第78話 酒の街
俺は今、マナカと一緒に村を出てから1週間が経ち、そろそろ第一目的地であるボールド街に着こうとしていた
「それで、そのボールド街って何かあるのか?」
「ボールドの街は穀物等を使った蒸留酒が有名で、特にナズベル村産の穀物を使った蒸留酒は最高らしいです」
「へ〜、でも酒で有名な村はあるだろ?」
「あぁ!ラクトール村ですね!あそこのぶどう酒も最高なんですが、何分高価なので…」
「原料が大量にあって大量生産できる蒸留酒の方が庶民には人気があるってことか」
「そうですね、でも確かに旨さで言えば負けると聞いたんですけど…」
「・・飲んだことが無いのか?」
「はい、、父が母に内緒でこっそり嗜んでいたのを見ただけなんですけど…」
「それでわかるもんなのか?」
「はい、父が飲んでいた時顔が完全に酔っていましたけど、愛用の蒸留酒を飲んでも何か物足りないって顔をしていたので…」
「ハハハッ!なるほど、お父さんでも認める旨さだったんだな」
「はい、それで、、、あっ!街が見えてきましたよ!」
そうして俺は目の前の街を見る
「・・・何処を見ても酒を作る機械しか見えねぇな…」
「王国全体の60%をここで生産してますから…」
「なるほど、それであんなに大量にある訳だ」
「ここでは蒸留酒の旨さを競い合うコンテストがあるみたいですよ」
「それでなんか賞でももらえるのか?」
「はい!最高賞を受賞した蒸留酒は明日になったら完売する程の旨さを誇るらしいですよ!」
「ほーん、楽しそうではあるな」
「ごく稀に最高賞でも不味い酒が出来ることもあるみたいですけど…」
「そりゃ酷いな」
「その年の気象で作物の品質が悪くなったりするみたいですから…」
「それで、お前なんか買取先でも確保してあるのか?」
「えーと、、、、そのー…」
「・・・・・・・・・・・・・・・え?」
「・・・・・・・・・・・はい」
「おいおい、行商以前の問題じゃねぇか!せめて買取先ぐらい確保しておけよ!」
「しょうがないじゃないですか!急に両親から行商の修行を積んでこいって言われて突然なことだったんですから!」
「・・・それで何かしら需要があるであろうここに来たわけか…」
「・・・・・・はい…」
「まぁもう来ちまったものはしょうがない、何とかして買取先見つけるぞ」
「あ、ありがとうございます!」
(全く、、、こいつの親は何を思ってコイツを出したんだ…)
そんなことを思いつつも、馬車は街の中に入っていく
「うわぁぁぁ〜、街の中が酒の匂いで一杯ですよ!」
「俺にとってはそれよりも今後が心配だがな…」
「ご、ごめんなさい!」
「まぁいい、それよりも手分けして探していくぞ」(なんで俺が交渉なんてしなきゃいけないんだ…)
「わかりました!あとちょっとで行商人の輸送隊用の駐車場があるのでまずはそこに行きます」
〜3分後〜
そうして駐車場に着くと、そこには穀物等の買取をするとの書かれた看板を持った人達がところ狭しと並んでそこに他の行商人の交渉役と見られる人がどっちの人に行こうか悩んでいる所が見受けられた
(行商人は高く大量に売りたい、看板を持った人は安く大量に売りたいという気持ちが行動で伝わってくるな…)
「おーい!そこの行商人!その馬車はこっちに留めてくれ〜!」
「はーい!」
そうして誘導係の人に連れられて馬車を留める
「あれ?後続はいないのか?もしかして遅れてるとか?」
「いえ、この馬車一台だけです…」
「そうか、、馬車一台分の穀物だとあまり買い手はいないと思うが、、まぁ頑張んな!」
そう言い残して次の馬車を誘導するために他に行ってしまう
「行きましょう!」
「あぁ…」
そうして全く交渉がド素人の俺の交渉が始まったのであった…




