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13 魔王の正体


 時は少し戻り、ユーリとゴウが再開した夜。



「くそっ! くそっ! 育ててやった恩を仇で返しやがった! ゴミスキルが楯突きやがって!!」



 ゴミ屋敷と化した領主邸で一人悪態をつくゴウ。



「このままでは俺の栄光が、地位が、名誉が!」



 ストレスのあまり机を蹴りつけ、ペンを投げ飛ばす。


 もう噛むところもなくなった爪を噛み気持ちをおちつける。



「なんとか、なんとかしないと。そうだ、酒だ、酒をのもう」



 ゴミをかき分け黄金の杯を手にしたゴウはたまった酒を飲み干す。



「そういえば、ユーリの隣にいたあの子供…………そうか、そうだったのか! おいおい、運が回ってきたぞ! これならアイツらも乗ってくるだろう」



 ゴウは古い友人に連絡をとる。


 ゴウの全盛期、共に戦った仲間、勇者パーティーへ。



「親に逆らったバカ息子を調教してやらんとなぁ」



 不気味な笑みを浮かべ、屋敷中に喜びの声を響かせた。



 ▽

 ▼



 奥の部屋から一号が戻ってくる。



「どうかこれを受け取ってください」



 一号が差し出したものは一振の剣。


 そこにあるだけで圧倒されるほどの存在感を纏っている。



「すごい……もらっていいの?」


「はい、ぜひお受け取りください。過去、サイト様が使用していたものです。まだ奥に防具もありますよ」



「初代勇者の!? えっ、えっほんとに!?」


「ユー落ち着いて」


「うっわ、本物の聖剣だ! ちょっと試し切りを……わー、壁切ってるのに全然抵抗がない!」


「あのー、ここ僕の家なんですが」


「奥に防具もあるんだよね? 失礼します!」



 許可を得ぬまま奥の部屋へ吸い込まれていくユーリを追う二人。



「ストーーーップ!!」



 防具を半分着こんだところでラルカの大声によってユーリは我に返る



「やってしまった……ごめん」


「いえいえ、防具もぜひお持ち帰りください」


 謝りながらも防具装着の手を止めないユーリを見た一号の笑顔はひきつっていた。



「ごめんね、ユーは初代勇者が大好きなの」


「そうでしたか」


「いやいや、お恥ずかしい」



 全身を初代勇者装備で包み込んだユーリはわずかに羞恥心を覚えた。



「ところで、一号の家に魔王に関わる何かってある?」


「いいえ、魔王もその仲間もサイト様が粉微塵にしたので何も残ってはいないかと」


「え、でも二代目は魔王を封印したんだよね?」


「そのハズだよ」



 ユーリは『新・勇者冒険譚』を開き見せつける。



「どうも話が噛み合いませんね」


「一号が倒したって言うんだったら、伝承が間違ってるんだろうね」


「じゃあ、二代目の話は嘘なの?」


「火のない所に煙は立たない。魔王ではなくても何か別のものを封印したのかも知れない」



 疑問を残したままだが、一号へ別れを告げ『いにしえの魔窟』を後にする。



 出口にたどり着くころには日は落ち、二人は夜営の準備を始める。



「魔王にはたどり着かなかったけど楽しかったね!」


「ああ、初代勇者成分も満タンだ!」



 左腕を失ったと言うのに、初代装備を手に入れたユーリは上機嫌に準備を進める。



「ねぇ、ユー」


「どうした?」


「助けてくれてありがとね! 今、すっごく楽しいよ!」


「そんなに楽しい旅だったか?」



 修羅場の連続だったために出た疑問だったが、振り返ると「言われてみれば確かに楽しかったな」と笑みをこぼすユーリ。



 夜営の準備が整い「そろそろ、晩飯にしよう」と座り込んだその時、月に雲がかかり辺りが闇に包まれる。



 夜空を見上げたラルカの瞳に数十もの赤い光が写る。



「ユー! 危ない!」



 光は矢となり夜営地に降り注ぎ突き刺さるものすべてを焼いた。


 怯んだラルカに大剣を持った人影が襲いかかり、二人の距離は鎖が延びきるまで離される。



 息つく暇もなく二人の間に大きな壁が生成され、足元はぬかるみに形を変えた。



 身動きがとれなくなった二人の身体に雷が走る



 鎧を着込んだ戦士の体重が乗った大剣に、動きを封じられるラルカを助けようとユーリが動こうとした瞬間。



 ユーリの喉元に冷たい金属の感触があらわれる。



「動くな」



 制圧。


 月を覆っていた雲が晴れ、月明かりが蹂躙された夜営地を照らす。


 ユーリの目の前には一人の男が佇んでいた。



「どうだ、俺のパーティーの力は?」



 鷹のような目付きの男――――ゴウはユーリへ近づく。



「父さん」


「子供が親に従わないからこうなるんだ。ギルドでも言ったが親の役に立たない子供に価値はない」


「それは違うよ。俺は俺のやり方で生きる意味を見つける」



 一瞬、ゴウは言葉を失う。


 ギルドでは簡単に心が折れたのに、今度はそうならないからだ。



「口答えするんじゃねぇ! お前、なんで勇者になりたい?」


「なんでそんな」


「やれ」



 ゴウの一言を合図にラルカの身体を雷が走る。



「ぐっ」



 『堅牢』持ちのラルカの表情が少し歪む。



「頑丈そうな子供だがいつまでもつかな? 毒の用意もある」



「みんなを守りたいから、それと『記憶の器』を手に入れるためだ」


「そうだよなぁ! なら俺に従うべきだ」



 口角の上がりきった唇から告げられる。





「あの子供――――ラルカは魔王だ」





「なにを言ってるんだ?」


「嘘だと思うか? 証拠を『観せて』やろう」



 ゴウは黄金の杯を出した。


 ユーリも見覚えがある、ゴウの部屋にいつも乱雑に置かれていたものだ。



「お前が欲しがっていたものだ」


「まさかっ!」


「はっはっは! 酒がいくらでも溢れてくるから選んだがこんなところで役に立つとはな!!」



 黄金の杯いっぱいに酒があふれだす。



「さあ真実を知るときだ」



 ユーリの口は無理矢理に広げられ、喉へ酒が注がれると同時に、身に覚えのない記憶が頭へ流れ込む。






 二代目勇者の記憶。



 小さな村に産まれた少年は強スキルを授かる。


 魔物討伐を繰り返すなか、突如として現れた暴力の象徴――――魔王。


 魔王は要求も目的も明かさず、ただ人々を蹂躙した。



 二代目勇者に成る前の彼は対峙する魔王の姿を目に焼き付ける。



 流れ込む記憶のなかでユーリは確かにみた。


 魔王の姿を。


 子供のような風体をした銀髪の少女を。




 魔王には打撃も斬撃も通用しなかった。


 『堅牢』なる身体に傷をつけられない。



 ただ一人、二代目の迫撃を除いて。



 二代目は魔王を撃退したことで勇者となり、宝物庫で『略奪の約束』を選択。


 その鎖を用いて、ダンジョンの裏エリアへ魔王を封印した。




ラストスパート応援お願いします!!!!


途中でも最後まで読んでからでも結構なので


どうかっ!


どうかっ!


ご評価のほどよろしくお願いします!!!!

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