第58話 現在の居場所
俺が見ず知らずの家族に救われてから一週間とちょっと、俺は今ほとんど普通に歩けるようになっており、ほぼ元にまで回復した
(ただこいつだけは治らないなぁ…) ビリリリリリ!
例の約束していたボールを創っていたのだが、何分魔力を全開にしなきゃいけないし、その分の電流も襲ってくる訳で、まだこの装置の対抗策は無かった
「・・・そもそも元の世界に魔力を使えないようにする装置なんて無かったからどんなやつを創ったらいいのか皆目検討もつかないんだよなぁ…」
そんな事を呟きつつまだもう少しボール創りを続ける、そうしていると…
コンコン!「お兄ちゃ〜ん!ご飯できたよ〜」
「ん、あぁ、今いくよ」
そうして俺はドアを開ける
ガチャッ! 「・・・なんだその汚れ…?」
ドアを開けて目の前にいたのは服全体に泥を被った娘さんだった
「えへへ、、途中から突然雨が降ってきて泥まみれになっちゃった」
そんな事を平気で言う彼女に俺は一つ質問をする
「・・・突然雨が降ってきたって言ったか?」
「うん、ここあたりは突然雨が降って来ることが多いんだけど、最近は降ってくる頻度が多くなったかなぁ、、突然雷も落ちてくるし…」
「雷?」
「うん、いままで普通の雨だったのに最近は雷雨が多くなって来たんだよ」
「その中でデカイ歩くような音を聞いたことはあるか?」
「うーん、、、、、、あっ!一回だけならあるよ!」
「それはどんな音だった?」
「うーん、、どうって言われても…」
「あぁ、すまなかった、音が聞こえただけでも良かった」
「え?」
「いやこっちの話だ、気にしないでくれ」
「うん…」
そうして俺は彼女との話を終えてご飯を食べに行く
(・・・間違いない、あの現象だ、、とするとここは前線と近いのか…?)
少なくとも彼女の体力で周れる範囲は限られており、そこから聞こえるなら前線がかなり近いと予想された
「・・そもそもここの正確な位置が分からないな…」
前にも聞こうとしたのだが、なぜか話を反らすような反応をされ、聞くにも聞けない状況だった
(とすると下手をしたらここは魔王領、彼女達は魔族という事になる…)
初めの反抗作戦で裏から回ろうとする魔族を俺は殺したが、その姿は人類と何も変わらず、変わっていたのは多少人類と比べて魔力量が多いことだった
(だが彼女達からはそんなに人類との魔力量の差は感じられないんだよなぁ…)
魔力による判別が出来ない以上、彼女達の口から直接聞くしかない訳だが、命の恩人である彼女達にそんな事も出来なかった
(くそっ、、ここらへんの広範囲を示した地図でもあれば…)
だが無い物ねだりしてもしょうがないので、これからは少しずつこの辺りを調べることにする
「コラ!そんな格好で廊下を歩くんじゃないよ!」
「えへへ、ごめんなさ〜い」
そんな微笑ましい光景を見て、俺は少しずつこの家から出ていくことを拒否するような感覚が増えていく事を覚えたのだった




