第66話 介入
「まったくお前らは…」
「ごめんなさい、お兄ちゃん…」
俺は今、人類と魔王軍が戦っている前線付近にいた村から脱走した子供達を見つけたのだった
ドーン!ドドーン!
「「ううっ…」」 今まで聞いたことがない大きな音に子供達が体を震わせている
「ねぇ、お兄ちゃん、あの人達は何やってるの?」
「あぁ?、あれは…」
ザクッ!ザクッ!ザクッ! 突然自分達がいる林の奥から草をかき分けて進む音がする
(まずい!、ここに子供がいたら何を言われるかわからん!)
「こっちだ…!」
とりあえず子供達の手を引いて戦場から離れた場所に向かう
「ハァ、、ハァ、、誰か欠けてないか?」
できる限り子供達の手を握ったつもりだったが、掴み損ねた子がいるかもしれないので一応確認する
「あっ!お兄ちゃん、お兄ちゃんが来る前にハルトが木の上に登っていったの、多分まだ木の上にいると思うよ」
「えーーと?誰だそのハルトって…」
「お兄ちゃんあまり名前聞かないから知らないよね、、覚えてない?教会の庭寝てたお兄ちゃんにイタズラしてた子…」
「あいつか?なら構わ、、大問題じゃねえか!、良いか?ここで待ってろ、連れ戻してくる」
そうして俺は子供達と別れてハルトとかいう子供を連れ戻しに行く
ピコッ!
(うおっ、さっきの音の主か…)
咄嗟に生い茂っていた草の中に身を隠す
「・・・誰も欠けていないな…?」
「・・・・大丈夫です隊長、しかし我々だけで成功するんですか?魔王軍の兵器の鹵獲なんて…」
「馬鹿野郎、上の命令に逆らえるかよ、やって駄目だったらそれまでだ」
「そんな〜」
「無駄話は後だ、いく…」
ズサササササ!ドン! 「いってぇ〜…」
「誰だ!」
(これは、、まずいか…)
「いてて、、おじさん達誰?」
「なんでこんなところに子供…いやそれよりお前はなぜここにいる!」
「え?、、それは…」
「おい、誰かこいつを連れていけ、魔族の子供かもしれん」
「はっ!」
そうして1〜2人程の男がハルトに詰め寄る
「残弾は、、5発、相手は9人…」
俺は残弾を確認するが相手の人数分ほど弾はない上に3発だけ麻酔弾の為撃てるのは実質3発だけだった
(無理か、、いや、行くしかない!)
バァン! バァン!
(くそっ!サプレッサーが付いてないから音でバレるか…!)
「な、何d〜…」バタン!
「お、おい!どうした!?しっかりしろ!」
(ちょっと起こされたら困るんだよなぁ〜)
バァン! 「グハッ!…」
そうして仲間が倒れたことで残りの6人も一斉に3人の元へ駆け寄る
(今だ!)
そうして相手が固まった所で俺は道を少し迂回してハルトのところまで行く
「おじさん達、どうし…」ガバッ!
「むぐぐーぐ!むぐっ!」
「すまない、話してる時間は無いんだ、行くぞ…」
(おーい!フル!)
(gyaaaaaaaa!)
(この子供なら余裕で運べるだろ!降りてきてくれ!)
(gyaaaa!)
そうして闇夜に扮していたフルが降りてきてハルトを掴んで上っていく
「お、おい!あの子供がいないぞ!」
「なにっ!何処だ!」
ハルトがいなくなった事に気づいた兵士達がハルトが元いた場所をかき分けて探すが、そこには子供が立っていたという痕跡だけで移動したという痕跡がなかった
「げ、幻覚?いや、しかし…」
「いや、空だ、空から逃げたに違いない、やはりあいつは魔族の子供だったんだ!」
「で、ですが隊長、空からって言ったってあれはどう見ても5〜7歳ぐらいの子供ですよ!?」
「だから奴ら、魔族は子供であろうとも驚異的な能力があるんだろうが!、それよりも任務が先だ、我々が子供にバレて何も出来ずに作戦失敗なんぞあってはならん!」
(うーん、魔王軍の大砲を鹵獲されてその技術が人類に渡ったら人類もそれに準じた物を開発してますます死者が続出してしまうな、、しょうがない、介入させてもらうか…)
バサッ! そうして俺は隠れていた茂みから姿を現す
「なっ、誰だ!」
「申し訳ないが人類に魔王軍の大砲を渡すわけにはいかないんでね」
「舐めるなぁ!」ブウッ!
そうして剣を抜いた騎士っぽいやつが切りかかってくる
(本来剣を扱う職業じゃないが、、どうしても動体視力が欲しいんでな!「武闘家」!)
パキン! 俺が抜いた刀と騎士の剣がぶつかりあって、金属がぶつかり合う音が響く
「・・・・」(やはり常日頃から訓練している人と今日初めて能力を使った俺とは歴然の差があるか…!)
「どうした!最初の威勢が無くなっているぞ?」
「いや、これで良いんだよ」
ビリリリリリ!! 「あがぁッ!」
剣は勿論刀は金属性、しかも騎士の兜等も金属性、つまりこういう者には電気を流すのが効果的だった
「貴様!何をした…!」
「え?、、うーん、逆転の発想、、かな?」
「こうなったら構わん!行け!数で取り押さえろ!」
「「「うぉぉぉぉぉぉぉ!」」」
(3方向からの攻撃、、レクテナ市長が襲われた時の構図と似ているな…)
そんなことを思い出しつつ今度は刀を薙ぎ払うように降る
「「ガバッ!」」
「・・・悪く思うなよ、急所は外したからな…」
刀は鎧を貫通して中身の人間の皮膚まで到達するが、死なないギリギリのラインまで切って止める
「あとはお前ら3人か…」
バァン! バァン!
「「グハアッ!!」」
「ひ、ヒィィィッ!ば、化け物…」
「銃を足に撃って致命傷を与えただけで化け物とは心外だな…」
そうして騎士の一人が逃走する、そこへ…
「gyaaaaaaaa!」ヒューン!
「うげっ!」
「おいおいフル、そりゃないだろう、兜へこんでるぞ…」
「gyaaaaaaaa!」
「落下物対策をしていない鎧が悪い?、あぁ、そうですか…」
そうして俺は魔王軍の兵器を奪おうとする騎士たちを倒したのだった
(さて、あいつらちゃんと待ってるんだろうな、、またいなくなってたりして…)




