編入される事なくそのまま鎖国し、独立を保っている事である。その時何が起こったのか歴史家は喉から手が出んばかりに知りたがっている。アンティノキアなら情報を持っている可能性もあり、是非話を聞きたい、ノマダスに歴史書があろうものなら、命を引き換えにしてでも目にしたい、と口にする学者は存外多いのだ。


(イプロスか…)とルーポトは知っているような口ぶりだった。なんなら奴はイプロスと話したことさえあるのかも知れない。そして当時何があったのかもルーポトは知っているのかも。そんな歴史と共に生きてきた存在が今この国にいるのだ。自分でさえ興味のある話だ。歴史家なら涎を垂らさんばかりのことであろうとアールスは思った。


「イプロス様は陽気な人。グリエラ様は落ち着いた方。パル様は堅物。ナイルズ様は酒好きって言ってたわ」

 伝説の人物の人となりを聞くというのは不思議な気分であった。少し身近に感じるような気もしたが、魔王を倒すような人物達である。実際は想像を絶する実力を持っているのだろう。アールスは自分が何人、たとえ何十人いようとルーポトを倒す想像はできなかった。

「王宮広場の像は似てるのって聞いたら『美化されすぎている。足が長すぎる』って言ってたわ」

 アンナはいかにも愉快そうに笑った。ルーポトが言うにはイプロスはあまり似ておらず美化されすぎで、パルとナイルズは少し老けている。グリエラは割とそっくりとのことだ。王宮広場の中央には4人の英雄像が誇らしげに立っている。

 その像自体150年近い歴史があり、魔王を倒した勲を後世にまで伝えるべく、英雄達の没後に建てられたものだ。まあ英雄や偉人の像といったものは概して美化されているものだろうとアールスは思っている。またルーポトと会うことがもしあれば今度はこちらも好奇心に任せて色々聞いてみようか…とも思った。

「後は算術の話ばっかりよ」

 そんな話をしているうちに仕事の時間が近づいてきた。


「あ、そうそう」

 天幕を出ようとしたところでアンナが思い出したように声をかけてきた。

「いつかは未定だけど時間ができたら父上も視察に来るって言ってたわ」

 名誉なことだと奮い立つよりも、はるかに面倒臭い気持ちが勝ったがなんとか顔には出さず「光栄です。宮廷魔道士団の士気も上がるでしょう」と殊勝な様子でやり過ごし、天幕を出た。

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