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変わり者の異世界冒険記  作者: 白山なろう
第5章 帰還編
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第79話 交渉

ガヤガヤガヤガヤ!!


「こっちはどうだい〜!」「こっちも割高で買うよ〜!」


俺は今、必死に穀物類の買取先を探していたのだか…


(全然見つからねぇ…!)


そう、相手は「大量」の穀物を欲している相手、馬車一台分の穀物などたかが知れているためどこも相手にしてくれないのだ


「あっ、お兄さん!」


そうして疲れ果てている俺にマナカが近寄ってくる


「ハァ、、ハァ、、どうでした…?」


「こっちも駄目だ、買取先なんかありゃしねぇ」


「やっぱり、、駄目だったんでしょうか…」


「馬鹿を言え、それで諦めきれるか、、何も穀物を欲しがってるやつはここにいるやつ以外にもいる、そいつらを探せばいい」


「で、でも…」


「そんなこと言ってても始まらねぇだろうが、とりあえず他行くぞ」


「はい…」


そう言うと俺は疲れの癒やしがてら街を散策する、もちろんマナカも一緒に


「ここらへんは酒を売ってる店ばっかりだな…」


「あるとしたら作る工場がある街の郊外辺りじゃないですか?」


「ベタな考えだが、、、確かに無いわけでも無さそうだな、行ってみるか!」


そうして適当な路地を見つけてはそこを進んで何か困ってそうな奴を見つけては話を聞いたりしていると…


「おい、あそこの工場、朝お前見たか?」


「えっ、なんだ?」


「ほらあれだよ、めちゃくちゃちっせえ工場」


「アレか、あれがどうしたんだよ」


「朝になってみたら工場の機械がストップしててな、ちょっと見てみたら機械の修理で奔走してる間抜けな奴を見たんだよ」


工場の外で話し合ってる奴の会話を聞いているとマナカが声をかけてくる


「どうしたんですか?」


「いや、、あいつ等アタリを知ってるかもしれん…」


「え?どういうことですか…?」


「まぁ静かにしてろ…」


「それで、奴は今何やってんだろうな?」


「知らねーよ、大方まだ修理に明け暮れてんだろ」


「うーわかわいそうに、今日は一番の行商人達がくる日だってーのになハハハッ!」


そうしてアタリだと確信して話を聞きに行く


「なぁ、ちょっと聞いていいか?」


「ん?なんだお前」


「さっきの話てた奴について聞きたいんだ」


「あぁ?、まぁいいぜ、特別に教えてやるよ、ここから真っ直ぐ行って左に行って右に行くとだいぶちっせえ工場があるんだ」


「それで?」


「そこで一人、若え間抜けな女がたった一人で死んだ両親の跡を継いで酒工場やってるんだよ、そこで朝見たら工場の機械が故障してあちこち体ぶつけてる奴を見たんだよ、な!面白いだろ?」


「ハハハッ!それは面白そうだな!今でも見れるかソレ?」


「あぁ、今でも見れると思うぞ〜」


「ありがとうよ、早速見てくる」


そう言って俺は言われた通りの場所を目指して進み始める


「どうでした?」


「あぁ、やっとアタリを引けた感じがするよ」


「でも、なんで困った人を笑うんでしょうか?困った人が居たら助ければいいのに…」


「それは誰しもお前みたいな考えをしてる訳じゃないからな、工場とかで毎日働いて疲れてる奴らは暇つぶしにそういう間抜けとか自分よりも劣ってる奴を見て笑いの対象とかにするもんだ」


「おかしいですよそれ!」


「ここは酒以外の娯楽はない、そう言って酒に溺れたら逆に自分が笑い対象になる、ならもうすでに堕ちてる奴を笑いの対象にしてそれを娯楽代わりにするんだ」


「なんで…」


「知るか、それが人間ってもんだ、全員が善人な訳じゃないからな」


そうして俺達はお目当ての工場に着く


「ここ、、みたいですね…」


「あぁ、小さいと聞いていたけど、これは工場なのか…?」


そこには少し広めの家の天井をぶち抜く形で酒を作る機械が立っている様な見た目であった


「ああっ!もう!、もう行商人達が来てるのに〜!」


そうして屋根に一人の女の子が上がってきてペンチを持って修理に勤しんでいる


(あれが噂の間抜けな奴ね…)


「ここをこうして!、、あっ!」


バタバタバタッ!! 女の子が屋根から滑らせて落ちてくる


「危ない!」


そうマナカが叫んで屋根から滑り落ちる女の子に駆け寄っていくが、女の子が持っていたペンチが屋根から落ちて頭に直撃しそうになる


(手間のかかる…) パスッ!


「うわっ!?」 カキーン!


咄嗟に銃を取り出してペンチを撃ち、軌道をずらす


「しっかりしろ!本体が来るぞ!」


バタバタッ! 「キャァァァァ!」


ドサッ!…


「ナイスキャッチ…」(おっ、良く小さい体で受け止めたな) 


「あ、ありがとうございます…」


「大丈夫ですよ、それよりも怪我は?」


「ああっ!あまり触らないで…!」


「ご、ごめんなさい!」


(なんだこの少年漫画にありそうな光景…)


そうして俺は落ちてきた彼女に近づいていく


「派手に屋根のレンガにぶつけまくったからな、しばらく腕を動かさないほうが良いだろう」


「あなたは…?」


「ん?俺か?俺はただの冒険者だ、護衛クエストでここに来た」

 

「護衛クエスト、、ってことは行商人さんと付いてきたってことですか!?」グキッ!


「おいおい、今さっき腕をあまり動かすなって言ったとこだろうが…」

 

「そ、それよりもその行商人さんと会えますか…?」


「あぁ、会えるぞ、というかもうここにいるぞ?」


「え?、、、まさか!?貴方が行商人の方…?」


「えへへ、、まぁそうですね」


「こう見えてもしっかり行商人だ、安心しろそれと運んできた物はナズベル産の穀物なんだか…」


「あ、ああぁ…」


(ん?なんか様子が…)


「お願いしますぅぅ!それを売ってくださいぃぃ!!」


「うわっ!?」


(なんて早い、、俺でも見えなかったな…)


そうして彼女はマナカの前で滝のような涙を流す


「ま、待ってください!そのつもりで来ましたから!」


「え?…」


「だから、あなたに売るつもりで来ましたから大丈夫ですよ」


そうマナカが言うと、彼女は石像の様に固まってしばらく動かなくなるのであった…


(まぁ腕は動かないしずっとこのままでも良いけどな…)


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